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主婦から“平和な”転職できますか?Season 1 〜主婦をスカウトしたはずが、俺がスカウトされていた〜  作者: しろ兎
Season 1 〜主婦をスカウトしたはずが、俺がスカウトされていた〜
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wW-28 Turn back time #2

彼らは、

見た。

聞いて、感じた。

Restore the log to wW-24


-3--

--2-

---1


Replay


電車内。


昔と雰囲気が違う。

モーター音が静か。

驚くほど、揺れない。

乗り心地がいい。


真彩は、

座席に座っている。


混雑の中、

彼女の正面に立つ。


突如、罵声。


「邪魔だ!」


ラファルサ

《…最悪だ。こういうのは面倒だ》


視線を合わせた。


「テメェ!何睨んでんだ!」


ラファルサ

《いや…睨んでるのお前だろ》


真彩

「ごめんなさいね、そういう目つきなんですよ」


ラファルサ

「なぜ謝る」


視線で、

”黙れ”と合図を送る。


ラファルサ

《余計なことしやがって…》


案の定、

男がエスカレート。


真彩

「あなた…車両移ろう?」


ラファルサ

《またか…》

《仕方ない、付き合ってやるか…》

「だが…」


真彩が

立ち上がった。


真彩

「あなた…怖い」


ラファルサ

《誰がだ…っ》


服の裾を摘まれた。

視線が合う。


ラファルサ

《怯えているのか?》


真彩

「ここから離れましょう?」


ラファルサ

「…ああ」


そっと、

安心させるように、

手を繋いだ。


少し、

耳が熱くなった。


勇気がいる

行為だと、思い知る。


その間、

ずっと、

罵声は止まっていない。


[まもなく、武蔵小杉、武蔵小杉、お出口は右側です。…]


真彩

「降りよう」

小声。


静かに頷く。


ドアが開く。

背後に男の怒声。


二人は、

振り返らなかった。


真彩

「危なかったね」


ラファルサ

「ああいうのは、関わらない方がいい」


視線を、

合わせたまま、頷いた。


真彩

「次の電車は…20分後か。…何か飲む?」


ラファルサ

「あ…ああ」


自販機の前で立ち止まる。


真彩

「何がいい?」


ラファルサ

《自販機か…小さくなったな》

《何がどんな飲み物なのか…》


固まる。


真彩

「おーい。コーヒー飲める?」


ラファルサ

「ああ…」


――ピピッ …ガッコン!


真彩

「はい」


受け取る。


まじまじと、

缶コーヒーを見つめる。


ラファルサ

《どうやって開けるんだ》


真彩

「プルタブを上げるんだよ。ここ」

指を差す。


ラファルサ

《…》


――パッカッ


恐る恐る一口。


ラファルサ

《っ…美味い!》


目の色が変わった。


少し…、

ほんの、

少しだけ幸せを感じた。


[まもなく、2番線に、東急新横浜線・相鉄直通、急行、海老名行きが、8両編成でまいります。…]


真彩

「飲み終わった?」


ラファルサ

「ああ」


真彩

「行こう」


静かに頷く。


ラファルサ

《気分がいい》


電車がホームへ滑り込む。

開いた扉へ向かう。


二人は、

再び電車に乗り、帰路を急いだ。


---

---


Fast-forward


Play


真彩宅のマンション前。

クタクタの一人と平然な一人。


真彩

「やっと…着いた」


ラファルサ

《2回目だな》


エントランス。


真彩は、

エレベーターのボタンを押す。


ポストを見ている。

チラシを回収している。


[ドアが開きます]


