誓約と覚醒1
「なんですか、ここ?」
「節子さんは、嫌いだっけ」
一女子が言った。
「コウさんも嫌いですよ」
と、節子が言った。
すると、灯美子が
「好きだよ、ね?」
と、言った。
僕の後ろで幽霊として控えていたレムも、
「大好きですよね」
と、言ってしまったので、節子が僕を睨んだ。
「うーん、百年前のことだから、思い出せないなぁ」
「ねぇ」
と、一女子が座っても僕よりはるか高い位置から見下ろしながら、
「わすれたふりしてるんじゃないの?」
と、凄む。
「いや、こういうお店がすきかどうかといわれれば、あんまり、いったことはないかな」
ここは、南山荘から暗闇坂を下って平らになりかけた場所にある喫茶店だ。普通の喫茶店と違うのは、もともとがゲームやモデルガンといった玩具店だった関係で、店内に模造の銃器や古いゲーム器、さらには20世紀後半から21世紀前半のオタク系の物が色々と飾ってある。あと、店員は男は執事服、女はピンク色の足首まで隠れるドレスに襟には白いカラーという午前中仕様のメイド服だ。
僕らは、その店の入り口にあるテラス席で、ノーラを待っていた。彼女にかわりやすくと思ったのが、この白磁のような肌の白い2人が並んでいれば、いやでも人目を惹く。
灯美子が紅茶を運んできたメイドの足首をみた。
「ロンドン風なのね」
「あたしは白いソックスの方がいいわ」
「それはフランス風、ね」
灯美子が節子を指差した。
「そのスタンドフリルは、コウの好み?、かな」
「そうだよ」
と、僕がいった。
紅茶を取ろうとしたが、9歳のサイズの僕にはテーブルが少し高い。
節子が手伝ってくれた。
「まるで親子、ね」
「夫婦です」
すでに始めから不機嫌な節子がより不機嫌になった。
「にしても、なんであんな面倒な<誓約>をしたのよ」
節子が僕を横目でみた。
「大丈夫よ、ね」
「もう覚醒してるんでしょ」
僕は三人を見上げながら見渡した。
そんな時、ノーラが坂を下りてきた。
彼女はお誕生日席に座った。
「ごめん、マムが五月蝿くて」
マムというのは元国連事務総長で彼女の母親で、さっきまで南山荘で親子会議をしていた。
「説得したよ。これでみんなで暮らせる」
「よかった、ね」
と、灯美子が言った。
金髪碧眼の美少女が加わったことで、僕たちはより多くの通行人の注目の的なりながら、本題に入った。
「結局、殺すの?」
と、一女子。
こいつは昔からこの調子だ。
「だめ」
と、ノーラが言った。
「殺さないって、マムに約束したんだから」
「あなた?」
と、僕は節子に促され、
「そうだね、殺さないし、酷いことはしないつもりだよ」
とノーラに話しかける。
「このまま僕から溢れている霊子をレムのネットワークでペイガンに流すことで、平和を保てればいいと思ってるんだ」
「うーん、ありがたいんだけど、それって洗脳状態じゃない」
似ていますが、洗脳とは違います
レムが割って入った。
霊子を使ったマッサージのようなものです。恐怖心や闘争心を減少させることで、ペイガンの延命につながります
「微妙」
と、ノーラは言った。
「それよりも、人皮本はどうするの?」
「そっちはBGさんが対応しているけど」
「戦いになるの、ね」
「あと、あんた、覚醒してるでしょ、隠してもダメだからね」
「えーと」
「嘘は、だめ、よ」
「本当ですか、あなた?」
「何のは話?」
4人が僕を見つめ、
レムは幽霊のまま困った顔をしている。




