wW-63 35.6595° N, 139.7005° E
…。
ん…いや。
眠くて。
夜20時。
渋谷ハチ公前広場。
待ち人。
待つ者。
巨大な街灯ビジョン。
スクランブル交差点。
歩行者信号は赤。
信号待ちの列。
髪を乱す風。
男が居た。
暗くてよく見えない。
歩行者信号が青に変わる。
男は、
動き出す。
一歩、また一歩。
何かに導かれるかの様に、
ゆっくり、
横断歩道へ歩みだした。
信号は、
男が辿り着く前に赤になった。
立ち止まらない。
車が動き出す。
男は、
横断歩道の白線へ足を踏み入れた。
プーーー!!
警笛が鳴る。
男は、
振り向きもせず、歩みを進める。
車は、
速度を落とし、男を避けて通る。
男は、
交差点の中央で立ち止まった。
信号を、
待つ者は騒然とした。
スマホを向ける者。
カメラのフラッシュ。
誰一人、
男へ、
声をかける者は居なかった。
歩行者信号が青になる。
人々は一斉に歩き出す。
男を、
避けるように、空白が出来る。
冷たい視線だけが、向けられた。
録画をする者だけが、
男の前に立つ。
スマホの、
背面ライトが男を照らした。
「じゃーん、兵隊さんでーす!!」
「おじさん、何してるんすか?」
ケラケラと笑う声。
男は、
表情は変えず、
言葉さえもなかった。
男は、
夜空を見上げた。
天より高く。
指先を上げる。
若造は、
釣られて見上げた。
次の瞬間、
――バンッ!!
落雷の様な音。
割れるように鳴り響く。
空が3回点滅した。
まるで、
昼間の様な明るさ。
表参道方面から、地響き。
数秒遅れて、
墜落する音が響いた。
「おじさん、魔法使い?」
「あれ?居ない」
「そうだ!動画!!」
Googleマップでどうぞ。
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