第175話 神竜の僕
すみません。FGOのストーリーに心殺されてました。いやぁやっぱりあの人すごい。真似したい、けど真似できねぇ…。
あと、あるキャラの一人称を都合により変更いたしました。過去のも変更してますが、内容は変わってません。(読みにくくなっちゃった…。難しいね)
——時を遡ること数時間前。
私たちは村嶺に連れられるまま、森の大社に辿り着いた。そしてそこから先行した仲間のもとに合流した。扉を破られていた時はどうなることかと思ったが、先行した部隊や非戦闘員は無事だった。
「村嶺様!皆様も!よくぞご無事で!!…こちらの方は?」
「ルメィル、ご苦労。彼女らは魔物との戦いに協力してくれた猛者だ。丁重にもてなせ。して、状況はどうなっている?ここに侵入された形跡があったが……」
「いえ、特に問題ありません!敵がここに侵入した、という報告も特に受けておりませんが…。大社が攻撃を受けたのですか?」
「なに?」
村嶺が部下からの報告に頭を悩ませている。それは側で聞いていた私も同じだった。大社の入り口から目の前のエルフの部隊や非戦闘員が多く集まるこの場所まで、一本道だった。
先行していた部隊が単に敵の姿を見ていないだけでなく、大社の破壊跡も知らないのは状況が食い違ってくる。これでは、その先に進むこともできない。
「いえ、そんなことよりも早く先に進みましょう。こうして村嶺様も合流したのです。あの転移陣も起動できましょう」
「待て、他の部隊はどこにいる?我々が最後のはずだぞ?」
「村嶺様?」
「何をおっしゃって……」
「きゃぁぁぁぁ!!」
その時、この広い空間に甲高く響き渡る叫び声が聞こえた。それは一瞬で全体に伝播し、皆が何事か、と慌てふためく。だが、原因はすぐに見つかった。
非戦闘員たちが集まるフロアには、私たちが来た道と反対方向にも奥へと進む道がある。その道の奥からのっそりと、人間やエルフより体格が一回り大きい白い魔物が、どこから持ってきたのか、鉄の棍棒を持って現れた。しかもそれは一体だけでなく、道を塞ぐように複数体現れたのだ。
「うわぁぁぁ!!」
「ホワイトオークだ!!潰される!!逃げろぉ!!」
「くっ!やはりか!!ルメィルの部隊は非戦闘員を守れ!我らはホワイトオークを————な……」
フロアは瞬く間に阿鼻叫喚の渦に包まれた。それを半ば予想していたのか、素早く指示を出そうとこちらを振り向く村嶺の言葉が止まった。その視線は私たちではなく、その背後で固まっている。
「なんだ、アイツは……」
「まさか、アイツが村嶺様と……?」
「な、なんで……お前が……」
一斉に振り返ったみんなの視線が人ところに集まり、体が強張る。それは私やミユも同様だった。そんな私たちを嘲笑うかのように、その魔物はドスン、ドスン、と地面を揺らしながら、ゆっくりと迫る。
「……我が相手をする。皆の者、今すぐこの場を離れ、後ろのホワイトオークを討伐せよ」
「ですが、村嶺様——」
「早く行け!お主らでは、この魔物に敵わん!」
「くっ、分かりました」
いそいそと村嶺の言葉に従って、ホワイトオークの方へと向かっていく。フロアではすでに何名かの非戦闘員が殺され、収拾がついていない。
「お主らも——」
「いえ、私たちは残ります。この魔物とは一度戦ってことがあるので」
「なに?」
「ヤツの能力は分かっています。ただ、その能力の性質上、私たちでは攻撃を与えられませんが、あなたなら——」
「そうか、わかった」
そうして私は素早くヤツ、二本角の魔物、『アストラノトゥス』のスキルや能力を村嶺に伝えた。ただ、最悪なのは、彼がすでにアストラノトゥスへダメージを与えられなくなっている可能性があること。
村では一人でヤツの侵攻を食い止めていた、と聞いていたため、ダメージを与えられるかは半ば賭けであった。そこで私はふと違和感に気づいた。
「あのお腹……」
「そうだ、ヤツの不可解なところはあの傷でも生きていること。だが、他の魔物の状況から考えてヤツはすでに死んでいる可能性が高い。厄介なのは、こいつは殺したと思っても時間が経てば、起き上がってくるのだ」
村嶺が素早く言うには、ヤツの纏う黒い瘴気を他の魔物も纏っているが、その魔物はどれだけ体を破壊されても四肢が繋がっていれば、無理やり体を動かして襲ってくること。これは魔物がすでに死んでいても関係ない。
そのため魔物の動きを止めるには四肢のどれかを切り離すか頭を潰すかしなければならない。それをこの魔物にも試そうとしたが、この魔物だけは切り離したはずの四肢を再生させて襲ってくるらしい。
「もしかしたら……」
