S4-04 被災した隊員。
観測者
[7月31日応募〆切のためにまとめています。]
[先行公開。]
[失礼しまーす。]
――ちゃぷん ジャ〜
真彩
「ふぁ〜…極楽極楽〜」
灯
「……」
何を話したらいいんだろう。
真彩
「も〜ぉ」
背中を、
ポンポンと優しく叩かれた。
真彩
「やだぁ〜黙りこないでよ〜」
灯
「すみません…」
わからないよ。
チラッと、
視線を向けた。
真彩
「縮こまらないでってば〜」
これが、世の中のお母さんなのか…。
おばあちゃんしか、わからないや…。
寂しそうに、俯いた。
真彩
「どうしたの?」
覗き込まれた。
灯
「いえ…何でもないです」
真彩
「何でも無くないんでしょう?」
「なおママに話してみ」
灯
「………」
「ここでは…ちょっと…」
なおママは、
周囲を見渡した。
真彩
「ごめんね」
灯は、
首を横に振った。
灯
「私こそ、ごめんなさい」
真彩
「事情があるのね…」
「話したくないなら無理しなくていい」
「なおママは、いつでも灯ちゃんの傍にいます」
灯
「え…」
なおママへ、振り向く。
いつでも傍に…。
皆…優しい…。
灯
「直樹くんのお父さんも優しかったです」
真彩
「え?」
なおママの、
表情が固まった。
真彩
「どういうこと?」
「入院中のはずなのに…」
灯
「ちょっと、いろいろありまして」
「ここでは…ちょっと…」
恥ずかしくなり、
湯船に軽く沈み込む。
真彩
「聞きたい」
「私の部屋でなら話せる?」
なおママは、
顔を近づけて呟く。
灯は、
顔を上げ、頷いた。
灯
「あの…もう少し浸かっててもいいですか」
「私、お風呂好きなんです」
真彩
「私も!気持ちいいよね」
クスッと笑った。
真彩
「スーパー銭湯好きなの」
沈黙。
「よく…」
「家族で…行ったわ……」
「復興したら…。また、入れるといいな…」
灯は、
息が止まった。
ゆっくりと、
直樹の母親へ視線を向けた。
私だけじゃない。
そうだった。
直樹くんも横浜住まいだった。
直樹くんのお父さん…。
何で…何で…。
灯
「何で笑ってられるんですか!?」
「直樹くん一家も被災したんですよね!?」
真彩
「え?」
一瞬、
固まった。
すぐ表情が穏やかになった。
真彩
「悲しんでても、何も始まらないから…」
「悲しむくらいならさ、私は人助けする」
灯
「この仕事を始めたきっかけってなんですか?」
なおママは、
笑いながらため息。
真彩
「あのね…」
黙って、俯いた。
真彩
「やっぱ言えないや」
「ごめん…」
「のぼせてきちゃった。先に出るね」
なおママは、
先に湯船から出て行った。
続いて、
灯は後を追うように出た。
灯
「待って…」
「置いて行かないで」
真彩
「ごめんごめん」
「…行こうか」
ガラガラガラ…
脱衣所は肌寒かった。
灯
「ここって日本じゃないんですか?」
真彩
「さぁ〜考えたことなかったわ」
灯
「え…」
どういうこと?
魔法が使える異世界とか…??
それが本当だったら…。
私も使えるようになるのかな…。
ちょっと、ワクワクした。
真彩
「はい。Mサイズで良かったかしら?」
TSIの、
制服を渡された。
灯
「えっと…。私が着ていいのでしょうか」
真彩
「私が許可する」
「いや…着なさい」
ふっと微笑む。
灯
「はい…」
なおママの、
微笑みに心が潤った。
制服に袖を通す。
鏡の前に立つ。
わぁ…。
頬が、
熱くなった。
格好いい。
自衛隊になった気分。
コスプレ?
少し、笑いが込み上げてきた。
灯
「ふふっ…」
背後になおママ。
そっと両手が肩に乗った。
真彩
「似合ってる」
「すごく似合ってる」
灯
「ありがとうございます」
真彩
「行こうか」
灯
「はい!」
端末を、
ポケットへしまった。
2人は、
脱衣所を後にした。
-
通路。
真彩
「面倒だな」
灯
「え?」
何が?
