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第10話 幕間 ある盗賊団のリーダーの話。

「へへっ、ちょろいもんだ!」


 ここを拠点にして、まずまずの収穫に俺はほくそ笑む。

 最近まで王都で強盗と誘拐を行ってきたが、警備の強化が入り、街中に近衛兵が巡回する様になってからやりづらくなっていた。


 その為、王都より外れた国内でも有名なお坊っちゃまお嬢様学校であるエモリーシス魔法学園をターゲットに、その道中での荷馬車を狙う事にしたのだ。


 結果は大成功。


 元々王都でそこそこの名が通った俺たちの盗賊団は、何も準備されていないこの道では完全に略奪無双をしていた。


「おい! 学園からの返事はあったか?」

「はい、それがまだ……」

「今日の夜まで返事が無い場合は………斬れ」

「いいんですか?」

「あぁ、俺たちが本気だって教えてやる。 へへっ、舐めてかかった代償だ」


 俺たちの後ろには、魔法学園の生徒達が囚われていた。


 さすがお坊ちゃんお嬢さんだけあって見目麗しいものばかりだ。

 今回、丁度集団野外授業があった様で、先生共々捕まえったって訳だ。



「一体いくらで売れるかな、ハハ」


 皮算用をしている時、部下の一人が慌てて入ってきた。


「り、リーダー! やばいです!!」

「あ? どうした、何がやばい?」

「お、男と幼女が砦の前に!」

「はあ??」


 それの何が一体やばいって言うんだ?


「おい、それのどこがやばいんだ?」

「いや、その男の方がですね幼女を肩車してまして」

「ほう、普通だな」

「男が全裸なんです」

「それはやばいな!!」


 何だそいつ? 想像したらシュール過ぎるだろ!

 全裸の男が幼女を肩車している。


 ……………うん、理解が追いつかねぇ。



「やば過ぎるな」

「ですよね!」

「だが、それがどうした」

「え?」

「いや、それだけならだたのヤバイ奴ってだけだ」

「あ、言ってませんでした。その男なんですが、砦の前で連呼してるんですよ」

「連呼?」

「ええ、「パンティー下さい!」って」

「そいつはヤバイなぁ!?」


 魔法学園あたまのおかしい奴がいるなぁ!!

 王国の近衛兵なにしてんの!?

 こっちにやばい奴いますよ!!


 俺が部下からの報告で唐突な変質者来訪に戸惑っている時。

 また新たに息を切らして部下が雪崩れ込んできた。


「り、リーダー!」

「な、なにぃ?」

「パンティー野郎が! ……あ、パンティー野郎というのは……」

「いや言わなくていい、さっき聞いた」

「そ、そうですか」

「で? なんだ?」

「はい、パンティー野郎がですね……【俺は勇者だ】と」

「嘘つけぇええ!!!」

「いやでも、ほんとに……」

「それは誘導だ! 騙されるな! 勇者が全裸でいるわけないだろ!」

「たしかに!」



 おいおいおいおいおい。


 お前らどこに信じれる要素あったんだよ!

 お前らの話をまとめると。



 全裸の変態でロリコンの勇者だぞ?

 いるわけねぇーだろーがよぉ!!



 全く世話の焼ける奴らだ。

 ここは俺が直接いって収めるしかないな。



「分かった、俺が行く」

「そ、そんなリーダー危ないです!」

「大丈夫だって、どうせハッタリだ」

「そうですかね……」

「まぁ、見てろって!」





 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



 ………。



 ………あれ? 俺の目がおかしくなったかな?



 全裸のおっさんが仁王立ちして砦の前におるぞ?



「あいつらの話まじかよ……」


 えぇ……話しかけづらっ!!



「もし、そなたはここの頭領か?」


 変態の前で待ってたら向こうから声を掛けてきた。

 ………俺あいつと対話しないといけないの?



 嫌だなぁ……。



「ふっ、図星か」



 向こうは勝手に解釈し始めた。

 合ってるけど、うん。


 合ってるけど認めたくない。



「いえ、人違いです」


 咄嗟に答えてしまった。



「そうか人違いか」

「そうだ」

「別に頭領じゃなくてもいいかな?」


 なぜ俺に回答を求める?

 知らんがな。


「別に、いいんじゃないか?」

「そうだな、ありがとう」

「いえいえ、どういたしまして」



 なにこれ?



「あぁ、ついでと言ってはなんだが」

「はい」

「お前いい服着てるな?」

「はい?」

「俺にくれよ」

「はいぃいい!!??」


 ついでがついでじゃねー!!


「お前、俺が誰だか知ってんのか??」

「だって? ヘレナ教えてやれ」

「はい! 魔王です!!!」


 なに言ってんの!!???


「ちっげーよ! 俺は盗賊!! このクラム盗賊団頭領のクラムだ!!」



 ったくよ! 魔王だなんて失礼するぜ。



「ぉぃ、きいたか?」

「ぇぇ、聞きました」

「やっぱりあいつがボスだ」

「悪の元締め、つまり魔王ですね」

「あぁ、だからなにしても俺たちは許される」



 なんか幼女とおっさんがコソコソ話し始めやがった。

 時折背筋が寒くなるのは気のせいかな?



「先程の非礼を詫びよう」

「まぁ、別にいいぜ」

「貴様が魔王ではなく盗賊団の頭領だとはな!」

「はいはい、そうです。 だからなんだ!!」

「山形 博臣 24歳だ」

「へ?」

「自己紹介だ!」

「あ、はい。 ご丁寧にどうも」

「そして勇者だ!」

「嘘つけぇええ!!」

「勇者として貴様に命ずる!」

「俺のツッコミ無視かよ!」

「服を脱げ!」

「なぜに!?」

「そして俺にくれ」

「やだよ! 意味不明だよ!」



 やだなにこの人……こわい。



「拒否するか……仕方ない」



 そう言いながら、彼は腰を低くして尻を上げ始めた。


 現代人ならクラウチングスタートのポーズをしていると理解しただろう。


 そして顔だけをこちらに向けて、熱い眼差しを向け。


 一言。



「おパンティー下さい!」



 ……俺の意識はそこで途絶えた。

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