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15.「災害」

「…………い………おい……おい……! 起きろ!」

「ん~………」


 ぼやけた思考の外から声がする。まだ眠りたいエンベリラは自分の欲に素直に従い、再び(あわ)く心地よい眠りの中へと―――――


ゴッ!!!


「ッッッてぇぇぇぇ~~~~!!?!??」

「起きろっつってんだろバカトカゲ!!!」


―――――入ることはできなかった。


 ローサーによって強打された頭から煙が上がっているような気がするほど強く()たれた頭を(さす)りながらローサーへと不満の声を漏らす。


「何だってんだよいきなり!!」

「何もこうもあるか! 周り見ろ!!」

「周りぃ~?」


やけに焦ったような声で叫ぶローサーを不審に思いながら、目をこすり改めて周囲を確認する。


 そこには、ごうごうと燃え盛る紅蓮の炎が草木を(むしば)み、灰へと姿を変えていく(さま)が、視界を覆いつくさんばかりに広がっていた。


「なッ!? 森が燃えてる、のか!?」


普通ではありえない状況に頭がパンクしそうになっているエンベリラの腕をローサーが叩く。


「ぼーっとしてる暇はないぞ! 早くここから出ねぇと……!」


ローサーがちらりと向けた視線の先には、地面に()して苦しそうに息をするドラパがいた。


「ドラパ!? ……! そうか、火で空気が…!!」


さっきまで焦りで気づかなかったが、炎に空気を奪われ、竜であるエンベリラでも呼吸をするのが苦しい。いくら竜人族でも、長くここにいたらどうなるか。ローサーも鍛えているとはいえ人間だ。


「ローサー! ドラパを抱えて俺に乗れ! リスプも早く!」


音波で炎をこちらに近づけぬようにしていたリスプにも声を掛け、自分は急いで竜の姿へと変化する。


 苦しそうに(うめ)くドラパを抱えてローサーがエンベリラに乗り、それに続くようにリスプもエンベリラの上へと飛び乗る。


 リスプがエンベリラに乗ったと同時に音波を解除したのか、炎は荒れ狂う波のようにエンベリラへと(せま)ってくる。


「―――いくぞッ!」


大きな翼を力強く羽ばたかせ、急いで空へと飛んでいく。エンベリラの起こした風は、皮肉にも火は貪欲に吸い込み、(さら)に森を燃やしていく。


 その(さま)を尻目に、エンベリラは町へと向けて飛ぶのだった。

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