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「メア、1回戦突破おめでとう」
「メアちゃんおめでとう」
「あ、ママ!マリスくん」
術式から出ると、母とマリスくんが外で待っていて、突破のお祝いの一言をくれた。
「ふふん、流石私の娘ね、最近教えたのにもう、仙術魔法を使えるなんてね、このペースならもっと教えても大丈夫そうね、楽しみだわ」
母がルンルンとしてる、ただごめんなさい、ずるをして、もうほとんど知ってるんです。
けど改めて、習うことによって弱点とか見えてくるからね、無駄だとは思わないよ。
「そう言えばマリスくんは何番だっけ?」
「僕は20番だよ、だから最後の試合かな」
「なら、ジュース買いに行こ!」
さっきの試合、あまり動いてないとはいえ、喉がカラカラだよぉ、昼間見回った時に美味しそうなジュース屋さんあったから、行ってみたいんだよね。
「いいよ丁度僕も喉乾いてたから」
「ありがとう! あっちだよ、美味しそうなフルーツジュースがあるの」
「はいはい」
私はマリスくんの手を取って、走り出した。
「ふふ、ほんとに仲のいい子達、兄妹みたい、もちろんメアが妹じゃないとね、あの子が姉な訳ないわ、マリスくんの方がしっかりしてるしね」
マリスくんを連れて屋台を回っていた、ジュース屋さんの前に軽く何か食べようと、串肉のお店に寄ったりしていた。
「確かこっちに、あ! あったよ、こっちこっち!」
「はは、ほんとに子供戻ったのかなサリーさんは?」
「え?」
ニッコリと笑いながら、マリスくんが何か言った気がした。
「なんでもないよ、ほら買いに行こう」
今度はマリスくんが私の手を引っ張って行く、その笑顔は心の底から楽しんでるようだった。
そうだよね、この歳とはいえ、メアとのお祭りだからね、楽しいよね、私も楽しいよ。
「おじさん、ミックスオレ2つください」
「はいよ、銅貨2枚ね、ほう、坊主達兄妹か?見た感じ嬢ちゃんが妹さんかね」
「おじさん違いますよ、同い歳の幼なじみです、けど兄妹かー、少し嬉しいかも」
ジュースを受け取ったマリスくんが、おじさんに向かってそう言った、するとおじさんは大きな声で笑い、おまけにジュースをもう一本くれた。
飲み口がふたつあるハートのストロー付きで。
「もう、おじさん、辞めてよ!」
私は何を意味してるか何となくわかった。
まだカップルに見られる歳じゃないよ!
「ははは、おい坊主、逃さないようにな」
「はい、逃すつもりはないですよ、こんな可愛い天使をね」
「もうマリスくんまでぇ」
私は顔が熱くなるのを感じる、もう!昼間も同じようなことあったよ、しかもマリスくんなに言ってるのよ、恥ずかしいよぉ。
「それじゃ戻りながら飲もうか、それとも時間あるし座って飲む?」
「さっさと戻ろ、もしかしたらマリスくんの番かもよ」
「メアちゃん、まだ僕の番には早いかな、行っててもまだ16番ぐらいだよ、ほらあそこに座れる場所あるから」
く、マリスくんは、あのストローが刺してあるジュースを飲ませたいのね、もう逃げ場なさそうだし諦めるしかないかぁ。
そうして、休憩所の椅子に座った私たちは、ハートのストローが刺さったジュースを二人で飲みました。美味しかったです。
ジュースを飲み終わり、中央広場に戻る、試合の方はマリスくんが予想した通りに16番目の人の試合が終わり、これから17番対18番の試合をしていた。
「もう、マリスくんのバカ」
「あはは、ごめんね、メアちゃんが可愛かったからついね」
「むぅ」
えぇ、あのハートのストローのせいでめっちゃ見られたの、すっごく暖かい目で、それが恥ずかしくて逃げようと思ったんだけど、マリスくんが見えないように魔法の鎖で繋いで逃げられないようにしてたの! 酷いよ、しかもニッコリと笑ってたし、そんなに楽しいか、私の反応は!
