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第12話 歴史上の偉人はみんなワイシャツから着る。

 初めに誤解がないように弁明させてほしい。

 男とは先にワイシャツを着る人種だと言うことを。


 わかる、よく分かるぞ?


 俺はブリーフから履きますが何か? とか言いたいんだろ?

 そんなマイナー所属のブリーフ優先派のことなんて気にするな。


 大多数はワイシャツ優先派だ。


 俺が決めた、今決めた。 反論は許す。


 つまりだ、人の習慣とは怖いもので、本当に人は追い込まれた時。

 一番安心する行動を優先して行うものだ。


 無意識に人は習慣を優先する生き物。


 俺は常日頃からワイシャツを優先して着ていた、これはもう無意識の中での出来事という他ない。


 あ! 服がない! 着なきゃ!!


 と異世界から帰った時、俺はすぐにそう思った。


 脱衣所にはワイシャツとボクサーパンツ。

 どっちを選ぶべきか?


 着なきゃ! 早く着なきゃ! と焦っていた俺は。


 迷うことなくワイシャツを選んだ。


 ………これは運命だったんだよ。



「……人は運命には逆らえない生き物なのだ」

「フルチンだけど?」



 そうだ、フルチンの宿命には逆らえなかったんだお嬢さん。


 だから許してね☆




「お姉ちゃん、とまあ。 こんなんですが一応勇者なの」

「変態だけど、勇者なのは分かったわ……………変態だけど」


 ………二回も言わないで?

 俺メンタルそんなに強くないから。


 いつもは普通ですから! 今回たまたまタイミングが悪かっただけですから!!


「いつもは服を着てるんですお姉さん」

「おね……貴方にお姉さんとか言われると鳥肌が立つわ!」


 もう関係修復が不可能みたいだ。

 コンテニューボタンを至急要請する。




 俺は改めて、じっくりとお姉さんであるサバサさんを見た。


「……………キモッ」


 …………小声でなんか言われているが気にしないでおこう。


 こう言っては何だが確かにヘレナと似ている。

 青い髪に青い目、女性特有のくびれなど、ヘレナに比べたら成熟度が段違いだけどな。


 素直に言って可愛い。


 ヘレナのお姉さんなのか………。


 …………。


 ………………。



「………なあ? お兄ちゃんって言ってみて?」

「キッッッッッモッ!!!!!」


 もう一度言おう。



 修復不可能みたいだ。



 …………はぁ。


 …………そうかぁ。


 ………………………仕方ないな。



 …………。


 …………………。


「じゃあ勇者さま! って言ってくれない?」

「何言ってんの!? この変態!!」



 ………もう一回だけ言わせて。




 ……………このままでいい気がしてきた。



 俺は知っている、これはいわゆるツンデレというやつだと言うことを。


 そう、これはツンデレだ。

 間違いない、うん。


「あーもぅ、頭痛くなってきた」


 サバサさんが頭に手を当てて左右に振った。

 悩み事があるらしい、大変だな。


「とりあえず、その………何だっけ?」

「やまちゃんと申します」

「やまちゃ………いや、あんたさっきヤマガタとか言われてたでしょ?」

「それは偽名です、本名はオニイ・チャン・ダイスキです」

「やまちゃんどこ行ったあああ!!!??」



 また頭をブンブン振って拳を握りしめて何かに耐えているみたいだな。

 ………そうか、君もストレス社会の被害者なんだね。


「まぁ、戯言はいい。 さっさとこの場を収めよう」

「お前が言うの!?」


 そうは言うがな、周り全裸の男まみれだぞ?

 教育上悪い。


「こんな全裸の男ばかり見ていたらヘレナの教育に良くないからな」

「それ! あんたも含まれてるからね??!!」


 それは心外だ!


「サバサお姉ちゃん、俺は勇者だぞ??」

「全裸のな、あとお前がお姉ちゃん言うな」


 全く聞き分けのないプリティーガールだ。

 ヘレナに頼むしかないな。


「ヘレナや」

「なにヤマガタ?」

「俺をもう一回帰してくれないか?」

「あーそれなんだけどね」

「うん?」

「元々もう、私の魔力無くなりそうなの」

「え?」


 は? 待て待て!


「待て! 耐えろ! 魔力踏ん張って耐えろ! 尻にキュッ!っと力を込めれば魔力が回復する!!」

「………いやヤマガタ、魔力は生理現象じゃないので」

「まだ、お姉さんに弁明出来てない! このままだと印象最悪だ!」

「………今のままでも十分に最悪です変態」

「ヒデュイッ!」

「と言うわけだから、またね! ヤマガタ!」

「ヒッデュイッ!!!」


 シュンッ!!


 と言う音を立てて、俺は一瞬にして元の世界に戻った。



 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



「んあ?」



 気付けば、俺は脱衣所で寝ていたみたいだ。

 何故だろうか、寝ていた間に新たな性癖に目覚めかけていた気がする。


 ………いや、現実逃避はよそう。


 俺は全裸だった。


 これは紛れもない事実だ、ノンフィクションだ。


 ……嫌なノンフィクションもあったものだな。


 自身を振り返ってみると、なるほどワイシャツとはチ○ポまでは隠せないということか。

 これは、ワイシャツの作りが甘いと言わざる終えない。


 可愛い子が、ブカブカのワイシャツを来て。 袖から控えめに手を出している情景を想像してみよう。


 うーん………至高だな。


 対して、標準サイズのワイシャツを着ている一般サラリーマンが下半身を丸出しにしているこの情景を想像してみよう。


 ………全裸よりも変態度が高いことに気づいただろう。


 そして、そんな変態的な現実を受け入れて尚、より気づかないといけない案件が発生していた。


 私は常に風呂場には置き時計をつけている、それは風呂上がりの時間を確認することが。電車に乗り遅れない秘訣だからさ。

 その置き時計は本日に限り、盛大に壊れてしまったらしい。



 PM 16:56。



 ほぅ、PMか………よく九州で警戒放送がされる、あの大気を汚染する物質か。


 ……ここ東京なんだけどね。


 ………。


 ……………。


 ……俺は脱衣所にあった携帯を開いた。



 未読メールが57件あります。



 ………。



 ……………夢だろう?



 不在着信が7件あります。



 ………。


 ……………。


 俺は、夕焼け空の中、風呂の窓から差し込む夕日に向かって涙を流した。



「既読スルーじゃ無い分、まだマシだな」


 男のつぶやきは、ちょっと意味が分からなかった。

 追い込まれすぎてポジティブになってた。



「…………とりあえず、お土産買おう」



 男は、旅行に行った程にすることを決め込んだ。




 その日、閉店ギリギリのお店にアホみたいに爆買いする日本人サラリーマンがいた。

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