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うかつぼう弁慶  ーかの有名な方と同名で、恥じぬよう日々励んでおりますー  作者: 雲母あお


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剣術大会

「若!お呼びですか?」

「サケを頼む。」

「サケ、ですね?」

「そうだ!」

「かしこまりました!」


「若!着付けに一杯ってとこですか!?さすがです!」

「なにを言っておるのだ?行くぞ!弁慶。」

「はい!」



今日は剣術大会。


弁慶お手製のエンジン付き車?

に乗って、剣術大会の会場へ向かう。

揺れすぎて、若はすでに乗り物酔いだ…

弁慶は、意気揚々と車をとめ、一緒に開会式にでる。


「若、私も頑張ります!」

「ああ、検討を祈る!」


若と弁慶は、年齢別の大会で、会場が異なる。


「若、お昼はご一緒しましょう!」

「ああ、ではここで待ち合わせをしよう。」

「はい、それでは。若も頑張ってください!」

「うむ。頑張ってくる。」


若の出番は最後の方。お昼を挟んで午後の部だった。

午前中の競技が終わり、お昼休み。

弁慶と日の当たるベンチでお昼を広げる。


「やはり、おにぎりの具は鮭に限るな。」


「うむ、やはり鮭のおにぎりは美味しいな。ありがとう、弁慶。」

嬉しそうに頬張る若。


「いえ。」

弁慶も食べながら、水筒を取り出し、器に注ぐとぐいっと飲んだ。

「おかずは煮物か。ちと辛いな。」

「若、どうぞ。」

「ありがとう。」

飲み物の入った器を受け取るとぐいっと飲んだ。


「上手い。なんだこれは?」

「これですか?着付け薬です。若が朝用意しろとおっしゃった。」


「え?気付け薬?」

そんなもの頼んだ覚えはないな。若は困惑する。


「はい。試合は戦い。戦いは怖いので、勇気を出すために私は飲んでいます。」


それを聞いた若は、実は試合がとても怖かったので、興味を示した。


「それは悪いものではないのか?」

「そんなものではありません。」

「そうか。確かに体が熱くなって力が湧くようだぞ。」

「左様ですか。」

弁慶はニコニコしながら、同じものを飲んでいる。

それを見た若も、弁慶が飲んでいるならばと飲み始めた。


「さあ、若、出番です!」

「ああ、行ってくる!」


「はじめ!」

審判の合図で試合が開始した。


「とう!」

「やあ!」


若の足は千鳥足。剣もゆらゆら。予測のできない行動に、相手選手は戸惑うばかり。


「もらっら〜!」

呂律も回っていない若の『ふらふら剣』に、意表をつかれてやられる相手。


「勝者、若!」

わぁー!!

歓声が鳴り響く。弁慶もとっても嬉しそう。


その後、弁慶は準決勝で敗退。


若はと言えば、ふらふら千鳥足で相手の剣を上手くかわし、ふらふらゆらゆら剣で、痛みを与えることなく相手をゆる〜くうちまかし、

「優勝、若!」

「ありらとうござりまする〜。」

陽気に手を振る若。


「あのぅ、もしかして酔っていらっしゃるわけではありませんよね?」

主催者側に突っ込まれ、慌てた弁慶が若の横にスッとたち、

「あまりの嬉しさにハイになっているだけでございます。それでは失礼いたします。」

さっと若を小脇に抱えると、その場を後にした。


「弁慶の気付け薬はよく効くな〜。今日は全然怖くなかったぞ。楽しかったなあ。」

「左様でございますか。」


若は、お酒を飲むとあのようなハイテンションになるお方だったのかー!?

よもや言えまい。よもや今後お酒は呑ますまい。

「若、お酒を飲んだことはありますか?」

「酒?ないな。」

「そうですか。」


お酒、知らないのか。飲んだこと、ないのか……

では、朝言っていたサケは酒のことではなかったのか……?



そう!それが「うかつぼう弁慶」



これは墓場まで黙っておくことにしよう。

若にはこれからお酒はNGにしよう…

そうしよう…

うん…そうしよう……


ところが…


帰りの車で、若は陽気に

「この揺れは心地いいぞ〜」

と言ってあっという間に寝てしまった。


「乗り物に弱い若を乗り物に乗せるときは、酔い止めの薬ですって言って飲ませるか…?」

すやすや眠る若の顔を見て、悪いことばかり考える弁慶なのであった。

お読みいただきありがとうございました。

次回は7月26日です。

お楽しみに!

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