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19話 LINK

19話 LINK

第19話 LINK


――AX班訓練場。


冷えた空気。


静かな緊張。


総司が、刀を抜く。


菊一文字。


「……いくよ」


軽く振り返る。


「……うん」


美雪が、すぐそばで応じる。


「合わせる」


その一言で――


冷気が流れ込む。


刃が、白く染まる。


雪の紋様が、静かに浮かび上がる。


同時に。


総司の胸元。


ネックレスが、淡く光を帯びる。


それに呼応するように。


美雪の胸元でも、同じ光が静かに揺れている。


だが――


二人とも、気づかない。


「……いいね」


総司が、小さく呟く。


踏み込む。


一閃。


――氷の斬撃が飛ぶ。


空気を裂き、一直線に走る。


「遠距離も問題なし、か」


続けて、横薙ぎ。


地面が凍る。


次の瞬間。


氷柱が、連なる。


斬撃の軌道そのままに――


突き上がる。


「……範囲もいける」


「ちゃんと見てるね」


美雪が、少しだけ笑う。


「当たり前でしょ」


総司も軽く返す。


踏み込む。


斬る。


触れた瞬間――


対象が、凍る。


「……凍結も十分」


「深くもできるよ」


美雪が、少しだけ顎を上げる。


冷気が、わずかに強まる。


胸元の光も、ほんの少しだけ濃くなる。


だが――


やはり、気づかない。


「じゃあ――やってみる」


総司が間合いを詰める。


一瞬の静止。


「――無影」


一突き目。


凍結。


二突き目。


完全拘束。


三突き目――


内部から、砕ける。


パキンッ――


乾いた音が、響く。


静寂。


「……いい」


総司が、息を吐く。


「これ、決めにいける」


「でしょ」


美雪が、少しだけ満足そうに言う。


「でも――」


一歩、近づく。


「無理はしないでよ」


少しだけ真面目な声。


「ちゃんと使いこなして」


「分かってる」


総司が、静かに返す。


「必要な分だけ使う」


その言葉に。


美雪が、少しだけ目を細める。


「……いい判断」


小さく。


でも、どこか嬉しそうに。


「じゃあ――」


美雪が、少しだけ笑う。


「今度はそっちから来て」


「望むところ」


総司が踏み込む。


氷斬撃を飛ばす。


地面が凍る。


氷柱が連なる。


その間を縫うように――突っ込む。


「……これなら」


総司が、低く呟く。


「どんな状況でも、対応できる」


動きを止める。


刀を下ろす。


胸元の光が、ゆっくりと弱まっていく。


「……うん」


美雪が、頷く。


その胸元の光も、同じように消えていく。


「いい感じ」


一瞬。


視線が重なる。


「……最後は」


総司が、静かに言う。


「これで決める」


刃が、わずかに白く揺れる。


「――雪華三段突き」


その名だけで。


空気が、静かに凍りつく。


美雪が、そっと力を流す。


胸元の光が、再び淡く灯る。


「……いける」


小さく。


確信を込めて。


総司が、静かに頷く。


「……ああ」


その目は、もう迷っていない。


二人の力は、確かに重なっている。


だが――


その“意味”には、まだ気づいていない。


――同時刻、別区画。


簡易結界の中。


静かな緊張が満ちている。


「……準備は?」


晴明が、静かに問う。


「ええ」


セレナが、軽く肩を回す。


一歩、前へ。


「その前に――ちょっと試したいことがあるの」


「ほう」


晴明が、わずかに目を細める。


「少し勉強してみたのよ」


セレナが、足元に視線を落とす。


淡い光。


ルーンが、展開される。


空気が変わる。


「……ルーン魔術か」


晴明が、小さく頷く。


「ええ」


セレナが、軽く笑う。


「まだ準備いるけどね」


「でも十分だよ」


晴明が言う。


「ただ――少し遅い」


「……やっぱり分かる?」


セレナが肩をすくめる。


その時――


