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第11話 ☆幼女は見た。

「あー、うん。 ひどいね」


 目の前の惨状に私はそう呟くしかなかった。

 最初にヤマガタが「おパンティー下さい」と言って突入した時、一瞬ひやっとしたけど。


 ぶべらっ! と豚の様な断末魔を上げながら、錐揉み状に天空へと打ち上げられた盗賊団の頭領を見て悟った。


 本当に勇者って最強なんだと。


 ちなみに吹っ飛んだ頭領はいつのまにか全裸になってた。


 そして今、私は砦の前で呆然と立ち尽くしている。

 時折、砦内から人が天空に打ち上げられているのを見かけて、私は思い出した。


「そう言えば、まだ高い高いしてもらってない!」


 衝撃の事実だった、最早盗賊達が全裸で吹っ飛んでるのことなんて、アウトオブ眼中と化した。


「ヤマガタ! 早くうう! 高い高いしてええええ!!!」


 砦の前でぴょんぴょん跳ねながら、頑張ってアピールしているが効果がない様だ。


「仕方ないですね……追いかけますか」


 まるでピクニックに行くかの様に、鼻歌を歌いながら歩き出す。

 周りを彩るは、全裸の男たち。

 ヘレナは小学校三年生にして、全裸の男たちを見馴れると言う事案が発生していた。


 将来が非常に楽しみである。


 そのままするすると奥まで進んで行くと、なにやら口論しているのが聞こえてきました。

 どうしたのでしょう? ヤマガタと誰かが言い争ってる?

 どこかで聞いた様な声ですね?


 少し歩くスピードを上げでトタトタと歩いて行くと、大きな洞窟がありました。


 おそらくは、盗賊団の根城だと思う。


「ここの中から聞こえますね……」


 洞窟の中だと言うのに、人工的に松明などで光源を確保している為だろうか。

 足を岩肌でつまづく事なく、スイスイと進んでいくことができました。


「あ! ヤマガターーー!!」


 奥まで進むと、見慣れた後ろ姿がぼんやりと見えました。

 あれはきっとヤマガタです! 私の奴隷紋が薄く光って反応しましたし。


 でもヤマガタは誰かと口論している様でした。


「ちょっと! 近寄らないで変態!」

「待ってくれ! 俺は変態ではない! 勇者だ!」

「どこに全裸の勇者がいるのよ! ちょ、ちょっとこれ以上来たら生徒達全員で魔法ぶっ放しますからね!」

「何それヒデュイッ!!」


 楽しそうですね。


 と言うより、話を聞いてるとヤマガタはいまだに全裸なのですか?

 盗賊達の服を拝借するんじゃなかったのですか?

 ここに立ち止まっていても仕方がないので、トテトテと近づいて行きました。

 そうして、近付いたことで闇に隠れていた目の前に浮かび上がってくるのは。


 ヤマガタの見事な尻でした。


 ………。


 ……………服着ろよ。


 ………………せめてパンティーはけよ。



「ち、違うんだ! 俺だって好き好んで全裸な訳じゃない!」



 いや好き好んでるだろ。

 お前「パンティー下さい!」って宣言して突入したのに、何で今の今まで全裸なんだよ。


 信用度ゼロだよ。


 だが、ヤマガタは必死な表情で説得を試みていた。


「いや違うんだ! 俺がパンチすると、何故か盗賊達の服が弾け飛ぶんだ!」


 ヤマガタ? その説得は意味不明ですよ?


