海
「若!お呼びですか?」
「弁慶!車とやらで海に連れていってくれ!」
「海、ですか?」
「そうだ!ここなんだが。」
雑誌を取り出し、地図を見せる若。
「ここですか。ここなら日帰りで行けますよ。」
「そうか!よろしく頼む!」
「はい!かしこまりました!」
さて急いで準備しないと!
しかし…
海?
今まで一度も行きたいなんて言ったことなかったのに。
準備をしながら不思議がる弁慶
まあ、久々に海に行けるの楽しみだな!
ウキウキしながら、準備する弁慶
「若!準備が整いましたよ。」
「わたしもだ。」
若は大きなカバンを一つ持っていた。
「それは?」
「着替えだ。」
「なるほど。それではいきましょう!忘れ物はないですか?」
「大丈夫だ!」
「では、出発〜!」
「つきましたよ。若!」
「あ、ああ。寝てしまったな。」
車を停めた目の前がビーチだった。
「若、車の後ろでお着替えください。」
「わかった。」
ガサゴソ
カバンを開ける音がして、しばらくすると
「弁慶、準備が終わったぞ!」
「では、拙者も。」
すれ違いざま若を見ると、ちゃんと普通に水着を来ていてホッとした。
ふんどしででてきたらどうしようかなと思ったけど、よかった…
弁慶も車の後ろで水着に着替えると、パラソルやビーチボールなどなどを持って、若とビーチへ向かった。
「この辺りがよろしいかと思います。」
荷物を下ろすとパラソルを立てる。
「よーし弁慶!海に入るぞー!」
「はーい!」
二人海に向かって走り出した。
パシャパシャ パシャパシャ
楽しそうに走る二人
パシャパシャ パシャパシャ
まだ走る まだ…
若は楽しそう。
弁慶はふと立ち止まった。
「若、いつまで走っても泳ぐ深さになりませんな?」
「そうか?」
「若、パラソルに戻って、水を飲んできます。」
「そうか、わかった。」
弁慶は、一人荷物のところに戻った。
パラソルの日陰に腰を下ろすと、水をごくごくと飲んだ
「ふぅー。」
一息ついて海の方を見ると、若が楽しそうに海を歩いている。
それにしても。ゆっくり辺りを見回すと、どの人も歩いていて、膝くらいまでしか海水がない。
「??」
ふと、若の荷物にささっている雑誌が、目に入った。
これ、出発前に地図をみた雑誌だ…
そっと取り出してみてみると、
『金槌でも楽しめる!海水浴場10選!!』
………
若、泳げなかったんですね…
パラパラめくると、
『どこまでも遠浅!泳げる人と行っても、無理に深いところまで連れていかれる心配もなし!遠浅だから、泳げないと告白する必要もなし!金槌さんが自由に楽しめること間違いなし!!』
そうか、本当は若も海で遊びたかったんだな。だけど、金槌で…
なんともいじらしい…
ん?おすすめの水着?
これは今、若が来ている水着ではないか!?
こんなに準備していたなんて、海に行くのをよっぽど楽しみにしていたのだな。
よーし、そんな若にとって楽しい思い出になるように、拙者張り切りますよー!!
もとの場所に雑誌を戻すと、若の分の水筒を持って立ち上がる。
「若!水分補給は大事です!水分を取ったらビーチバレーをして、それから、貝殻を拾って、砂で山を作りましょう!!」
「わかった!楽しそうだな!!今行く!!」
若には黙っておこう。
また、墓場まで持っていく秘密ができたな…
でも、若のお心を大事にするためだ…
あんなに楽しそうだし。
それにしても………
若、金槌であったのか…ぷくくくっ
肩を揺らす弁慶。
やっぱり少し悪いことを考える弁慶なのであった。




