表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/11

宴会

少女は拳を握った。


「やるならやらねば!」


老軍師が首を傾げる。


「何をでございます?」


「宴会を!」


言い切った。


老軍師は目を見開いた。


「おお……」


勝手に感動している。


「この休息に、それほどの意味が……」


少女は勢いよく馬車を指差した。


沈黙。


爆裂団の男たちが顔を見合わせる。


「酒なんて積んでるはず……」


「あった」


「あったな」


「あったわ」


全員が馬車の中を見た。確かに酒樽が積まれていた。


誰も積んだ覚えはない。だが存在している。


「これはセーフ!」


「は?」


「いや、なんでも」


やがて酒が配られる。最初は厳粛だった。兵士たちは震える手で杯を受け取る。


「ありがたき……」


「女神様のお恵み……」


「慎んで頂こう……」


まるで神事だった。誰も大声を出さない。誰も騒がない。


全員が神聖な儀式だと思っていた。


五分後までは。


「美味い!」  誰かが叫んだ。


「いや、ありがたき幸せ……!」


「うむ。女神様の御神酒だ。一滴たりとも零すなよ」


隣の男が酒を飲む。


「……いや、これ普通に美味いな?」


「めちゃくちゃ美味いぞ!」


「おかわり!」


堰を切ったように空気が変わる。爆裂団の男が樽を担ぎ上げた。


「ガハハハハ! 呑め呑め!」


「おおおおおっ!!」


歓声が上がる。歌う者。踊る者。


泣く者。抱き合う者。


宴会はあっという間に収拾がつかなくなった。


少女は焚火の近くで小さくなっていた。


「おお、女神様!」


酔った兵士が近づいてくる。


「なんと麗しい!」


「女神様!」


別の兵士も加わる。


「なんと神々しい!」


「女神様のお髪は黄金の輝き!」


「女神様のお瞳は星の如し!」


少女は引きつった笑みを浮かべた。


「ううっ……セクハラ展開……」


頭の中に聞き慣れた声が響いた。


『バカなの?』


エリイはたまらず岩戸のなかに閉じこもった。


『それ順番逆だし』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