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寝ているだけで代理人が世界征服してしまった話  作者: ルリア
第3章 自殺俱楽部編
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終焉と始原4

「人間(僕にとってはペイガン)の役割が<労働>と< 奉仕>」で、

それさえこなせば、

創造主は人間(ペイガン)がどう生きようが無関心だ、

と、ある神話研究者が書いていたけれども、

僕が愛し、

永遠に出逢いつづける節子が始まりのペイガンなんだから、

無関心でいられるわけがない。


「節子さんて何歳?」


唐突に灯美子(ひみこ)が上目遣いでみた。


「20代ですよ」


「そりゃないわ」


「25歳くらいですか?」

と、ノーラがいった。


節子が嬉しそうにしていると、

「薄化粧の年増っていうのよ、ね」

と、灯美子がいうものだから、

「それは芸者さんの話です」

と、節子はお冠だ。


一女子が長身を椅子から逸らして大笑いした。


まぁ、悪いたとえ話ではないけれど、

思い出してみれば、

百年余年前、

僕がまだ二十代後半で、

節子は三十代後半だった。


初めて一緒に朝を迎えた時は感じなかったけれど、

だいぶ経ってから、

初めて化粧っていいなと思った。


寝顔の可愛さも捨てがたいけれど、

化粧して綺麗になって素敵な服を着た彼女の姿は、

本当に綺麗だったからだ。


「レム、狸親父してないで、戻っといで」


薄く口元がにやけている僕をみながら、

背後で沈黙をつづけていたレムに一女子が話しかけた。


「そろそろ終わったんだろ。すごいのが飛んでったよ」


「みえちゃいました?」


「みえるよ、ね」


「改良の余地ありですか」


「仕方ないよ。この2人にみえないものなんて、この宇宙にはないんだから」

と、僕はレムを慰めた。


5枚葉(サンクトフォルテ)の薬師、サラ、ガレノスの三人が非現実化シールドで「幽霊」化しても、

一女子と灯美子の「眼」は誤魔化せなかった。


じゃ、

と僕とレムは考えた。


「3(トリスメギストス)」は気づかれているかな?


自殺倶楽部の諜報部門「3」、

通称「三倍の偉大さ(トリスメギストス)」。


「美味しかった、ね」


灯美子がいった。


「散歩するか」


一女子(ひめこ)がいった。


「どこへ?」


ノーラがいった。


「幽霊探し、ね」


「おばけがいるの? あたし、おばけ、大好き」

と、ノーラが身をのりだした。


「どこにいるの?」


「あっち」

と、一女子が指差した先にあるのは、

六本木ヒルズだった。


僕らは執事と、

午後用の黒と白の服に変わったメイドに見送られ、

店を出て左へと角を曲がって進んだ。


小径の左側にお寺と墓地がある。


「ここ?」

と、ノーラが言った。


「今日はいない」


長身の一女子が更に背伸びして塀の中を見渡して、

「あっち、かな?」

と、真っ直ぐ先の少し左が向いた。


そういえば、

さっきから節子は15センチほど低い場所にある僕の首に腕をまわしている。


最初は「薄化粧の年増」といわれて拗ねて黙っているのかと思ったけれど、

考えてみれば、

彼女は「お化け」が苦手だった。


そもそも、

ペイガンはお化けが苦手なんだ。


だから、

彼らは「演算的卜占」、

要するに星占いや、

お祓いなんかに熱中する。


僕は節子を見上げて、

頭を撫でた。


こういう可愛さも、

悪くない。

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