「簡略化できるよ」


晴明が、指を上げる。


空中をなぞる。


一瞬。


光の線が走る。


ルーンが、形成される。


即座に発動。


「……っ」


セレナが、わずかに目を見開く。


「ルーンは“文字”」


晴明が、静かに言う。


「陰陽術も“形”だ」


軽く、指を動かす。


「描けば、そのまま発動できる」


セレナが、ふっと笑う。


「なるほどね」


指を上げる。


空中に、なぞる。


最初は、少し遅い。


だが――


すぐに掴む。


「……こう?」


ルーンが、即座に発動する。


身体が軽くなる。


「いいね」


晴明が、頷く。


「それで十分だ」


「これなら戦闘中でも使える」


セレナが、ゲイ・ボルグを構える。


「じゃあ、いくわよ」


踏み込む。


「――Pierce Fate」


突き。


必中。


結界の核を、正確に貫く。


「……いいわね」


再び。


空中ルーン。


「――Break Causality」


放つ。


必中。


直撃。


「単体はこれで完成ね」


今度は、天の逆鉾。


「――天理断絶」


振る。


空間が裂ける。


「いい感じ」


一歩、引く。


「じゃあ――ここから」


晴明が前に出る。


「連携、いくよ」


空気が変わる。


符が舞う。


空間が固定される。


「いける」


「ええ」


セレナが応じる。


「――Pierce Fate」


突き。


必中。


その瞬間――


「……?」


セレナの視線が、わずかに動く。


胸元。


ネックレスが、淡く光る。


一瞬だけ。


だが――


見逃さない。


一度、下がる。


「もう一回」


「どうした?」


「いいから、合わせて」


再び。


「縛」


空間固定。


「――Break Causality」


放つ。


その瞬間――


また光る。


「……やっぱり」


セレナが、小さく呟く。


「どうした?」


晴明が問う。


セレナが、自分の胸元を指す。


「これ、光るのよ」


晴明が視線を落とす。


今は、光っていない。


「単体でやるわ」


放つ。


光らない。


「……で、今度は」


連携。


空間固定。


その瞬間――


光る。


「……これね」


セレナが、確信する。


「力を重ねた時だけ反応する」


晴明が、静かに目を細める。


「……面白い現象だ」


「でしょ?」


セレナが、軽く笑う。


「ま、今はいいか」


深く追わない。


だが――覚えている。


晴明も、小さく頷く。


「……覚えておこう」


そして――


「じゃあ最後」


セレナが、両手を構える。


「いくわよ」


「合わせるよ」


九字が展開される。


「急急如律令」


すべてが整う。


「――天因崩界」


「――Fate Collapse」


振る。


理が崩れ。


因果が固定され。


結界が、消し飛ぶ。


静寂。


「……いいじゃない」


セレナが、満足げに言う。


――医療区画。


静かな部屋。


機械音が、わずかに響く。


晋作は、ベッドに座っている。


肩には、まだ包帯。


窓から差し込む光が、白く揺れている。


「……ったく」


小さく呟く。


「情けねぇな」


扉が、静かに開く。


「そんなことないです」


茜が、入ってくる。


足音は、ほとんどしない。


まっすぐ、こちらへ歩いてくる。


「……来たか」


晋作が、視線を向ける。


「はい」


すぐそばまで来る。


ほんの少しだけ、距離が近い。


「具合、どうですか?」


「大したことねぇよ」


そう言いながら。


わずかに顔をしかめる。


それを――


茜は、見逃さない。


「……無理してますよね」


静かに。


優しく。


でも、逃がさない声。


晋作が、少しだけ笑う。


「バレてるか」


「当たり前です」


茜が、小さく眉を寄せる。


一瞬、言葉を飲み込む。


そして――


「……あの時」


ぽつりと。


「撃たれた時……」


指先が、わずかに震える。


「すごく、怖かったです」


