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きみはそんな男ではない
子供を二人、
育てていた。
とても大変で、
でも、
とても充実して、
生きている実感に満ち溢れている。
仕事や勉強や、
それこそ、
恋人や道ならぬ恋では味わえない幸せだ。
息子と娘、
彼らを保育園に送り、
迎えにいく日々。
母親とその行き帰りで合流してお茶をして、
子供たちの成長についての発見を、
お互いに語り合う度に、
僕はノーベル賞級の喜びを分かち合った。
そうした日々が過ぎ、
子供たちも大きくなった。
僕と母親が語り合う日々も少なくなる。
ちょっとした会話のはしばしで、
息子と娘が精神的自立を果たしたことに大きな喜びと、
深い寂しさを感じつつ、
自分の人生が老境へと入りつつあることを感じる。
幸せな日々は過ぎ去ってしまったかのように感じてしまう。
そう、
僕が冷凍されていた間にみていたのは、
確か、
こんな夢だったよ、
BG。
でも、
わかっている。
そんな男ではないんだ。
きみのいうとおり。




