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寝ているだけで代理人が世界征服してしまった話  作者: ルリア
第3章 自殺俱楽部編
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誓約と覚醒4

生まれたての赤ん坊、

もしくはお腹の中の胎児を取り出して、

その皮を剥いで本にする。


それが人皮本(ベラム)だ。

胎児の霊子貯蔵性の高さを活用して、

本来、

霊子を宿したり生み出せない自分(ペイガン)たちでも、

霊子を駆使して僕たちと戦えるように、

という意図からだが、

正気に考えてできることではない。


けれど、

昔を思い出してみれば、

かつてギリシャ人が世界の果てと名付けたウクライナよりも東にいったコーカサスには、

殺した相手の頭蓋骨で酒杯を作ったり、

頭の皮を首からぶら下げたり、

腕の皮で矢筒を作ったりした。

ここでも白い肌ほど珍重された。


数千年ほど隔ているが、

ペイガンの性質は変化しない。


核兵器を凌ぐ霊子の力に目覚めた彼らが、

その最も尖鋭たる、

かつて20世紀中期に人体に対するあくなき破壊と実験で名を馳せた、

親衛隊と行動部隊(アンザッツグルッペン)の元隊員たちが、

敗戦後の互助組織として作り上げた組織が成長して出来た「沈黙の友情」が、

その実行部隊になっのは、

歴史の流れとしては至極当然のように思える。


そして今、

BGさんが戦っているのは、

彼らが研究製造しようとしいた施設と、

「沈黙の友情」の本部だった。


それなりに武装されていたのを、

人犬型オートマタで排除し、

中に入っていたっのは、

BGさんが作り上げた、

自殺倶楽部(ザ・スーサイド・クラブ)」と名乗っている集団の内、

「5番」と呼ばれている人々だった。


僕が「なんで5番なの? 4番も6番もないよね」

と、訊いたら、

「古代医術で<5>という数字は毒への強い耐性と治癒力を表す言葉なのです」

と、いっていた。


要するに、

今のBGさんが思い描いていのは、

この宇宙の毒をどうにかしなくちゃいけない、だ。


そして、

自殺倶楽部の人々に、

それは全くといっていいほどに、

適任だ。


彼らは、

人の世にあって、

一度は狂気に深く入り込んでしまった人たちなのだから。


親との関係、

友人との関係、

恋人との関係、

その他の全ての関係において、

裏切り、憎しみ、愛しみ、慈しみ、

信頼、背徳、奪い奪われ、

そして、絶望。

それも人間という己が宇宙で唯一の種として、

同じ種の仲間や連れ合いをもてない存在としての、

絶対的孤独。


それを補うはずの霊子による共感が、

霊子が伝えてくる自分と違う種としての人間の「心」で心が凍ってしまった人々。


その最も深く暗い世界の縁にいた人々を、

BGさんは集めた。


それが「自殺倶楽部」。


「レムが成長しているの観察していて、

思いついたのです」

と、BGさんは言った。


「もしかしたら、

この技術を援用すれば、

自分に苦しむ人を救えるのではないかと」





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