視線を落としたまま。


でも、隠さない。


晋作が、黙る。


少しだけ、目を細める。


「……悪かったな」


静かに、言う。


茜が、ゆっくり首を振る。


「謝らないでください」


一歩、近づく。


距離が、さらに縮まる。


「でも――」


顔を上げる。


真っ直ぐに、見る。


「無茶は、しないでください」


その目は、強い。


でも――どこか揺れている。


晋作が、その目を見る。


少しだけ、息を吐く。


「……あいつは」


ぽつりと呟く。


「久坂は、昔から止まらねぇ」


遠くを見る目。


「だから――」


言葉が、少しだけ途切れる。


「俺が、止めるしかねぇ」


静かに。


確かに。


その覚悟は、揺れない。


茜が、見つめる。


その強さを。


そして――


小さく、息を吸う。


「……一人で、ですか?」


晋作が、少しだけ笑う。


「そんなわけねぇだろ」


視線が、ゆっくりと戻る。


茜を見る。


「今は――違う」


一歩、手を伸ばす。


そっと。


茜の手に、触れる。


「お前がいる」


その一言。


茜の目が、わずかに見開く。


心臓が、強く打つ。


言葉が、出ない。


「だから」


晋作が、静かに言う。


「無茶は、しねぇよ」


一拍。


少しだけ、笑う。


「……多分な」


茜が、少しだけ眉を寄せる。


でも――


そのまま、手を握り返す。


そっと。


逃がさないように。


「……信用できません」


小さく言う。


でも、声は柔らかい。


「だから――」


指に、少しだけ力が入る。


「私が、止めます」


真っ直ぐに。


逃げずに。


晋作が、少しだけ目を細める。


「……はは」


小さく笑う。


「いいな、それ」


手を、軽く握り返す。


温もりが、重なる。


「任せた」


静かな時間が流れる。


互いの呼吸だけが、近くにある。


「……ちゃんと、戻ってきてくださいね」


茜が、ぽつりと呟く。


「当然だ」


晋作が、即答する。


迷いはない。


「約束する」


その言葉に。


茜が、少しだけ笑う。


安心したように。


「……なら、いいです」


でも――


手は、離さない。


窓の光が、二人を照らす。


静かに。


確かに。


距離は、もう戻らない。


――二人の関係は、確実に変わり始めていた。


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――4日目。


AX班訓練場。


広い空間。


張り詰めた空気。


総司が、刀を構える。


その隣に、美雪。


少し離れて、セレナと晴明。


「……いくよ」


総司が、静かに言う。


「うん」


美雪が応じる。


同時に。


冷気が流れ込む。


刃が白く染まる。


胸元のネックレスが、淡く光る。


セレナが、ちらりと視線を向ける。


――やっぱり。


小さく、確信する。


「来るよ」


晴明が言う。


符が舞う。


空間が整う。


セレナが、槍を構える。


「合わせるわよ」


踏み込む。


氷斬撃が走る。


同時に――


「――Pierce Fate」


必中の一撃。


氷柱が、地面から突き上がる。


結界が、歪む。


「いいね」


晴明が、小さく言う。


「繋がってる」


総司が、一気に踏み込む。


「――無影三段突き」


氷を纏った斬撃。


空間ごと凍る。


セレナが、横から差し込む。


「――Break Causality」


必中。


連携。


噛み合う。


その時――


「……おい」


声が響く。


全員の動きが、一瞬止まる。


入口。


晋作と茜。


晋作は、肩にまだ包帯。


だが――立っている。


「来たか」


総司が、少しだけ笑う。


「もういいのか?」


セレナが、軽く聞く。


晋作が、肩を回す。


少しだけ顔をしかめる。


「動かねぇと、鈍るからな」


軽く言う。


その目は、もう戦う目だ。


「無理はしないでくださいね」


茜が、すぐ隣で言う。


「分かってる」


