誓約と覚醒2
アカーシャに核兵器が降り注いだ日だ。
僕は確かに、
核ミサイルの爆発で、
断続的に真っ白に輝く空を見上げ、
節子に抱きしめられながら、
思い出していた。
刹那の間、
僕は別の時間にいたんだ。
あの時、
少しだけ思い出した。
僕が誰で、
僕たちがどんな存在なのか。
そんな時、
昼食の鳥料理を運んできたのがノーラ・コロドスだったのも、
僕にとっては懐かしさを感じさせた。
あのギリシアの最後の王とプラトンと、
また、
また僕らの結婚の日に会えるなんて、
そんな嬉しい出来事があるなんて。
「全部じゃないけど、少しだけ、思い出しているよ」
と、僕は返事をした。
皇帝核爆弾の時からです
と、レムが助けてくれた。
「ええ、あの時、私たちを守ってくれたのは、
本当のあなたのお力でした」
「今度は大陸ごと沈めちゃだめだよ」
と、一女子が言った。
「なにそれ?」
と、ノーラが訊いた。
「この人ね、8500年前の時はね、
怒っちゃって、
地中海を広げちゃったの、ね」
「?」
「大陸を引き裂いたのよ」
「違うよ、あれは王国ごと転移させようとして」
「して?」
「失敗しました・・・」
激しく戦い続ける西方海洋諸王国と欧州諸都市連合国を地理的に引き離そうとして、
地殻変動を起こしすぎた。
おかげで沿岸都市の大半が水没してしまった。
ノーラにはギリシャの多島海を僕が作ったとは言えないなぁ。
「コウさんて、そんなに長く生きてるの?」
と、ノーラが当たり前すぎる疑問を口にした。
灯美子がおかっぱの赤い髪を指でクルクルしながら、
僕に訊いてきた。
「はなして、いいの、かな?」
「前に、人間は全員違う種なんだ、て話はしたんだけど」
「なら、いいんじゃない」
と、一女子。
「あのね、」
と、灯美子が言った。
「お腹空いた」
みんながそうだよね、という雰囲気の中で、
僕はメイドさんに差し湯と、
食事のメニューをお願いした。
思いの外、
話が長引いて、
僕も小腹が減ってきていた。
英国風のアフタヌーンティーとか、
色々とそれらしき品物を眺めていると、
最後のページに「出前」と書いてあった。
近くのお店から持ってきてもらえるらしい。
こんなのがあるんだ、
と僕が思っていると、
彼女たちが選んだのは、
老舗のたいやきだったので、
僕は、
同じ店のやきそばを頼んだ。
記憶通りなら、
夜店の屋台で焼いているようなチープな麺と、
甘辛のソースに焼き海苔と紅生姜。
そして、
ちょっと麺がのびている感じが好みなんだ。




