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パソコンヒモ男  作者: ふじふじ
冒険編
23/47

爆弾

11 爆破


「ば、爆弾!?」


途方もない話に英子はめまいがした。海外では連日テロの話題が世間を騒がせているが、ついにこの日本にまで、その手が。たしかにドイツに本社を置く、英子の企業は狙われやすいかもしれない。でも、もともと小さな会計事務所からスタートした歴史を持つ自分の会社が日本の第一ターゲットなんて、何かおかしい気もした。


「まってサブローさん、その情報はどこから仕入れたの?」

「わたしのLIMEのタイムラインに流れてきました、英子さんもグループに入っているかもしれませんよ」

「えっ?」


英子はカバンからスマホを出すとLIMEを立ち上げた。サブローからの着信と、サブローと英子をグループにしたメッセージが何件か入っている。中を開いてみた。


ガイアの夜明け:「ふふふふ、これから爆弾を仕掛けるでし」

ガイアの夜明け:「爆弾はお前の机の下にしかけるでし」

ガイアの夜明け:「おっと、おもちゃだとおもうなよ、2日徹夜して作った俺の傑作でし」

ガイアの夜明け:「ふふふふ、これでおまえはおわりでし」


この語尾、け、加藤ケイトー、怖っ、でもなんでサブローさんのことがあいつにわかったのだろう。しかしあいつはいったい何日徹夜してるのだろう。寝ろ、加藤。


「あっ」


電話帳か。この間も電話帳を登録したら勝手に入ってしまった。加藤はどこからかサブローの名前を社内で聞きつけ、今回の脅迫を行うに至ったのだろう。英子はタイムラインに書き込んだ。


A子「加藤、あんたなんでしょう?、変なことすると警察に通報するわよ」


するとすぐさまタイムラインに返事が


ガイアの夜明け:「ふふふふ、爆破して欲しくなければ、今すぐサブローとやらを連れてオフィスに止めに来るんだな」


英子はさらにすかさず、返事を出した


A子:「いやよ、危ないじゃない。今すぐ警察に連絡して取り外してもらうわ」

ガイアの夜明け:「ふふふふ、それはできない」

A子:「なんでよ」

ガイアの夜明け:「…定期連絡は以上だ」

A子:「誤魔化したってダメよ」


一通りのメッセージを見たのか、サブローが電話口で話しかけてきた。


「英子さん、オフィスはどこですか?」

「銀座よ、パシフィコセントラルビル」

「とにかく行ってみましょう」

「ダメよ、危険だわ。まず警察に通報を」

「おそらくですが」

「なに?」

「これはパソコンのトラブルの匂いがします」

「そんな馬鹿な」

「とにかく1時間後にビルの下のロビーで、社員証、ありますか?」

「もってるわ。でも警察にはわたしから連絡を、でないと休日はビルの中には入れないわ」

「わかりました」


ポカンとする女子二人を前にして英子は言った。


「さっそく…、パソコンのトラブルみたい」

「英子、気をつけて」

「サブローさんを死なせないでね」


警察とともにセントラルビルの下にたどり着いたのは、約1時間後だった。サブローはちょっと前に来たとのことだったが、いつになく興奮しているようだった。


「いや、英子さん、このビルは完璧ですね。映画の"ナカトモビル"みたいです」

「なによそれ」

「外国のギャングが、ビルを占拠して一人の刑事が立ち向かう映画、見てません?」

「ああ、昔の映画ね、まだ続編を作ってるとか。わたしアクション映画はあまり観ないのよね」

「わたし、あの映画の大ファンで。いやはや、まさか同じようなシチュエーションが自分に来るとは思ってもみませんでした」

「そうね、わたしもそう」


「ごほん、ごほん。お二人とも、これはいったいどうゆうことなんですかね?」


割って入ったのは小太りの警察官ではなかった。日本の警察は勤務中においそれと飲食しないのである。


「いや、わたしの同僚が、わたしのデスクに爆弾を仕掛けたから、止めに来いとLIMEで言っているのです」

「タチの悪い冗談では?」

「わかりません、ただ、爆弾は2日徹夜して作り上げた傑作だとか」

「2日?たった2日?、もうそれこそ嘘みたいな話ですね」

「そんなこと、私は分からないわ」

「とにかくですね。処理班を送りますので、同行願ってデスクの場所を教えていただけますか?」

「えっ?!、わたしも行くの?」

「図面、お持ちではないんですよね?」

「ええ、ないわ」

「では、どのように?」

「私が案内図を描いて…」

「伊澤さん、事態は一刻を争います」

「わかってるわ」

「ご協力お願いします」

「いやよ、爆死なんていや」

「あなたは、処理班なら爆死しても良いと?」

「そんなこと言ってないわ、私が死ぬのが嫌なの」


「英子さん」


会話を遮るようにサブローが割って入った。


「私も行きますので、一緒にオフィスに行きましょう」

「サブローさん…」

「早くしないと手遅れに。大丈夫です、皆がついています」

「いや、絶対に嫌。爆死なんて嫌なの」

「英子さん、私も察するに、2日では機械や爆薬の調達も考えると、到底大規模なものは準備できません。オフィスの入り口まででいいですから」

「わ、わかったわよう、入り口までね?、入り口までだからね?」


英子は芸人の仕込みみたいな台詞を言うと、しぶしぶオフィスまで同行することにした。

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