短く返す。


「なら――」


晴明が、軽く言う。


「ちょうどいい」


一歩、前に出る。


「全員でやろうか」


空気が変わる。


6人が、並ぶ。


それぞれが、構える。


「いくよ」


総司。


「ええ」


セレナ。


「任せて」


美雪。


「合わせる」


晴明。


「行くぞ」


晋作。


「はい」


茜。


次の瞬間――


全員が動く。


氷が走る。


斬撃が飛ぶ。


必中が貫く。


結界が展開される。


矢が、軌道を描く。


銃声が、響く。


すべてが重なる。


すべてが噛み合う。


「……いい」


晴明が、静かに呟く。


「形になってる」


総司が、踏み込む。


美雪が、力を流す。


ネックレスが、淡く光る。


セレナが、それを見る。


――やっぱり。


晋作が、突っ込む。


茜が、支える。


全員が、繋がる。


そして――


動きが止まる。


静寂。


「……十分だな」


晋作が、息を吐く。


「ええ」


セレナが頷く。


「これなら、いける」


総司が、静かに言う。


「問題ないね」


晴明が、軽く笑う。


美雪が、小さく頷く。


茜も、静かに息を吐く。


6人。


並ぶ。


その空気は――


もう、迷いがない。


――静寂。


全員の動きが止まる。


呼吸だけが、静かに残る。


「……十分だな」


晋作が、息を吐く。


「ええ」


セレナが頷く。


だが――


そのまま、一歩前に出る。


「ちょっといい?」


全員の視線が集まる。


「さっきから気になってたことがあるの」


晋作が、眉を上げる。


「なんだ?」


セレナが、自分の胸元に触れる。


ネックレス。


「これ、光ってるの」


一瞬、沈黙。


「……光ってる?」


総司が、目を細める。


「さっきの連携の時だけよ」


セレナが続ける。


「単体じゃ反応しない」


晴明に視線を向ける。


「もう一回、いい?」


「ああ、いいよ」


晴明が、軽く応じる。


符が舞う。


空間が整う。


セレナが、構える。


「……見てて」


力が重なる。


その瞬間――


ネックレスが、淡く光る。


今度は、全員が見る。


「……ほんとだ」


美雪が、小さく呟く。


「総司くんのも……」


総司の胸元も、同じように光っている。


晋作が、少しだけ目を細める。


「……俺たち、そんな連携技やってたか?」


ぽつりと、言う。


その言葉に――


セレナが、少しだけ笑う。


「多分だけど」


一歩、前へ。


「星熊童子を倒した時」


全員の空気が、わずかに変わる。


「あの時、これが起きてた」


静かに。


確信を込めて。


「力を合わせるってさ」


セレナが、ゆっくりと言う。


「普通は、一方に乗せるだけでしょ?」


「それに、近くにいないと成立しない」


一拍。


「でも――」


ネックレスに、指先が触れる。


「これが光る時」


少しだけ、目を細める。


「威力が、跳ね上がる」


全員が、息を飲む。


「感覚だけど――」


「1.5倍とかじゃない」


「……3倍近い」


静かに言う。


だが、その言葉は重い。


「それに」


もう一つ。


「距離、関係ないのよね」


晋作が、眉をひそめる。


「……どういうことだ?」


「例えば」


セレナが言う。


「数キロ離れてても」


一拍。


「問題なく“重なる”」


沈黙。


その意味が、全員に落ちる。


晴明が、静かに目を細める。


「……なるほど」


小さく呟く。


「ただの重ねではない、か」


「でしょ?」


セレナが、少しだけ笑う。


「まだよく分からないけど」


肩をすくめる。


「使えるのは確か」


晋作が、ゆっくりと笑う。


「……面白ぇじゃねぇか」


総司も、静かに頷く。


「かなり強いね、それ」


美雪が、小さく呟く。


「……すごい」


茜も、息を吐く。


全員が理解する。


――静寂。


全員の動きが止まる。


呼吸だけが、静かに残る。


「……十分だな」


晋作が、息を吐く。


