wW-24 Don't Look Back
迷惑客。
録画という盗撮。
何気ない行動が…相手を傷つける。
電車内、
いつもより混雑。
真彩は座席。
ラファルサ正面に立つ。
突如、罵声。
「邪魔だ!」
ラファルサはただ、
視線を合わせただけだった。
「テメェ!何睨んでんだ!」
真彩
「ごめんなさいね、そういう目つきなんですよ」
ラファルサ
「なぜ謝る」
やめとけ。
真彩は視線で合図。
だが、
男はエスカレート。
真彩
「あなた…車両移ろう?」
ラファルサ
「だが…」
【マヤ。周囲から”撮影”及び”録画”を検知。】
《面倒だな》
立ち上がる。
真彩
「あなた…怖い」
ラファルサの服の裾を摘む。
視線が合う。
《伝われ…》
真彩
「ここから離れましょう?」
ラファルサ
「…ああ」
手を、
繋いできた。
一瞬、
息を飲んだ。
その間、
ずっと罵声は止まっていない。
[まもなく、武蔵小杉、武蔵小杉、お出口は右側です。…]
真彩
「降りよう」
小声で伝えた。
ラファルサは頷く。
ドアが開く。
背後に男の怒声。
二人は、
振り返らなかった。
真彩
「危なかったね」
ラファルサ
「ああいうのは、関わらない方がいい」
視線を合わせたまま、
頷いた。
《ドヴィラナイス》
【いえいえ、盗撮は駄目です!】
《ああ。まったくだ》
真彩
「次の電車は…20分後か」
《ダル…》
真彩
「何か飲む?」
ラファルサ
「あ…ああ」
自販機の前で立ち止まる。
真彩
「何がいい?」
ラファルサは
沈黙。
真彩
「おーい。コーヒー飲める?」
ラファルサ
「ああ…」
微糖のコーヒーを選択。
電子マネーで購入。
――ピピッ …ガッコン!
真彩
「はい」
渡す。
受け取る。
まじまじと、
缶コーヒーを見つめる。
《もしや…》
真彩
「プルタブを上げるんだよ。ここ」
指を指す。
【ラファルサ少佐って可愛いと思いません?】
《…えっ。どこが?》
――パッカッ
《何を考えているのかわかんねー》
一口。
目の色が変わった。
少し…少しだけ、
口角が上がった。
真彩は見逃さなかった。
《可愛いを認めよう》
【ですよね!】
[まもなく、2番線に、東急新横浜線・相鉄直通、急行、海老名行きが、8両編成でまいります。…]
真彩
「飲み終わった?」
ラファルサ
「ああ」
真彩
「行こう」
ラファルサは頷く。
電車がホームへ滑り込む。
開いた扉へ向かう。
二人は、
再び電車に乗り、帰路を急いだ。
無口で、
無愛想な男が、
可愛いのでしょうか…。
突然、柔らかく笑むとキュンってしません?




