wW-56 The smell of sand
カルディ、
頼れる、お…オネエさん?
――和解する夫婦。
自宅。
リビングの壁。
背を預け座る二人。
真彩
「カルディさん」
カルディ
「カルディでいいわよ」
真彩
「…カルディ。私、夫を信じていいのかわからなくなる」
そっと、
背を撫でられる。
カルディ
「男って馬鹿よね。…て、私も男ですけど」
ウインク
「旦那さんのこと…嫌いになった?」
真彩は、
首を振る。
ふふっ
カルディが、小さく笑う。
カルディ
「あの人、仕事中もずーとアナタのこと心配しているのよ」
「Doviraちゃんを適合させたのは、アナタへの愛だと私は思うわ」
視線が合う。
「愛する人を、守るためよ」
真彩
「少佐のは?」
カルディ
「アレは、あの人が軍に入る前からあったAIよ」
「今回、Naparnikをアップグレートさせたのが、あの人なの」
真彩
「いつから…入ったのかな」
カルディ
「ん?中佐なら23歳からだったはずよ。たぶん…」
真彩
「え!私と籍入れた後からってこと?」
カルディ
「あら、そうなの?」
「あの人はね……アナタと同じよ」
「突然、適合者として軍に入れられた一人なのよ」
ふふっと笑う。
「もう一つ、面白いこと言っちゃおうかしら」
「少佐も、22歳の時に適合者として軍に入ったのよ」
真彩
「カルディは?」
カルディ
「私?ん……ふふっ!機密情報ね。言えないわあ」
ウインク
真彩
「えー!ズルい〜!」
二人は、
笑い合う。
カルディ
「あ…。終わったみたいよ」
真彩
「何が?」
首を傾げる。
カルディ
「運動会が」
じっと
真彩を見つめる。
真彩
「戻ってくるのか…」
俯く。
カルディ
「もうっ、そうやって肩を落とさないの」
「私が側にいるわ」
肩をポンポンされた。
「DoviraちゃんとNaparnikの最終チェックしないとね」
真彩
「少佐に蹴られない?」
カルディ
「さて、どうかしらね」
クスクスと笑い合う。
カルディ
「ねぇ、息子くん可愛いじゃない」
「あの人に似ているわ。笑顔はアナタ似ね」
カルディに、
頬を突かれた。
頬が熱くなった。
カルディ
「ねえ、Doviraちゃん。聞いてる?」
「似てるわよねえ?Doviraちゃんもそう思わない?」
Dovira【わ…私は居ません。あっ…。】
カルディ
「居るじゃない」
Dovira【マヤ…。喋ってもいいの?】
真彩
「もう喋っていいよ。ごめんねドヴィラ」
Dovira【うぅ…。ありがとう。マヤーーーーーア!!!】
真彩
「うるっさ」
カルディ
「元気でいいじゃない」
カルディは笑った。
――チリンッ
玄関から、
鍵の鈴の音。
ガチャガチャ
鍵が開く。
ドアが開く。
足音。
靴を脱ぐ音。
カルディの、
腕に抱きつき顔を隠す。
――そっと、背を撫でられる。
カルディの、
手をギュッと握った。
――優しく、握り返される。
荷物を置く。
ふわっと、
二つの砂の香り。
目の前で、
屈み込む、
掠れた声が聞こえた。
大地
「真彩…」
カルディ
「ほら…」
背を、
優しく叩かれる。
腕の中で、
首を振った。
カルディは、
大地へ視線を向けた。
大地
「カルディ、対応してくれてありがとう」
カルディ
「いいえ、私がしたくてやったことですので」
Naparnik【かなり、消耗していますね。】
Dovira【先ぱーい。会いたかったです!】
Naparnik【あなたは、元気すぎるんですよ。】
Dovira【ガーン!私の心配もして欲しかったです…。】
ラファルサ
『お前ら、少しは空気読め』
Dovira【空気は読めませんよ。何言ってるんですか?】
