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第23話 海外出張にバナナは持って行って良いですか?

 [ヤマガター! あーそぼっ!]


 俺は今、とある疑問を抱いている。


 《Good morning, ladies and gentleman.

 Welcome aboard Japan Airlines flight 772 to Taiwan》


「どうだ、初めての海外出張は?」


 隣で市川課長が俺に話し掛けてくる。

 正直今はそれどころでは無い。


 しかも、クソどうでも良い呼び出しを聞いた気がする。


 状況を話しておこう。

 あの後、変人王山形としてランクアップを果たした俺は、日々召喚される恐怖に怯えながら仕事に邁進していた。


 これまでは赤点ギリギリだった奴が、何故か猛勉強を始めたと思えば良い。


 実態は赤点ギリギリだったのでいつ呼ばれるか分からないストレスに悩まされながら、自分のペースで仕事を捌けなくなった。


 それにより、まさかの1ヶ月半呼び出しを喰らわないと言う幸運に恵まれてしまった。


 後に残るのは【ガリ勉山形くん】だ。

 そんな中海外出張の話が出る、当然押し付け合いが勃発。


 脱走王影井はいつのまにか居なくなってるし睡眠王三橋は体調不良という名の仮病で休み。

 行き遅れマドンナ矢代さんは合コンの予定があるとかいって拒否。


 残ったのはガリ勉山形くんでした。


「ここは、生まれ変わった君を上にアピールするチャンスだ!」


 などと課長は供述しており、山形被告が逃れる状況証拠は消え去った。


 長々言っていたが要は、俺は今飛行機の中にいるって事なんだ。


 《Please make sure that your seat belt issecurelyfastened》


 アナウンスがシートベルトの着用をお願いしますと音声が流れる。


 ……。


「おい、山形くんシートベルトしないのか?」


 横から監視官がみっちりマーキングしている。


「あ、いやー。 ははっ」


 誤魔化す。

 さっき悪魔の囁き聞こえたんで。

 シートベルトすると退路を断たれるんです。


「なんだ飛行機乗るのも初めてか? シートベルトはここにある。 ほれ、これで大丈夫だ」


 課長の優しい手つきでシートベルトが無事着用完了した。


 …………。


 うわあ! やっさしぃー!

 ヤマガタ感激で失神しそう!


 なんて優しいんだ。

 舞い上がって違う世界へ飛んじゃうかも。


 [そうだ! お菓子ちょうだい!]


 はい、意味不明。

 もうちょっとさ俺に忖度してくれませんか?


 大体そんな都合よくお菓子があるわけ……。


 ……。


 …………。



 ……持ってるわ。


 そう言えばさっき課長から頂いたわ。


「知らなかったか? 飴をサービスで貰えるんだ」


 なんて課長が嬉しそうに俺に渡してきたわ、搭乗口で。



 ……安心したな。


 ……。


 ……まて。


 ……なんで安心してんだ?


 何で俺転移する事より飴ちゃんの事気にしてんだよ。

 転移の方が一大事だろうがよおおお!!


 なんで異世界行く前から幼女の精神魔法にかかってんだゴラァ!!

 ちょっとだけ嬉しそうな幼女の顔思い出してホッとしましたとか無いから!!

 あああ"!!!


 希望もない、逃げ場もない、どうする俺!?


「どうした山形、まさか怖いのか?」


 うるせぇ! あんたのせいだよ!

 若干の含み笑いやめろ。


 魔方陣が光りだす、あ"あ"あ"もう無理だおしまいだあ!

 もうだめだ。


 だめだ。


 だめ。


 ……。


 ……。


 ……あれ?


 ※(その時山形の脳内は凄まじい速さで処理されていた、1秒を1000倍に引き伸ばされたかの様な錯覚に陥るほどの覚醒)


 俺、飛行機の中で異世界飛んだらどうなるんだ?



 不覚。


 見落とし。


 後悔。


 そして訪れる恐怖。



 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバババーン!


 前回前々回のおさらい。


 Q転移から戻るとどうなりますか?


  A元の場所に戻ります。


 Qへー、飛行機の中だとどうなりますか?


  A元の場所に戻ります。


 ……飛行機って、地上から何mくらいの高さだっけ。

 確かビル3階くらいって聞いた気がする。


 ビル3階から着座のポーズで落ちても無事かな、無事では無いだろうな。


 最悪ケツが2つに割れるかもしれない。


 ふぅ。



 ……覚悟を決めよう。




「課長」

「ん、なんだ?」






「お元気で」

「何言ってんの?」


 こうして5回目の召喚が成立した。

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