「ふ、ふざけないで! そんな意味不明な現象聞いたことも無いわ!」


 案の定、真っ当な反論をされる。


 でも、この声…………やっぱり心当たりがある。

 私は、もしかすると? と思いヤマガタと謎の女性に近付いた。



「ヤマガタ? もう終わった?」


 私は近くにいたヤマガタに声を掛ける。

 口論を仲裁する意味も含まれているけどね。


「ん? あぁ、ヘレナか。 お前も目の前の女性を説得してくれないか?」


 ………無理難題をおっしゃりますね。


 なので至極真っ当な意見を述べました。


「服着ろ」

「ヒデュイッ!」


 酷くないです。

 衆目に全裸晒してるヤマガタの方がよっぽど酷いです。


「あれ? その声? しかも変態がさっきヘレナって……」


 ヤマガタとじゃれあってると、向こうの口論している女性から声をかけられました。

 ……やっぱり、聞いたことありますね。


「もしかして………私の可愛いヘレナ?」


 近ずいて来た、人物を見て私も声をあげた。


「お、お姉ちゃん!?」


 影の向こうから現れたのは私の姉。


 エモリーシス魔法高等学校 2年生。

 サバサ・フリューミル姉さんでした。


 ……厨二病を教えてくれたお姉さんです。


「な……ん……で? ヘレナがここにいるの?」


 理解が出来ないといった感じでオロオロとしだすサバサお姉ちゃん。


「え? あれお前のお姉さんなの!?」


 ……と、空気を読まないヤマガタのことは無視しましょう。


「なんでって、悪い盗賊をやっつけに来たんだよ?」

「え? え? ヘレナが? え? 何で?」


 サバサ姉さんは混乱している。


「うむ、そこの幼女が言ってることは真実だぞ? お姉さん」

「何勝手に喋ってるの? 変態は黙ってて!!」

「………はい」


 援護射撃をしたつもりのヤマガタは、サバサ姉さんにミサイル撃ち込まれて黙りました。

 私も同感です、話がややこしくなるからちょっと静かにしてようか?


「お姉さんがさっきから変態って言ってるこの人だけど………」

「え? なにこの人に襲われたの!!??」


 ヤマガタに敵意むき出しになるお姉ちゃん。

 ………違うそうじゃない。


「これ私の召喚獣なの」

「……………は?」


 サバサ姉ちゃんがすごく間抜けな顔しました。

 理解が追いついてないようです。


「お姉ちゃんに言ったよね? 召喚魔法成功したって!」

「う、うん。 聞いた。 すごいヘレナが喜んでて自分のことのように喜んだわ」

「そう、その召喚したのが。 ここにいるヤマガタ」

「うっっそだろおおおお!!!!!????」


 いつも上品なお姉ちゃんが後ろに吹っ飛びそうなくらい、オーバーリアクションと汚い絶叫をしました。


「フッ………そう私がこの世界の救世主。 勇者ヤマガタだ!」

「……ちょっとややこしくなるから黙ってようか?」

「……………はい」


 そんなところで格好つけてポーズするくらいなら服着ろ。


「し、信じられないわ! どう見ても変態じゃない!!」

「それは同意」

「ヒデュイッ!!」


 酷くない。


「本当にあなたが言う通り勇者なら証明してほしいわ!」


 よろよろとショックから頑張って立ち上がってサバサお姉さんが追求して来ました。

 確かにこのままだと、ヤマガタは単なる不審者です。


 どうしましょう………。


「なあ? 俺のパンチ。 服破けんだけど、どう思う?」


 知りません。 ちょっと今考えてるので話しかけないで?


 えーっと、召喚獣としての証明か。

 証明…………うーーん。


 あ、そうか!!


「ヤマガタ!! いいこと思いついた!」

「お! なんだなんだ!!?」

「バイバーーイ!!」

「バイバ………はい?」



 召喚獣の証明。


 つまり。


 召喚してしまえばいい。


 ………なので一回ヤマガタを帰しました。



「………き、消えた」


 シュンと一瞬にしてヤマガタが消えたことにより、サバサ姉ちゃんが唖然をして呟きました。


 ふふーーん!! どうだ!


「どうお姉ちゃん!? 待っててね! 今から召喚するから!!」

「え、えぇ。 本当に勇者がいたなんて………」


 目の前の光景にお姉ちゃんは頭の整理ができていないようです!!


 ふふ! すごいだろう!!

 私は伝説の召喚士なのだ!


「汝、我の問いかけに応じ。真なる姿を彼方より顕在せよ! サモン!!」


 私は一息で召喚の呪文を言い終わると、またヤマガタが召喚されました。


「…………はやい! はやいって!!」


 召喚されたヤマガタは、早いと連呼して私たちの前に現れました。


 …………。


 ……………………ワイシャツ一枚着た姿で。



 …………。



 …………………。











「…………パンティー先にはけよ」





 その後、無事にお姉ちゃんとの誤解は解けました。

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