「もっといじめたいかも」
「っ!」
なんか今凄い寒気した、こんな暑いのになんで、怖、うぅぅこの身体になってから、変な寒気が良くするから身体的問題なのかな? でもメアからそんな相談受けたことないし、んー……
「お、戻ってきたか、いい試合だぞ、マリスが勝てば次の相手になる試合だ」
「あ、パパ、屋台はいいの?」
「おうよ、メアのために全て売り切ったぞ」
凄い、あの量全て売ったのか、頑張ったね。
それより父がいい試合って言うのだから、相当接戦なんだろうと思い覗いてみる。
「え、何あれ」
「面白い武器ですね、あんまり見ないの使ってますね」
「お、流石、分かるか、だよなほんと、これは面白いぞ」
戦ってる人の武器が面白いらしい、小柄な女性がブーメランを使い、女王様風の女性が棘の生えたムチを使っていた。
確かに珍しい、というか私は見たことない、いろんなギルド回ったりしたけど、この2つは見たことないよ、人気ないのかな?
「鞭の奥義を見るといいわ」
鞭が縦横無尽に駆け回る。
「きゃああ!」
「勝負あり」
うわぁ凄い、ムチってあんなに伸びたりするの、まるで生きてるように動いてた、それに今の技、相手に避ける隙間を与えずに囲い、一気に閉じ仕留める、結構エグイな。
「次勝てばあの人か、ワクワクするな」
にひひ、と子供っぽい笑いをするマリスくん、強い人を目にしたらワクワクするのか、男の人ってよく分からない……って思わないよ、私がそうだから、だってそうじゃん、自分より格上って挑戦しがいがあって面白いじゃん。
「次の選手準備お願いします」
「あ、マリスくんの番だよ、頑張って」
「あぁ、行ってくる」
マリスくんが笑みを浮かべながら、誘導係の方へと向かった。
そう言えば前世ですごい剣の腕で騎士団長になったとか、ティモンを超える剣士になったとか、、マリスくんが実際戦うのは見たことないな、組手とか練習試合とかよくやるけど、絶対手を抜いてるし……
いや、別に悔しいわけじゃないよ、それでも勝てないからって泣いたことなんてないから、と、とにかくどのくらいの実力なのか、楽しみだわ。
マリスくんの相手は、同じく剣士の男の人だね、体格差があるから力比べは厳しいのでないかな、あ、二人とも試合前の礼儀しっかりとやってる、面白いね。
「それでは1回戦最終試合、19番対20番の試合を始めます」
「おいおい大丈夫か、また子供だぞ」「さっきの女の子と違ってこっちは明らか剣士だな、なんで大人の部なんだ」「いや、さっきのことを考えればもしかしたらあの子も凄いんではないか?」
む、私の時とは反応違う、なんかずるい、まぁいっか。
「それでは開始!」
「マリスくん、頑張れー!」
開始直後は互いに様子見で、少しずつ動いたり、フェイントかけたりし合ってた。
「はぁ!」
先に攻撃を仕掛けてきたのは男の人、素早く3回剣を振る、マリスくんはそれを、簡単に避けると、剣を構え、懐に入った。
「ごめんねおじさん、久しぶりにワクワクしてるんだよ、少しばかり痛いかもだけど我慢してね」
「な、それは!」
「綺麗……」
マリスくんが持つ剣が青色に光だし、滑らかに相手を斬った。
その光の軌跡は、この大会に似合わないほど、美しく綺麗で思わず声が漏れてしまった。
水属性以外にも細かく色々な属性を組み合わせいるみたい、そのおかげで男の人が防御に使っていた剣が紙のように切れていた。」
男の人は声を上げることなく倒れて行った。
「勝負あり!」
会場の人たちも見惚れて、ただ審判の声だけが残った。
横にいた父が、この剣技について説明してくれた。
「ただいま、少しだけ頑張っちゃった」
「おかえり、凄い綺麗だったよ」
「あはは、なら良かった」
まぁ暗くなるのもなんだし、とりあえず二人とも、1回戦突破です!