「ええ」


セレナが頷く。


だが――


少し考えるように視線を落とす。


「……ねえ、美雪」


「ん?」


「ちょっと試したいんだけど」


一歩、近づく。


「美雪の力、私に重ねてみてくれる?」


一瞬の間。


「……いいよ」


美雪が、すぐに応じる。


セレナが槍を構える。


美雪が、そっと力を流す。


冷気が、重なる。


だが――


ネックレスは、光らない。


「……あれ?」


セレナが、眉をひそめる。


「光らない……」


その場の空気が、ざわつく。


「……え?」


「今の、さっきと同じじゃないのか?」


総司が言う。


「いや、確かに重なってるけど……」


晴明が、静かに観察する。


「ただの“付与”だね」


「……普通の重ね方だ」


「……ってことは」


セレナが、小さく呟く。


「パートナー同士じゃないとダメってこと?」


沈黙。


その仮説が、全員の中で広がる。


晋作が、ふとネックレスを見る。


「そういや、このネックレス」


軽く指で弾く。


「花見の時に射的の景品で、お前が取ってきて」


「“対になる物だから”って、俺らに配ったやつだろ?」


セレナが、ぱっと顔を上げる。


「そうそう、それ!」


――その瞬間。


「……コホン」


晴明が、軽く咳払いする。


全員の視線が集まる。


「実はそれ」


さらっと言う。


「セレナが特注で注文した物だよ」


「――は?」


空気が止まる。


「え!?」


「……はぁ!?」


一斉に驚く。


セレナが、即座に反応する。


「ちょっと晴明!なんでそれ言うの!?」


少し不貞腐れながら。


晴明は、軽く肩をすくめる。


「別に隠す必要ないと思ってね」


セレナが、小さくため息をつく。


そして――


少しだけ視線を逸らす。


「……ネットで見つけたのよ」


ぽつりと。


「工芸が得意な人」


「で、お願いしたの」


少しだけ、言葉を選ぶ。


「……仲間の証として」


一拍。


「何かあった時に、繋がれるようにって思って」


静かに言う。


沈黙。


その意味が、じわっと広がる。


誰も、すぐに言葉を出せない。


晋作が、ネックレスを見ながらぽつりと呟く。


「射的の景品にしちゃ、やけに出来てるなーとは思ってたんだよ」


その言葉に――


「……私も」


美雪が、小さく頷く。


「綺麗すぎるなって、思ってた」


静かに。


でも、どこか納得したように。


空気が、少しだけ柔らかくなる。


だが――


セレナが、すぐに切り替える。


「あーもう、そういうことじゃなくて」


少し照れ隠し気味に。


「結論はこれ」


指でネックレスを軽く叩く。


「一対のペアじゃないと発動しない」


「しかも」


一歩、前に出る。


「お互いの力が“ちゃんと重なった時だけ”発動する」


その言葉に、全員が頷く。


「……でも」


茜が、少し遠慮がちに言う。


「セレナさんは、この力のこと……知っていたんですか?」


セレナが、即答する。


「全くもって知らなかった」


あっさりと。


「気づいたのも、一昨日くらいだしね」


肩をすくめる。


そして――


少しだけ、楽しそうに笑う。


「ねえ」


全員を見る。


「この力、名前つけていい?」


一瞬の間。


だが、誰も反対しない。


「いいんじゃない?」


総司が言う。


「セレナが見つけたんだし」


「でしょ?」


セレナが、少しだけ笑う。


「一応、考えてたの」


ネックレスに、軽く触れる。


「この反応」


「パートナーとの想いと絆が関係してると思うのよね」


一拍。


「だから――」


顔を上げる。


「LINKってのはどう?」


その言葉。


空気が、静かに変わる。


「……LINK」


総司が、呟く。


「いい名前だね」


柔らかく笑う。


「分かりやすいし」


晴明も、わずかに口元を緩める。


「本質を突いてる」


「……いいと思う」


美雪が、小さく言う。


自然に。


でも、ちゃんと受け入れている声で。


「……素敵です」


