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伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦  作者: 未羊
第九章 拡張版ミズーナ編

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第477話 エスカの天国、ミズーナの地獄

「うう、終わったぁ~……」

 無事に中間試験が終わり、エスカは机に突っ伏していた。

「お疲れ様。終わったなら今日は私が夕食を作ってあげるわよ」

「えっ、ミズーナの手料理? 嬉しいわね」

 同郷の転生者の手料理が食べられると聞いて、さっきまで燃え尽きた様子だったエスカが勢いよく立ち上がる。現金なものである。

「ただし、結果が悪ければメチルと相談してゲテモノを作って食べてもらいますからね。覚悟しておいて下さいね」

「うげぇ……」

 王女が出してはいけない声とともに、しちゃいけない表情を繰り出すエスカ。その顔を見ながらミズーナ王女はくすくすと笑っていた。

 何にしても、無事に中間試験を終えたミズーナ王女とエスカは城へと戻っていく。

 中間試験の結果発表は明日、学園の廊下にずらりと貼り出される。エスカはドキドキしながら同郷のミズーナの手料理を味わったのだった。


 そして、迎えた翌日。エスカは祈るような気持ちで学園へと登校する。

 なにせ、真ん中より下であればゲテモノ料理を食わされるのだ。ミズーナ王女とメチルの考えるゲテモノ料理がどんなものかは分からないものの、得体の知れないものなど食べさせられたくない。エスカはカチコチに緊張した様子で成績が貼り出される廊下へと向かった。

「えーっと、エスカ・ミール、エスカ・ミールっと……」

 険しい表情で自分の名前を探すエスカ。その隣では、あっさりトップの方に自分の名前を見つけて余裕のミズーナ王女の姿があった。なにせほぼ満点だ。すぐに見つかるというものである。

 まだまだ自分の前を探すエスカに対して、ミズーナ王女はドヤ顔をしながら視線を送っている。

 試験結果の貼り紙を必死に凝視するエスカ。どういうわけか下の方から確認しているあたりが笑えるのだが、ミズーナ王女はその姿を静かに見守っている。

 そのミズーナ王女の前で、引き続き試験結果を眺め続けるエスカ。ちょうど半分くらいが見終わったが、まだ自分の名前が見つからなかった。

「よかった、ゲテモノ料理を食べずに済みそうだわ」

「そう、私は作らずにすんでよかったわと思いますよ」

 胸に手を当ててほっとするエスカの隣で、一点を見つめながら話し掛けるミズーナ王女。

「なによ、言い出したのはミズーナでしょう……に?」

 眉間にしわを寄せて言い寄ろうとしたエスカだったが、ミズーナ王女の視線に気が付いてその視線の先へと目を向けて驚いていた。

「えっ、嘘でしょ……」

 エスカが目を向けた先は、上位3分の1の境目あたりだった。思ったよりも上位でエスカは喜んでいる。

「やった、やったわ。私もやればできるのね」

 その場で飛び跳ねて喜ぶエスカ。その姿に思わずため息しか出ないミズーナ王女である。

 なぜ普段からそのように頑張れないのか。

(エスカって、確か前世で営業職だとか言ってたはずなんだけどね……。頑張り過ぎた反動でさぼり癖が出ちゃったのかしらね)

 気持ちは分かるけれども、立場上もうちょっと頑張ってほしいと思うミズーナ王女だった。


 その日の講義を終えて、ミズーナ王女とエスカは一緒に城に戻る。リブロ王子とレッタス王子は武術型なので講義の終わる時間がずれているので、いつも通り別行動である。

 馬車に乗っている間、エスカはミズーナ王女に話し掛ける。

「ねえ、ミズーナ」

「何かしら、エスカ」

 淡々とした返しをするミズーナ王女。

「もう、つれない反応をするわね、ミズーナってば」

 あまりにも淡々としているものだから、エスカはちょっと怒り気味である。しかし、ミズーナ王女はまったく気にしていない。きょとんとした表情のミズーナ王女を前に、ため息をつきながらエスカは話を始める。

「そろそろ収穫祭ね」

「そういえばそういう時期ですね。今年も盛大なお祭りになるんでしょうかね」

 エスカの言葉に淡々と反応するミズーナ王女である。

「もう、ミズーナってば反応が悪いわね」

 ぷんすかと怒り出すエスカ。しかし、ミズーナ王女はまったく動じない。

「収穫祭とはいっても、私たちはどうせ城の中でじっとしているだけなんですけれどね」

 膝の上に手を置いて、行儀良く反応するミズーナ王女。しかし、何か感じたのか、エスカに対して顔突然近付ける。

「まさか、城を抜け出してお祭りに参加しようとか考えていないわよね?」

「ままま、まさか……」

 図星のようだ。

 思わず顔をに手を当てるミズーナ王女ではあるものの、気持ちが分からなくもないので何とも言えなくなっていた。

「……一応交渉をしましょうか。王族であるがために勝手に行動すると心配する方が多いですからね」

「そうこなくっちゃね」

 今度は両手を膝につきながら顔を押さえているミズーナ王女。エスカとまともに付き合っていると、気苦労が絶えなくて困ったものである。

 頭が痛くて仕方のないミズーナ王女ではあるが、実は密かに期待もしていたりする。ただ、王女という立場があるので、悩んでしまうというわけなのだ。

 そこに加わる、中間試験をクリアしたエスカの暴走。様々な条件が重なって、本気で対処に困るミズーナ王女なのであった。

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