真彩
「掴まって」
手を、
差し出して来た。
そっとその手を受け取る。
瞬間。
視界が歪んだ。
灯
「え!?…ここは?」
真彩
「私の部屋」
灯
「やっぱ魔法使い…」
小さく囁いた。
真彩
「魔法使い?」
灯
「聞こえちゃいました?」
真彩
「地獄耳なので」
2人で、
小さく笑う。
直樹くんのお母さんって面白い。
真彩
「魔法じゃなくて、能力なのよ」
冷蔵庫から、
飲み物を取り出した。
灯
「能力って…魔法と何が違うんですか??」
黙り込んでしまった。
真彩
「確かに…。能力って言われてきたけど何が違うのかしら」
顎に指を添え、考え出した。
灯
「私には魔法にしか見えませんでした」
真彩
「やっぱ。魔法なのかしら…」
「空飛べるしな…」
灯
「えええ!?空飛べるんですか!?」
「それ、魔法使いじゃないですか!!」
真彩
「……ん」
なおママが、
不敵な笑みを浮かべ始めた。
え…何?
灯
「どうしたんですか?」
真彩
「いや…何でもない」
何だか楽しそうだ。
灯
「いたずらですか?」
真彩
「なぜわかった!」
「からかいだけどね」
灯
「誰をからかうのですか?」
真彩
「…秘密」
「麦茶と緑茶どっちがいい?」
灯
「麦茶で」
ペットボトルを手渡される。
灯
「ありがとうございます」
2人は、
飲料を飲んだ。
灯
「私も人助けしたいです!」
なおママは、
目を丸くして、
こちらを見てくる。
真彩
「いいんじゃない?」
灯
「修行すれば、私も魔法使えるようになるかな?」
真彩
「それは…」
考え込む。
真彩
「なおパパに頼めば、もしかしたら?なーんちゃって?」
灯
「え?どういうことですか?」
真彩
「さぁ…」
ふふっと笑む。
灯
「気になる〜」
真彩
「灯ちゃん、なおパパと話したんでしょう?」
「気になる〜」
灯の、
頬が赤くなっていった。
真彩
「何があったの」
真剣に話し始めた。
真彩
「大地がでてくるって相当なこと…」
灯は、
ゆっくりと、
なおママへ事情を話した。
-
真彩
「あははは…!!」
「待って!あの後、大地の部屋入ったのかい!」
「直樹がねぇ…」
「そうかぁ…」
「大きくなったもんだ…」
灯は、
顔真っ赤。
もじもじと沈黙していた。
真彩
「まぁ、あんな息子だけどさ」
「悪い子じゃないから」
「たぶん…」
「優しい子に育ってくれたのね…」
「お母さん泣いちゃう」
目頭押さえる。
「いやね。だってさ…」
「あの子がだよっ」
「まだ16なのにさ…」
泣き出す。
「家族になるって馬鹿なこと言って…」
「はっ倒そうかしら」
灯は、
慌てる。
灯
「あの、あの。とても嬉しかったんです」
「私には、もう家族いないので」
なおママに、
抱き寄せられた。
頭を優しく撫でられた。
涙が頬を伝う。
お母さん…。
静かに、
その温もりに身を委ねた。
-
真彩
[お前の嫁は預かった。]
直樹
『は?』
真彩
[お前の嫁は預かった。]
直樹
『なぜ2回言ったの』
真彩
[大事なことなので2回いいました。]
直樹
『はあ。で?母さんの部屋にいるんだろ?』
真彩
[なぜわかった。]
直樹
『そっち行く』
真彩
[ん。]
すぐに転移してきた。
直樹
「返せ」
真彩
「後ろのやついらんだろ」
付き添いへ視線が行く。
Naparnik
【何で。いいじゃん。】
Dovira
【ラブラブできないです!】
Naparnik
【何で。Dovira。そういうのいい加減にしろよ。】
Dovira
【…ほっといてよ。】
真彩
「喧嘩すんな」
「で?先輩はなぜここに?」
ラファルサ
「いちゃ駄目なのか?」
小さく首を傾げた。
真彩
「べ…別に!」
視線を逸らした。
直樹
「灯。制服似合ってるね」
灯を、
じっと見つめる直樹。
真彩
「直樹」
直樹
「ん?」
真彩
「フェルの部隊の応援に行ってくれないか?」
直樹
「なぜにいきなり!!?」
「父さんの仕事は??」
真彩
「少し一段落ついたらしいよ」
「カルディから報告きた」
直樹
「何で母さんに…」
真彩
「カルディに連絡した時に、言ってただけよ」
直樹
「いますぐ?フェルの場所どこ?」
真彩
「いますぐってわけじゃないけど…灯ちゃんと一緒に」
「公民館よ」
直樹
「だからどこの?」
Dovira
【ダーリン受け取って!】
真彩
「送った」
Guiar
【キャッチ。受け取った。】
真彩
「マント置いてけ」
直樹
「わかったよ…」
Naparnik
【放置プレイ。】
ラファルサ
「………」
可愛い寝顔を眺める親子であった。
Next time
――インフラ。
観測者
[起→Season1家族を作る ]
[承→Season2家族を護る ]
[転→Season3家族で立ち向かう]
[結→Season4家族で未来へ歩く]