――バッコン


無言で乗る。


真彩は、

ボタンを押す。


真彩

「ねぇ…」


ラファルサ

「何だ」


真彩

「好物って何?」


ラファルサ

「…は?」

《俺の好物聞いてどうする気だ》


玄関前で立ち止まる。


――チリンッ


鍵を取り出し開けた。

ガチャ


ラファルサ

《出迎えか》


直樹

「ママ…」


少年は、

裸足で駆け寄る。


真彩は、

優しく抱き寄せる。


真彩

「直樹、ただいま。怖かったよね…」


直樹

「……っ…」

泣き出す。


そっと、

背を撫でている。


こちらへ、振り向く。


真彩

「少佐、中へ入って」


ラファルサ

「………ああ」


ゆっくり、

扉を締めた。


少年に、

視線を向ける。


視線が合う。


直樹

「…誰」


真彩

「だってさ。ラファルサ少佐」


ラファルサ

《どう説明すれば…》


直樹

「少佐?」


ラファルサ

《…あ。休暇中だった》

眉をひそめる。


ラファルサ

「ラファルサでいい」


直樹

「ラファルサ…不審者…」


ラファルサ

《なぜそうなる》


ため息。


真彩

「ラファルサ遠慮なく、中入って」


ラファルサ

《…》

《俺がいるべき場所じゃないだろうに》


直樹

「え…?」


ラファルサ

《こいつも引いてるし…》

「帰る」


沈黙


真彩

「ここが家だが」


ラファルサ

「帰らせてもらう」


真彩

「じゃあ、どうやって?」


ラファルサ

《それなんだよな……》


真彩

「ラファルサ」


ラファルサ

「何だ」


真彩

「ドヴィラが可愛い〜!ですって」


ラファルサ

「……ドヴィラ。後で覚えておけ」

《復帰したら覚悟しとけよ》


リビングへ向かう。


真彩

「ソファーに座ってくつろいでて。疲れたでしょう」


ラファルサ

《確かに疲れた。お言葉に甘えて…》

《モニター?いや…テレビなのか…》


直樹

「ママー」


真彩

「運動会!!!」


直樹

「明々後日だよ。ママ来るでしょ??」


真彩

「そりゃ、いくに決まってるでしょう!」


真彩は、

突然吹き出す様に笑い出した。


思わずソファーから振り返る。


ラファルサ

《変なやつ》


---

---


Fast-forward


Play


真彩

「直樹〜!手伝って〜!」


直樹

「はーい!」


真彩

「ご飯よそって」


直樹

「”おじさん”のどれくらい入れればいい?」


真彩

「ぶっ!」


ラファルサ

《何だ?》


真彩が、咳払い。


真彩

「名前で読んであげなさい」


直樹

「呼び方わからないんだもん」


真彩

「貸してみ」


真彩

「ラファルサ」


ラファルサ

「何だ」


テレビから視線を外す。

チラッと真彩を見た。


真彩

「ご飯。この量、食べられるかい?」


ラファルサ

《…》


皿を覗き込む。


ラファルサ

「…ああ」

《飯か》


真彩

「OK」


キッチンへ戻っていった。

テレビへ視線を戻す。


ラファルサ

《うわっ懐かしい!老けたな…》


真彩

「直樹、スプーン出して〜」


ラファルサ

《さっきから忙しないなあいつ…》


直樹

「おじ…。ラファにぃ…ご飯できたよ」


視線を、

少年に向ける。


ラファルサ

《お兄ちゃんっていいたかったのか?……》


ゆっくり、

立ち上がった。


直樹

「ここだよ」


椅子を引いてくれた。


ラファルサ

「ありがとう」


少年も、

席につく。


コップに、

麦茶を注いでいる。


直樹

「どうぞ」


受け取る。


ラファルサ

「あ…ああ」


真彩も、

席についた。


真彩

「さて、食べますか」


直樹

「せーの」


「「いただきます!」」

「………いただきます」


一口。


ラファルサ

《んっ美味い…》

《…》

《そんなに見つめられると食いづらい…》


視線を、

合わせた。


ラファルサ

「何だ…」


真彩

「お…お口にあいましたか?」


ラファルサ

《…その聞き方やめろ》


視線を、

逸らした。


ラファルサ

「………悪くない」


真彩

「よかった…」

食べ始める。


大地

「ただいまー。…………」


背後から男性の声。

食べるのをやめる。


真彩

「おかえりなさい」


大地

「真彩?」

目を見開き。

「おまえ!!」


真彩は、

駆け寄る。


ラファルサ

《覚悟はできている》


真彩

「ストップ!!ストップ。ね?」

「うわっ!」


大地

「心配しなんだからな…」


真彩

「ただいま」


大地

「おかえり」


背後で、

繰り広がる。


夫婦愛。


ラファルサ

《………居た堪れない》


居心地が、悪かった。


---Playback complete.

そっと、

Logを閉じた。


Backup後、

しばらく、何も語れなかった。

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