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伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦  作者: 未羊
第九章 拡張版ミズーナ編

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第430話 怪しい魔力だまり

 騒ぎのあった翌日、すでにミズーナ王女たちは兵士たちの案内で現場に向かっていた。早すぎる。

 国王への許可も「聖女が二人いるなら大丈夫だろう」という、かなり安直なものだった。そんな判断で大丈夫か。

 それでも、これまでも様々な問題を解決してきたアンマリアがいるのだから大丈夫だろうという判断が下ったものと考えれらる。

 馬車で走ること8日間。問題の場所へとやってきた。

「ここが、例の布が落ちていた場所ですか」

 馬車を降りたアンマリアが、辺りを見回しながら呟いている。

「はい、このだだっ広い場所に、ぽつんと落ちていました。これだけ風が吹いているのに飛ばされないという不思議な光景でしたが、拾い上げたらあっさりとその場から持ち運べたのです」

 現場を調査した兵士からは、そのような答えが返ってきた。

「それは妙ですね」

 訝しむミズーナ王女である。

「ここがそうですね。魔族の魔力の痕跡が残っています。ただ、みなさんは安易に近付かないで下さい。影響されます」

 そう話すのはメチルである。聖女であるとはいっても今は魔族であるために、魔族の魔力には影響されないのだ。

「そう……。でしたら、メチルに任せます」

「お任せ下さい」

 ミズーナ王女から任されたメチルは、両手を広げて魔法を使う。

 今現在は魔族とはいっても、そもそもそういう系統の魔法しか使えないのでまったく問題ない。

 魔族となったことで呪いの魔力との親和性がよく、するすると魔力に干渉できてしまうのだ。

「はい、終わりました」

「早いですね」

 あっという間に呪いの魔力を浄化してしまい、ミズーナ王女は大声でツッコミを入れていた。

「原因が呪具だと分かれば、魔族にとっては造作もないですね」

「そういうものなのですね……」

 えっへんと威張るメチルに、ミズーナ王女は苦笑いを浮かべている。だが、その時のメチルのドヤ顔は思いの外可愛かったようだ。

「ただ、ひとつ分かった事があります」

「何でしょうか」

 メチルが話を続けようとするので、ミズーナ王女はその話を聞いてみる。

「この呪いの大元は、もうちょっと北側ですね。おそらくは収穫祭の夜に襲ってきた魔物によって、あの布切れはここまで運ばれてきたみたいです」

「そんな事も分かりますのね」

 驚くミズーナ王女である。

「同族ゆえの特技といったところですかね。ほら、以前も申しましたが、テトロたちが動けば分かるといったことと同様だと思いますよ」

「なるほどですね」

 メチルの説明に納得のいくミズーナ王女だった。

「それでは、アンマリア様たちもお呼びして、原因を断ち切りに行きましょうか。今はまだ魔力が足りずにくすぶっていますけれど、このまま放っておくとまた魔物たちが暴れかねませんから」

 メチルの提案に頷くミズーナ王女。そして、アンマリアやサキと合流すると、バッサーシ辺境伯領の東の縁をさらに北上していった。


 さらに1日進むと、誰にも分かるくらいに禍々しい魔力が漂い始めていた。

「酷い魔力だまりですね。これではいつ魔物が大量に発生してもおかしくです」

 そう話すのはサキだった。聖女という立場もあって、そういった話はよく聞かされたらしい。

 魔物氾濫が起きる原因の一つが、この魔力だまりにあるのだ。

 アンマリアが過去に経験したクッケン湖の魔物氾濫もそれが原因である。

 つまり、魔力だまりを放置すれば、それを元に魔物が生み出されてしまう。なので、見つけたら即浄化してしまう必要があるのだ。

「そうですね。近くに生物が居ないのは幸運でしたけれどね。いたらこの魔力に中てられて魔物化する場合もありますからね」

 もう一つの原因が、アンマリアの言うパターンだ。

 呪われた魔力が、時間をかけて動物や植物を侵食することで魔物化させるというものである。

 この辺りは荒れ地のせいか近くに動植物の姿は見当たらない。おそらくは、王都に襲撃してきた魔物として消費され尽くしたのだろう。草木すらもほとんど見受けられないのだから。

「とにかく、この魔力だまりを浄化させて、危険のないものに変えるしかありませんね。準備はいいですか?」

 メチルが魔力だまりを前に、ミズーナ王女たちに確認を取っている。

「もちろんですよ」

「さっさとやっちゃいましょう」

 そういって、ミズーナ王女たち四人が魔力だまりを取り囲む。それを見守るように兵士たちは少し離れた場所で待機している。

 ミズーナ王女たちは両手を左右に広げて、互いの魔力を結んでいく。取り囲むように魔力の結界を作るためだ。

 そして、円を描ききると、今度はその円の中を光魔法の魔力で満たすように集中していく。転生者三人と聖女の四人による結界は、ものすごい速度ででき上がっていっていた。

 これからいよいよ本格的な浄化だと思ったその瞬間だった。

「何か出てくる。みんな避けて!」

 突如としてアルーが飛び出てきて、ミズーナ王女たちに向けて叫ぶ。

 すると同時に、魔力だまりの中心に、おぞましいまでの魔力の塊が生まれようとしていたのだった。

 次の瞬間、その魔力が一気に弾け飛んで、ミズーナ王女たちに襲い掛かってきたのだった。

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