それを聞いた私は一縷の望みを賭け、改めて片眼鏡を使ってヤツを鑑定する。
名前:表示できません
種族:表示できません
Lv:0
ステータス: 軀力150000
咒力150000
剛撃150000
堅禦150000
閃煌150000
スキル:表示できません
称号:『角の死徒』『神竜の僕』
角の死徒 死に触れた者が、原初の魔によって仮初の命を持った者に与えられる称号。永遠に死なない命と痛みを与えられる。その代わり、この称号を持つ者は自らの定めた方法で配下を増やすことが可能。この者は角で突き刺した相手を配下とする。
神竜の僕 どこかに眠るとされる原初の竜の恩寵を与えられた証。竜に愛された者は竜を愛し、竜のために生きる権利を与えられる。
「村嶺様、良い知らせと悪い知らせ、どっちから聞きたいですか?」
「ふっ、我は好きなものは後に残すのでな。悪い知らせから聞こうか」
「分かりました。ヤツはどうやらもう死なないそうです。それにあのツノで突き刺されれば、ヤツの配下となるみたいです」
「ハッ、なるほどな。良い力を持っているではないか!して、良い知らせは?」
「ふふっ。……ダメージを与えられますよ」
「クハハッ!それは確かに良い知らせだ!やはり我の勘は誤っていなかったということだからな!!」
村嶺は半ばやけくそ気味に笑い飛ばす。確かに、ここまで理不尽だと、笑いたくもなるだろう。私はひそかに覚悟を決める。もしかしたらもうカイトに会えないかもしれない、と。
「わぁぁぁ!!!」
「助かった!助かったぞー!!」
その時、後ろ側で歓声が沸き起こった。私はホワイトオークの討伐に成功したのか、と思ったが、戦闘音は未だ止んでいない。
「ランディ様だ!ランディ様が合流したぞ!!」
「フクセト様もいる!!豪剣のゴドロフ様や閃速のライナン様、極弓のスミニィ様まで!各部隊の隊長達がみんな集まった!!」
歓声は次々と伝播していき、フロアは完全に勝利ムードになっていた。そしてその期待に応えるようにホワイトオークが一体、また一体と討伐されていく。
「ようやく揃ったか。……しかし、なぜ最初からこの場所に奴らはいなかったのだ?」
村嶺の顔にも余裕が垣間見える。しかし、ボソッと呟いた声は掠れて聞こえなかった。
「あとはヤツだけですね」
「あぁ」
私とミユは村嶺に並んでイノシシと対峙する。しかし、イノシシは一向に動く気配を見せない。それどころかこちらに敵意すら向けてくる様子がないのだ。
「……どういうことだ?」
「村嶺様!!遅れて申し訳ありません。こちらランディ、そしてフクセトより以下8名の部隊長、ここに馳せ参じました」
「よし、よく集まった。では、6人はここに残り、残り4人は我について来い」
「かしこまりました。ではここには、私とフクセト、そして——」
「いや、ランディ、フクセトは我と来い。他から選任せよ」
「……はっ。では、ゴドロフ、ライナン、スミニィ、カサニャはここに。他は村嶺様と」
「いいだろう。我は転移陣起動に入る。ヤツを奥へと進ませるな。ここで死守せよ」
「「「「はっ!!!!」」」」
「合流してすぐですまぬな。頼んだぞ」
村嶺は短く後から合流した隊長達を労い、ホワイトオークの現れた奥の道へと向かう。どうやらすでに非戦闘員たちには隊長達が指示を出していたようで、ルメィル率いる部隊が非戦闘員と共に奥の道へと進んでいた。私たちはそれに少し遅れて合流する。
「お主らはどこにいたのだ?」
「はっ、どうやら奥の転移陣近くに魔物がいたようで。その退治を行っておりました。先行して潜っていたため、ルメィルに伝言できず、報告が遅れてしまい申し訳ありません」
「……ふむ」
ランディが淀みなく答える。村嶺は自らの顎髭を撫でながら、思考に耽っていた。道の奥には先ほどのフロアよりかは幾分か狭くなるが、それなりの広さのフロアが見える。あのフロアに村嶺の言う転移陣があるのだろうか。
「……お主らは、我より少し先に村を出たはずだ。それに隊長達は戦で命を散らした、と報告を受けておるが?」
「えぇ、そのようですね。ですが、私たちは命からがら生き延びた。そして使命を全うし、ここにいる。それでいいではありませんか、村嶺様」
「……貴様」
ランディ、そして村嶺が足を止める。私たちもそれに合わせて足を止めた。何やら異様な雰囲気が辺りに充満する。
「村嶺様、私は世界を知りました。そして、絶望を知りました。そこで初めて私の天命を悟ったのです」
「貴様ランディ、何を言っている?」
「ふふ、あなたもいずれ分かりますよ」
——さぁ、神と一つになりましょう。




