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寝ているだけで代理人が世界征服してしまった話  作者: ルリア
第4章 創世編
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食国

莫迦だった。


ここから出る方法をきいていなかったことではなく、

私の人生への感想だ。


あと、

あまりにも肉片が散り続けるの見すぎたせいで、

肉を食べられなくなった、

というか、

食べたいと思わなくなった。


まぁ、

それが一番の変化だな。


「そうだね」


「ああ、そうなんだ」


「でも、美味しいよ」


「ああ、」

と、そこまで話してから気がついた。

誰と話してるんだ?


横を向くと、

私より少し小さい男の子が座っていた。


「僕? 僕のことはコウってよんで」


「ああ、と。私は」


「君の名前は山田悠紀君。実年齢は20歳。肉体年齢は10歳、であってるかな?」


「そうだが、君はあの誰だ?」


「僕はただの少年だよ」


この時、

また、電車が母子をひいて血肉が飛び散った。

コウと名乗った男の子が真っ青になった。

そりゃそうかと思い、

「大丈夫か」

と、ダメ、というので、

私は彼をつれて駅の外に出た。


平凡な駅前の風景だが、

彼らは息を吸って吐いて、

少し楽しそうに辺りを見渡した。


「あそこ、行っていい?」


喫茶店か?


「ああ、いいけど」


私たちは古風な喫茶店に入った。

コーヒーの香りに浸され続けて、

部屋中からいい香りがする。


そういえば、

この世界に入ってから、

味わって食事をしたことがなかったな。


しかし、

子供二人でこの純喫茶ぽい店で向かい合わせで座っているのは、

とても奇妙だがいいのだろうか。


「ご両親と待ち合わせ?」

と、優しく店員が訊いてきた。

そりゃそうだうろな。


「うん」

と、彼が返事をした。


「僕はね、このパンケーキとレモネード」


言い終えると私をみた。


「あ、わたしはコーヒーを下さい」


大人っぽいのね、と彼女を笑いながらカウンターの中に入っていった。


「ほんとうにビックリしたよ」

と、コウがいった。


「どれだけ殺すのかなって」


「そんなに殺したかな」


「これまでで最高得点だね。断トツに」


そうなのか、と私は急に恐ろしくなった。


「わたしはこれから地獄へ行くのか?

 それとも、もうここが地獄なのか?」


彼は頬杖ついて、

「君は莫迦なのか?」

と、私を観察するようにみた。


「それとも、

BGさんの機械が不完全で記憶障害でも起こしているのか?

だとしたら、

僕も壊れている可能性があるな」


「君も、」


「コウでいいよ」


「コウもここに入ったのか?」


「入ったとも、100年間ね」


「100年!?」


「ちなみに君はまだ一時間」


「そんなはずはない。私は何度も何度も殺したぞ」


「そうだね、本当によく飽きもせずに殺せたものさ。

でもね、

人間五十年ていうだろ。

ここの五十年は外の一日なんだよ」


なんだ、

この浦島太郎のような話は。

私の頭が真っ白になっていると、

パンケーキとレモネードとコーヒーがテーブルに並んだ。


「BGさん、

君に説明しなかった?」


「うん、いや、覚えがない」


「ただの手抜きかな」

と、コウはレモネードを飲んだ。


「私はどうなるのだろうか?」


「どうって?」


「いや、こんなに人を殺しておいてなんなんだが、

ここから出られるのかな」


コウはパンケーキを切り分けて、

その半分を取り皿に載せた。


「お食べ」


私が躊躇していると彼はいった。


「甘いものを食べないと、

頭がまわらないよ。

それに、

ロクなものを食べてなかったんだろ」


コーヒーを啜った。

火傷しそな熱さを感じた。

こんなのは、

ここにきてから初めてだった。


「昔の神様というか王様はさ、

世界が自分のもだと証明するために、

世界中のもを食べたそうだよ。

それをね、

食国(をすくに)っていうんだって」


私は渡されたパンケーキを食べながら、

コウの話をきいた。


彼曰く、

人間は一人一人が一つの宇宙で、

一つの宇宙の中には他の全ての宇宙が入っていて、

他の宇宙の中には私の宇宙も含めて全ての宇宙が入り、

私の中には他の全ての宇宙が入っているそうだ。


人の姿は壊れても、

宇宙としての人は壊れることなく永遠で、

人の喜怒哀楽も愛憎も、

肉体がある瞬間の貴重な経験らしい。


コウはいった。


悠紀君がしたくないと思うことが生まれると、

君の宇宙の中に虚空(せかい)が生まれる。

虚空(せかい)はいずれ大きくなって、

全て宇宙(ひと)の虚空がより集まって、

あたらしい宇宙(ひと)が誕生するんだよ。


彼の言葉が心に染み込んでいく感覚とともに、

私は目覚めた。



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