第16話 女王降臨
「女王陛下であらせられます」
さて場面が飛んだな。
簡潔に今の立ち位置を図解にしよう。
|兵士 女王 兵士 |
| |
|ーー見えない壁ーー|
壁| |壁
| 俺 |
| |
| 幼女 ツンデレ |
……。
なんでお前ら後ろなの?
おい幼女、お前仮にも俺の主だろ。
「勇者よ、よくぞいらしてくれた」
女王から声かけられるんだけどさ。
俺は重大な事に気がついちゃったんだ。
「はい、ぎゅ……女王陛下」
なんで、ここに高校の時の担任。
あだ名は『牛魔王』がいるかと言う事だ。
危うく牛魔王って言うところだった。
多分赤の他人だろう。
牛魔王はここまで気品溢れてなかったし。
ただ激似なのは間違いない。
今すぐ写真撮って高校の同級生に送りたい。
「どうした、そう畏まらずよい。 肩の力を抜いてよい」
ごめんなさい、これ緊張しているわけじゃなく笑いを堪えてるだけです。
「奥の二人もよくぞいらした」
「ハッ! 勿体無きお言葉!」
「はっ! もったい……?」
もったい……なんだって?
お姉さん、そんな慈しむような表情を妹に向ける前に教育するのが先では? 妹さん言葉理解してないぞ。
「そこにいる小さな女の子が伝説の勇者を召喚したと?」
「はい! そうよねヘレナ?」
「はい! ヤマザキはわたしのなのです!」
……待って待って?
いつから俺幼女の所有物になったの?
「我がエモリーシスも安泰じゃな」
「ふふん! ヤマザキにかかればどんな魔王もへっちゃらです」
「おお! それは心強いのう」
「まかせてください!」
任せないで。
勝手に話進めないで。
なにこれ、俺いる必要なくない?
物置みたいな扱いなんですけど。
「姉のサバサ・フリューミルも優秀な魔導士だとか」
「滅相も御座いません!」
「ほほっ、流石国を代表するフリューミル侯爵家よ」
「有難う御座います!」
あれー? なんかこの子達スペック高い系?
だったら御者くらいお抱えでいるんじゃないかな?
と言う問いは心の中にしまった。
国を代表するって言ってるくらいだから有名なんだろう。
日本でいう、レスリングの吉田沙◯里みたいなもんだろう。
どう見ても女王さまの方が霊長類最強みたいな容姿してますけど。
あだ名デンジャラスクイーンとか付いてませんか?
「今日は勇者に褒美をとらせようと思ってな」
お? なんか褒美をもらえるのか?
「なにがよい?」
いやー、なにがよいって聞かれても分かんないっす。
そうだな……。
あ。
「宝石とか?」
「ほう、勇者ともあろうものが人並みのものが欲しいと」
あれ、意外にオッケーだった。
正直俺が欲しいものは無い。
世の中を穏便に過ごしたい。
そう思った時、市川課長の顔が浮かんだ。
奥さんに宝石を上げれば許されるだろうと言う安易な発想。
「それでは其方の功績に則った分用意しよう」
こうして、特になにも起きないまま女王との謁見は終了した。
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「あなたが宝石欲しかったなんて意外だわ」
門が閉まった後お姉さんが話す。
「わたしも思いました」
まさかの幼女も思ってた。
「なんだ? そんな変か?」
俺ってどうゆう扱いなんだよ。
これってもしかして金より名誉を取る的な?
選択肢間違えたか?
「やっぱり名誉とか、そこら辺か?」
「ううん違う」
違うのか。
おじさん分からないや。
「俺がなにを要求すると思ってたんだ?」
「「パンティー」」
だと思ったぜ☆
それ誤解だぜ☆
「パンティーなんか貰えるわけないだろ常識的に」
「あら、あなた常識あったのね」
「そもそも前回は履いてなかったから欲しかっただけだって!」
「人は運命には逆らえないのでは?」
「ヘレナ? 俺の運命勝手にパンティーにしないで」
その考えには運命の女神モイラもビックリして窒息するわ。
『あなたの運命はパンティーでしょう』
とか言わされるモイラの気持ち考えて?
「さ、終わったしちょっと王都でお買い物でもしましょ!」
もう話題は終了したのかお姉さんは買い物モードだ。
あれ宝石は?
「あのー宝石はどうなるんですか?」
「え? 後日郵送されるわ」
そこだけ現代!?
異世界ファンタジー壊れちゃう。
「どれくらいかかりますかね?」
「さあ? 一ヶ月くらいじゃない?」
課長の奥さんすいません。
異世界産なので届くまで一ヶ月かかりそうです。
「さあ! 今日は荷物係も居ることだし気兼ね無く買えるわね!」
「お姉ちゃんアイスクリーム食べたい!」
「ええ、良いわ行きましょう!」
へー、荷物係なんて雇ってたんだ。 御者雇ってなかったくせに。
「じゃあ俺はぶらぶらしてるよ」
「は? 何言ってんの?」
え? 何? なんかあるの?
俺あえて無視してるんだけど、理解して?
「いや、姉妹二人の楽しみを邪魔しちゃ悪いからね」
「ねえ? 反抗する気?」
「あのね、俺がその気になればボコボコにできるんだぞ?」
ちょっと脅してみる。
「な、なに? 女性に暴力振るおうってのサイテー」
「ふるいますが?」
「うわ……それでも男なの?」
「あのですね、こちらも易々と、はいそうですかってならないからな?」
「勇者なのに?」
「……勇者を便利屋みたいに呼ばないで?」
「えーー、持つの大変じゃない!」
「じゃあ『お兄ちゃんお願い♡』って言えば許してやる」
「…………」
「……分かった『勇者様愛してます♡』でも可」
「………ヘレナ、私達だけで行きましょ」
「まてまてまて! オーケー分かった大幅に譲歩しよう」
「なに、まだあるの?」
「『ヒロオミくん♡』って言って?」
「…………行きましょ」
なぜだ!?
これほどまで大バーゲンセール中だと言うのに!
「はあ……新しいパンティー買おうと思ってたのに」
なん………だと!?
お姉ちゃんのパンティーだと!?
「そこのお二人、まあ待ちなさい」
「…………」
「…………」
「仕方ないな、紳士であるこのヤマザキが荷物を持ってあげましょう」
「…………」
「…………」
視線が痛い。
だって仕方ないじゃないか。
幼女が俺を見て何か言いたげだ。
俺を疑うのか?
……やれやれだぜ。
良いかいお嬢さん?
「人は運命には逆らえないんだよ」
「ヤマザキ?………ねえヤマザキ?」
幼女の声は、俺には届かなかった。




