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パソコンヒモ男  作者: ふじふじ
冒険編
16/47

翌日


4「やってしまった日」


朝9時。起きたらその時間だった。なんという失態。おまけに頭がガンガンする。とりあえず会社に連絡し、今日は気分が悪く、休む旨を伝える。


日本で会社勤めを開始して十数年、初めての失態であった。なんであんなに飲んでしまったのか、まず焼き鳥屋から出た記憶がない。サブローやさより、絵美に自分の話をし始めたところまではなんとなく覚えてるが、何を話したかは全く覚えていない。


寝巻きにも着替えず、スーツのまま。


幸いにもスーツがシワになったぐらいで、何処かに転んで破ってしまったような事はないようだった。


「ケータイ…」


スマホのLIMEには、さよりからメッセージが入っており、支払いはサブローがしたこと、英子をタクシーに乗せて自分たちは帰ったことなどが書かれていた。


特に恥ずかしい写真があったり、変なことを言って怒られていることはなさそうだ。英子は少し安堵すると、再びベッドに戻った。カバンや上着を脱ぎ散らかしており、ベッドの上はグチャグチャである。


頭が痛い。吐き気もする。とりあえず、きついスーツを脱いで寝巻きに着替えた。ボサボサの髪もどうにかしたい。


服を脱ぎシャワールームに行くと熱いシャワーを浴びた。


喉が乾く。


なんとなくシャワーのお湯を飲んでしまった。


「ゲホッゲホッ、何を、何をやってるの、わたし」


英子はシャワールームから出ると、放り投げたカバンの中に自分の財布を探した。財布はすぐに見つかった。良かったなくしていない。


「ぱさ」


何か紙が落ちた。折りたたんであるA4の紙である。中身を開くと、パソコンの写真が印刷してある一覧表である。


「パソコン…。きっとサブローさんのね。書き込みがしてあるし」


英子はスマホを手に取ると、さよりにメッセージを送った。


A子「きのうは迷惑かけてごめんなさい」

A子「お金の支払いしますので」

A子「お時間がある時に連絡ください」


さよ「あー、いいわよ別に」

さよ「なんか大変そうだったし」

A子「なにが?」

さよ「企業で働くってことが」

A子「そう…」

さよ「途中でなに言ってるかわからなかったわ」

A子「ごめんなさい、なんか私、スイッチが入っちゃったのかも」

さよ「会社は行けたの?」

A子「休んだわ」

さよ「じゃあ、今日夕方にでも会わない?」

A子「なんとかするわ」

さよ「何かサブロー君もちょっと英子と話したいことがあるみたいよ」


会話を終え、英子はスマホをスリープにすると、ベッドに倒れこんだ。ぐるぐるする頭の中で各社が持ってきた資料が回る。みんな自分たちの解釈で好き勝手書いてきたり、過去のプロジェクト受注パターンなんかを提示してきている。収集がつかない。


英子は寝返りを打って、それらのイメージをかき消そうとした。


「カサッ」


何かが手に当たった。さっきのサブローのものと思われる折りたたんだ紙である。英子は何気なく広げてみた。


紙は一覧表になっており、各社のパソコンの特徴が書いてある。


画面サイズであるとか、CPUであるとか。


下の欄には、手書きで書いてあるところもある。


最後に価格。


「んー、値段は似たり寄ったりかも…」


英子は再び眠りに落ちた。

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