Naparnik【馬鹿ですね。】
Dovira【先輩に言われたくないですぅ!】
Ratio【Shut Up!!】
【【ごめんなさい!】】
真彩
《喧嘩すんなし…》
Dovira【マヤだって喧嘩してるよね。】
Naparnik【喧嘩っていうのでしょうか…。】
カルディ
「アナタ達黙りなさい」
静寂。
カルディ
「真彩ちゃん、息子くん帰ってきちゃうわよ」
真彩は、
ゆっくりと、
大地へ視線を向ける。
優しい顔。
心配そうな表情。
どこか、悲しそうな瞳。
真彩
「大地なの?」
大地
「ああ…俺だ」
涙が、
溢れ出す。
カルディから離れる。
愛する夫の、
胸へ飛び込んだ。
真彩
「だいちぃ…だいち…」
大地
「ああ…怖かったよな…ごめんな…」
強く、
抱き寄せる。
真彩
《大地は大地だ。中佐であろうと…》
大地
「おかえり、真彩」
真彩
「ただいま、大地」
Ratio【同期率上昇。融合可能です。】
大地
《お前も黙れ。雰囲気ぶち壊すな》
ラファルサ
《融合?》
大地は、
不意にカルディへ視線が行く。
大地
「お前…土足で入るな」
カルディ
「あら、ごめんなさい」
靴を脱ぎだす。
ふっふふ…
真彩は、
カルディの様子に、
思わず笑い出した。
カルディ
「あらヤダ、笑うなんてズルいわ」
靴を抱えて、笑い出す。
真彩
「玄関に置いてきたら?」
カルディ
「そうさせてもらうわ」
ラファルサ
「案内する」
カルディ
「はいはーい。ちょっと失礼」
二人の横を通り過ぎる。
少佐の後を追って行った。
大地と真彩は見つめ合う。
そっと、
口づけを交わした。
一方、
玄関側。
カルディ
『あの二人、手がかかるわね』
ラファルサ
『……お前、普段顔隠してるだろう』
カルディ
『あら、なぜ?』
ラファルサ
『中佐の側近だろ』
カルディ
『秘書って言ってくれます?』
「ここでいいかしら?」
靴を、
揃えて置いた。
――ガチャ
玄関が開いた。
「まあ」
「あ…」
ラファルサ
「お」
カルディ
「おかえりなさーい」
ラファルサの、
視線がカルディへ向く。
ラファルサ
《…》
直樹
「誰?」
呆然。
カルディ
「パパのお友達よ〜ん。カワイイ〜!」
ラファルサ
「おい」
屈んで、
ルンルンしているオカマ。
ラファルサ
「邪魔だろ」
軽く蹴る。
カルディ
「ちょっと、蹴らないでくれる?」
靴を、
脱ぐ直樹。
砂が、
パラパラと
靴下から落ちる。
ラファルサ・カルディ
「「あ…」」
直樹
「ママとパパは?」
カルディ
「ちょっと待って」
ラファルサ
「砂落とせ」
二人は、
直樹を制止する。
カルディ
「おいで」
直樹は、
カルディを見つめて固まっている。
直樹
「ママー!!」
リビングから足音。
玄関へ、
顔を出す。
真彩
「何?…おかえり」
真彩の、
後ろに大地。
直樹
「パパ!知らない人」
カルディを指差す。
カルディ
『ヒドイ!』
大地は、
カルディを見て呟く。
大地
「知らないな」
カルディ
『少佐!助けて!』
ラファルサへ視線を向ける。
ラファルサ
《…》
真彩
「ママのお友達だよ」
真彩へ、
視線が集まる。
カルディ
「真彩〜!!」
真彩に、
抱きつく。
大地
『やめろ』
カルディ
『知りません』
カルディは、
真彩に、
スリスリした。
大地
「ふざけんな!!」
真彩から引き剥がした。
代わりに、
大地に抱き寄せられる。
そんな…
やり取りを他所に。
ラファルサは、
直樹の靴下を脱がせていた。
小さな足から砂を払った。
補佐と旦那様で、
真彩を取り合う。
そんな他所に、
お兄ちゃんしてるラファにぃ。
Next time
――隊長。




