wW-25 Back Home
やっと我が家。
帰りたがる大人。
黙り込む男。
マンションの前。
クタクタの一人と平然な一人。
真彩
「やっと…着いた」
ラファルサは相変わらず無言だ。
エントランス。
エレベーターのボタンを押す。
ポストを見る。
チラシが詰まってる。
《まーた、回収してないのかよ》
取り出す。
エレベーターを待つ。
[ドアが開きます]
――バッコン
無言で乗る。
ボタンを押す。
真彩
「ねぇ…」
ラファルサ
「何だ」
真彩
「好物って何?」
ラファルサ
「…は?」
《やっぱそうなるか》
玄関前で止まる。
鍵を取り出す。
――チリンッ
鈴がなる。
ガチャ
目の前に息子。
直樹
「ママ…」
駆け寄る。
抱き寄せる。
真彩
「直樹、ただいま。怖かったよね…」
直樹
「……っ…」
泣き出す。
そっと、
背を撫でる。
振り向く。
真彩
「少佐、中へ入って」
ラファルサ
「………ああ」
ゆっくり、
扉を締める。
息子に、
視線を向ける。
視線が合う。
直樹
「…誰」
真彩
「だってさ。ラファルサ少佐」
表情を変えず。
無言。
直樹
「少佐?」
気に触ったらしい。
眉をひそめる。
ラファルサ
「ラファルサでいい」
直樹
「ラファルサ…不審者…」
ため息。
【少佐、たじたじに見えますよ(笑)】
《やめてやれ》
真彩
「ラファルサ遠慮なく、中入って」
直樹
「え…?」
ラファルサ
「帰る」
沈黙
真彩
「ここが家だが」
ラファルサ
「帰らせてもらう」
真彩
「じゃあ、どうやって?」
ラファルサ
「…………」
《ただ気まずくなったんだろうな》
【少佐!可愛いですよー!って聞こえてないか。】
《ドヴィラ?》
【何でしょう】
《ちくったろうか?》
【いいですけど。知りませんよ】
真彩
「ラファルサ」
ラファルサ
「何だ」
真彩
「ドヴィラが可愛い〜!ですって」
ラファルサ
「……ドヴィラ。後で覚えておけ」
【嫌な予感しかしません】
《知らん》
リビングへ向かう。
真彩
「ソファーに座ってくつろいでて。疲れたでしょう」
体を伸ばす。
キッチンへ。
《さてと、何があるかな》
冷蔵庫チェック。
《生協頼んでてよかった》
《てか、少佐って普段どんなの食ってんだ?》
【少佐は人間ですよ。】
《そういう意味じゃねーよ》
《無難なカレーでいっか》
直樹
「ママー」
学校からの手紙とプログラム。
…………。
真彩
「運動会!!!」
直樹
「明々後日だよ。ママ来るでしょ??」
真彩
「そりゃ、いくに決まってるでしょう!」
急いで手紙を開ける。
《運動会前日準備。当日見回り。面倒だけどやらねば》
【可愛い字だね。】
プログラムの空白に
”ソーラン節見てね。”
息子の字。
《うん。癒される》
《ラファルサどうしよう。大地と話し合いかな》
【少佐を連れてくの?】
《もちろん!》
【ぶはっ!想像したら吹き出しちゃいました。】
《ドヴィラ?》
【はい!】
《私もだ》
真彩は、
吹き出す。
ラファルサと直樹は、
不思議そうに、
真彩を見つめるだけだった。
運動会。
無愛想な男。
ソーラン節を見つめる光景。