茜も、胸元に手を当てながら頷く。


「ちゃんと“繋がってる”感じがします」


晋作が、ニヤッと笑う。


「いいじゃねぇか」


セレナが、満足そうに笑う。


「でしょ?」


一歩、前に出る。


ネックレスに軽く触れる。


「じゃあ――」


少しだけ、間を置いて。


「決まりね」


その一言で。


空気が、はっきりと固まる。


6人の間に――


一つの名前が生まれる。


LINK。


それはまだ未完成。


だが確かに――


6人を繋ぐ“力”として、そこにある。


――翌日。


AX班本部。


廊下を進む6人。


足取りは、迷いがない。


「……行くよ」


総司が、静かに言う。


全員が頷く。


扉の前。


ノック。


「入れ」


低く、通る声。


扉を開ける。


――室内。


松平が、机の向こうに座っている。


腕を組み、こちらを見ている。


「揃ったか」


視線が、6人を順に捉える。


「準備は?」


「問題ない」


総司が答える。


「いつでも動ける」


セレナも続ける。


「こっちも万全よ」


美雪が、静かに頷く。


「大丈夫」


――その時。


茜が、一歩だけ前に出る。


「……でも」


少しだけ視線を横に向ける。


晋作の肩。


「さっき、少し痛そうにしてましたよね」


静かに言う。


空気が、わずかに変わる。


晋作が、わずかに目を細める。


「……見てたか」


軽く肩を回す。


だが、その動きにほんの僅かな違和感が残る。


「問題ねぇよ」


短く言う。


しかし――


完全ではない。


それは、誰の目にも分かる。


「……無理はしないでください」


茜が、静かに続ける。


だがその声には、はっきりとした想いがある。


晋作が、少しだけ笑う。


「分かってる」


軽く答える。


そのやり取りを見て――


松平が、静かに口を開く。


「……無茶はするな」


低く。


だが確実に響く声。


「任務は一つじゃない」


一拍。


「生きて帰ることも、その一つだ」


その言葉に――


全員が、静かに頷く。


「失礼します」


その時。


扉が開く。


――望月千代女。


静かに入室する。


「報告がございます」


松平が、視線を向ける。


「言え」


「夜の帝国への対処について」


空気が、引き締まる。


「現在、諜報機関育成所より人員を選出」


「計10名」


「男性6名、女性4名」


「諜報活動を開始いたします」


淡々と。


だが、隙がない。


「潜入・監視・情報収集を段階的に実施」


「間もなく、所在地および構成は把握可能かと」


「以上です」


静寂。


その報告に――


「……さすがだな」


晋作が、ぽつりと呟く。


「望月さん、抜かりないね」


総司も続く。


「すごいです……」


茜が、素直に言う。


「頼りになるわね」


セレナが、軽く笑う。


美雪も、静かに頷く。


晴明が、わずかに目を細める。


「完璧だね」


千代女が、わずかに微笑む。


「夜の帝国の件は――お任せください」


静かに。


だが、確かな自信。


「皆様は、目の前の任務に集中を」


その言葉に――


全員が頷く。


松平が、ゆっくりと腕を解く。


「……よし」


低く、言う。


「萩行きを許可する」


空気が、変わる。


「決着をつけてこい」


一拍。


そして――


わずかに口元を緩める。


「ついでに、美味いもんでも食ってこい」


ほんの少しだけ、柔らかい声。


その言葉に――


空気が、少しだけ軽くなる。


「了解」


総司が答える。


「任せて」


セレナが笑う。


「行ってきます」


茜が、しっかりと。


晋作が、ニヤッと笑う。


「楽しんでくるか」


美雪も、静かに頷く。


晴明が、軽く息を吐く。


「じゃあ、行こうか」


6人が、揃って背を向ける。


扉へ向かう。


6人を繋ぐ“力”として、そこにある。

――LINK。


19話 完



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