第187話 殲滅兵器戦『中編』
ちょっと投稿頻度に追いつかないことが増えてきてしまって本当に申し訳ないです。
出来るだけ自分でも書いていこうとは思うのですが、頻発するようであれば、頻度を考えます。
ぜひ、お納めください!
「行きます!!」
「いっくぞぉー!」
まず、テミスとシルフィが前に出る。共に体を風で纏った2人は高く、球体よりも高く飛び上がり真上からそれぞれの技を放つ。
そしてさらに左右からは飛んだ2人に狙いを集中させないよう、ミユとテミスが球体の下部を狙う。
「……ギギギギギ」
やはりひとかどの知能はあるようで、標的を一つに絞れず、4人全てに攻撃を放とうとする。しかし、空中にいる2人は避けることが出来ないため、それを下の2人が放つ前に食い止める。うまく彼女たちの陽動が働いていた。
その間、俺は何をしているかというと——。
「“領域選定”」
あるスキル名を口にする。すると頭の中にどのような領域にするかのイメージが湧き上がる。この部屋全てを支配するような感覚。俺はこの部屋に一つのルールを敷くのだ。
『攻勢行動を優先させる』
「くっ……」
ルールをイメージした瞬間、そのルールを適用しようと俺の体から魔力が流れ出す。その量は通常の魔法使用よりも遥かに多く、だが、それでも止まらない。
「ギガガガッッ!!!」
「まずいっ……!」
俺は出来るだけ意識を選定から外さないようにしながら、兵器から放たれたレーザーを回避する。しかし、うまく受け身が取れず、よろめいてしまった。
「あんたの相手はこっちだよ!!」
バキィッ!!という音と共に俺を狙っていた兵器の砲門が折れる。そしてそのままミユは兵器を果敢に斬りつけていく。
(【神創武具】の素材で創られたはずの兵器が折れただと?)
スキルが干渉した結果、自然のルールよりもスキルが優先されることに気づいた俺は、スキルによってルールを創り出そうとしている。
それは、この部屋の空間においてのみ、『あらゆる攻撃行動が、防御よりも優先される』というもの。兵器からの攻撃はそもそも受けられないのならば、こちらも同じ条件で戦うまで、と考えたのだが、行動全てを優先させるのは難易度が高いのか、未だスキルの完了はしていなかった。
後一歩のところで、これ以上折れない紙を折ろうとしているような、力が入らないのに思い切り握ろうとしているようなもどかしい感触がずっと続く。
そのため、まだミユの天の劔と同じもので創られた兵器を斬れる環境は整えていないのだ。しかし、兵器の砲門はミユの攻撃によって斬れてはいないものの、修理しないと再使用できないほどまで、ポッキリと折れている。
「……ミユの劔と完全に同じではないのか?」
考えてみれば、俺が見た“予知”でミユの劔を傷つけられたのは、兵器の持つ“対守勢”スキルが発動した攻撃のみで、通常の斬り合い(?)で刃毀れをした形跡などはなかった。
しかし、兵器の躯体はミユの攻撃だけでなく、俺たちの攻撃でも、傷をつけることはできた。まだ、あれがあくまで俺の“予知”で見た光景なだけで、実際には違ってくる可能性もあるが、あの景色を否定する必要はないだろう。
「……なら、見てみるのが一番早いな」
俺は“全鑑定”で兵器を確認するとともに、改めて“領域選定”のルールを設定しなおす。あらゆる攻撃行動にスキルを乗せることが不可能ならば、特定の行動に乗せる。
乗せるルールは『既に傷を受けている箇所への攻撃の場合、威力倍増』。
これなら多少の抵抗はあったもののルール設定を完了させることができた。ただ、傷についてどの程度かを詳細に設定しようとすると使用不可だったため、ダメージが入り始めるのがどの程度なのか想像がつかないのが難点か。
物質名 煌神鋼 神の血液から生み出された最硬の鉱物。神の炎でしか精錬できず、鍛造も鋳造も不可。しかし、当兵器には不純物も混ざっている。
そして、兵器の素材を鑑定した結果、新たな素材を知ることが出来た。ミユの劔を鑑定した時には判明しなかった素材だ。俺も少しはあの頃より成長しているということなのだろうか。
また、その先には俺の知りたかったことも書いてあった。やはり、あの兵器にはミユの劔よりいくらかレベルの低いものになっているのだろう。
おそらくシルフィの話から鑑みるに、いつの時代かは不明だが、この煌神鋼を見つけた人間が、それを使って何かを造ろうとしたが造れず、人間でも加工できる好物を混ぜて造り出したと思われる。
「……まぁ、別のものを混ぜたからと言ってなんで神の鉱物まで加工できたのかは謎だがな」
浮かんだ疑問は数あれど、今は戦いに集中する時だ。
突破口は見えた。ならば、あとはそこに集中するだけである。
俺がこの部屋にスキルを敷いているうちに他の4人も絶えず、兵器を攻撃してくれていた。そのおかげで上部に開いた傘のような銀の針は所々折れているし、反撃にと下部から突き出した砲門や銃口は破砕したり、凍りついたり、穴が空いたり、圧縮されたりしている。
もはや傷だらけで、この躯体に傷がない場所などないのではないか、というほどボロボロだった。兵器のスキル、そしてその躯体に最初はかつてないほどの強敵だと思っていたが、こちらも成長しているのだ。
「……けど、油断はできないよな」
俺は1人そうごちて、刀を抜き戦線に加わる。俺の見た“予知”では、ここで油断して一気に全滅したのだ。
「カイトくん!!うまくいった?」
「あぁ、あとは散々傷つけた箇所を執拗に狙い続ければ自然と破壊できるはずだ」
「……うわぁ、言ってることえげつない。でも、それだと普段の戦いとそこまで変わらないんじゃないの?」
「実際にやってることはそうだな。だけど、効果が違う。はずだ」
「どういうことですか?」
宙から降りてきたテミスが詳細を求める。俺はみんなに最初予定していたスキルが発動させられなかったことと、その後設定したスキルの詳細について説明する。
「ガガガ……ガギギギガガガ……ピィーー……」
すると兵器は火花と静電気を上げながら無理やりその躯体を動かし、耳障りな音を立てる。そして、ボロボロになった傘や砲門などを一斉に仕舞い、元の球体に戻っていく。
だが、所々がボロボロなせいで、最初の綺麗な球体からは見る影もない。
だが、変化はそこで終わらなかった。
歪ではあるが球体に戻ったかと思えば、球体の背面と思われる場所から俺の顔面を貫こうとしていた銀の槍が4本生えた。そして菱形を描くように球体の周りを囲み、穂先を俺たちへ向ける。
さらに変化は前面にまで及び、球体の内側から外側へ捲れ上がるように内部が露呈していく。それも一回や二回ではなく何度も何度も皮膚を引き剥がしまた取り込むように、徐々に元の形を失っていった。
「……ナニあれ」
そして何度も捲れ上がった奥から出てきたのは、機械から生み出されたモノとは思えないほど、生々しい口だった。
その口は、鋭い銀の牙を有し、生物めいた液体を垂れ流してテラテラと妖しく光る。
「油断するなよ、ここからが本番だぞ!」
「ピギャァァァァァァァァ!!!!!!」




