2049年10月
2049年10月1日 金曜日 晴れ
僕は夢の中で斧をもっていた。君は言った。優れた斧は腕と肩の比率に近いほどいいんだ、と君は言いながら振り下ろした先には、吸血鬼がいた。君は問うた。人ナビが優れた働きをするのは、人ナビが持ち主の知性と知識と感情の比率に近いからだが、君はどう思う?
2049年10月10日 日曜日 晴れ
三連休の真ん中。
連休が本当に助かる。三連休の間に、絶不調の人ナビを修理してもらえるから。
夢の中では相変わらず君が僕へ語りかけてくる。君に従えば、人ナビが不調なのは僕の知性と知識と感情との相性が悪いのか、そもそも、僕自身が悪いのか、だ。君は執拗に僕の血を吸おうとする吸血鬼や吸血性の怪物たちを斧で滅茶苦茶に倒しながら、繰り返す。
2049年10月15日 金曜日 雨
修理された人ナビは破滅的に絶不調だ。
君はいよいよ実体に近い様相で僕の夢枕に座っている。床は血まみれで、君は笑顔だ。季節は寒くなりつつあり、僕は冬が苦手だ。君らの世界は、まるで解剖されて培養複製された君自身だ、と君はいうけど、だったら、君は僕の複製なのだろうか?そして、なぜ、人ナビは君を記録しないんだ?
君は泣きそうな顔をした。僕に背を向けて啜り哭く。僕が口を開こうとした刹那に、君は自分が人間だと思うのかい? と泣きながら笑った両目と口を向けるから、僕は驚いて目を覚ました。
時計は午前二時半だった。
2049年10月31日 日曜日 雨
冷たい雨だ。
とうとう文科局から面談通知がきた。あまりにも凄まじい不調がどんな理由なのか、僕は身体検査される。前に、同級生で一人、身体検査されてたけれど、彼はどうなったんだっけ。よく思い出せない。




