表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寝ているだけで代理人が世界征服してしまった話  作者: ルリア
第4章 創世編
79/195

宇宙

「自殺倶楽部」のメンバーには、

数字が割り振られている。


1は、節子。

2は、僕。

3は、諜報専門の「(トリスメギストス)」。

4は、灯美子。

5は、実戦部隊の五枚の(サンクト・フォルテ)

6は、空席。

7は、空席。

8は、記録部門の無限図書館の(インフィニティ・ガード)。通称「瓢箪」。

9は、一女子。


BGさんはとても頭も良くて、

お金もあって、

要路に顔の効く人らしい。


らしい、

というのは、

実は僕は彼を良くしらない。


BGさんを「彼」といっていても、

彼が初老の紳士姿だけれども、

実は女性だったとしても驚かないくらいに、

僕は五感から得られる情報に重きをおけない。


それは、

未来を視てしまうからに他ならない。


たとえば、

僕が月で暮らしている夢を視たとする。


これを病院で話すと、

面倒な問診と時間のかかる検査の後、

大抵は夢占い程度の所見がでる。


これは、

それこそ、

古代のアッシリアで発行された夢占いの本や、

原始キリスト教の預言をもらう時の夢解釈と大してかわらない。


けれども、

僕の場合は、

今と月にいる僕の間にある現実的困難さが破滅的であったとしても、

僕が月で暮らすのは確定している。


そうした事柄で複雑に編み上がったのが僕の記憶だ。


それをBGさんは貴重品だと思ってくれたのだろう。


そして当然のように、

その記憶の中には、

BGさんの将来も入っている。


そうした時、

僕がただの電子的反応でしかない五感だけに頼って、

感情的反応したところで、

それはよくて、

まぁ、人間の考えるとことだから、

という19世紀的日本的仏教観以上にはなり得ようはずもない。


で、

BGさんの日常はといえば、

20世紀的大会社の役員的だった。


彼がこの空中都市アカーシャにいるのは稀で、

世界中を自家用機で飛び回っている。


そうして、

レムがネットワーク上の各種操作では対処できなかった問題を、

具体的に始末していくわけだ。


時にはお金で、

時には地位で、

時には暴力で、

時にはその他の考えられるすべての方法で、

それらを解決するめたの組織が「自殺倶楽部」だ。


僕からすれば、

BGさんこそ、

この世界の統治者のような気がするが、

彼にはそうした考えはないらしく、

どちらかというと世界に奉仕する執事的役割を気に入っているらしい。


ちなみに、

自殺倶楽部に入る時には、

必ずBGさんが勧誘して、

彼自ら面接する。


アカーシャの中には、

彼専用のお城のような家もあるのだけれども、

彼が帰宅するのは、

この面接と、

直接、

僕と話す必要がある時くらいかな。


あと、

なぜか、

僕と節子と、

二人の魔女神(ウィッチゴッテス)も番号を割り振られているけれども、

これは洒落ではなく、

システム上で僕らの全面的自由行動を可能するために必要な処置らしい。


そんなことで、

実は二人の魔女神専用邸宅も、

アカーシャには用意されているけれど、

二人が使った形跡はまだない。


⭐️


2070年代に、

人間・ペイガン問題が発生して、

BGさんとレムの間で緊張関係が生まれたことがあるらしい。


BGさんは人間らしく、

これまでのように共存共栄、

逆にレムは分離共存を主張した。


どちらが正しいのか、

それを決定づける要素には乏しく、

それらはいってしまえば、

二人の演算回路の構造差異に還元されてしまうのだけれども、

この対立が決定的になりそうな時、

「霊子量の限界問題」が発覚した。


冷凍睡眠中の僕の幼体化が判明し、

その原因が霊子の時間消去効果にあることがわかった。


それを阻止して、

レムの完成を目指すとなると、

課題となったのは、

僕の内部から湧き出る霊子量をどうするかだった。


レムの出した計算結果では、

僕を中心とした一辺が12キロの立方体を構成し、

それを成層圏以上に浮遊させることで、

霊子の出現量と消費量とをなんとか均衡させるられることが判明した。


2080年代、

史上最大の建造物は作り始められ、

2090年代当初にはほぼ完成した。


そんなことだから、

最初、

この馬鹿でかい建築物の中にいたのは、

僕とBGさんとレムだけだった。


そこから先、

再び人類・ペイガン問題へと注力できるようになった時、

二人は人類移住で合意したわけだ。


10年かけて考えうる限りの方法で行われた移住には、

想像したような困難さはなかった。


二億人を選択的に移住させるというと、

大変なことだと思うかもしれないが、

日常ですら世界中で、

年に、3/1000人が失踪しているわけだから、

身近な人間が一人二人と消えても、

社会全体の問題にはならなかったし、

ないらないように二人が操作した。


消えて問題になる人物には、

電子的な代理人が作られ、

以前と同じような人間関係が維持された。


そうしたことに必要な技術的な蓄積は、

21世紀初頭のSNSなどによって済んでいたし、

人を任意の場所へと率先として移動させる手段なども、

同じ時期、

アメリカ政府をパトロンとして、

普及型ゲームとして完成していた。


21世紀中頃には、

人が自ら進んで情報操作に加担し引っかかっていった。


もし、

僕たちが正体を明かさなければ、

世界は操作され続けたまま、

しばらく幸せない幻を生き続けられただろうに、

と思わなくもない。


まぁ、

そうこうしいる内に100年が経ち、

僕の代理人としてのレムは完成し、

僕は冷凍睡眠から無事に目覚めた。


嬉しいことに、

節子も側にいた。


誤算だったのは、

ペイガンの愚かさを過小に見積もっていたいことだ。


彼は僕が目覚めて、

BGさんとレムが僕たちの存在を世界へと公表した途端、

持っている核兵器の全てを僕に叩きつけてきた。


正直、

驚いたけれども、

まぁ、

視た夢の想定内ではある。


もし、

あの時、

宇宙から地球を眺めたら、

さながら、

盛大な花火大会のようだったろう。


とりあえず、

それをレムリア建国の祝砲としておこう、

と思えるようになったのは、

随分と経ってからだった。


目覚めたら、

僕の代理人は世界を征服済みで、

僕は世界を統治することの困難さに直面することになった、

というのが現実だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