第162話 外門の守護者『前編』
大変お待たせいたしました。
リアルの忙しさがいなくなり、モチベが帰ってきましたので、また続きを書いていきたいと思います!!
ただ、基本的には今までの更新タイミングを変えないつもりですが、もしかしたらもあるのでその時は「あーあ」と思ってくださいorz
「ここが一番下みたいですね・・・」
「うん・・・」
ヴァイスと別れ、これまで通り階段を降りてきた私たちはついに塔の最下層まで降りてきた。そこはこれまで以上に薄暗く、目を凝らさなければ間取りを把握することすら難しい。
しばらくして暗闇に慣れた私たちは部屋の中を確認するため、探索する。
「そんなに大きな部屋ではないですね」
「うん、謎解き部屋よりちょっと広いくらいかな」
広さはこれまで一定の階層にあった謎解きの部屋より二回りほど大きい。そしてその部屋の真ん中にはこれまでと同じように腰くらいの高さの台座がポツンとある。
「またあった。けど、謎解きじゃないね?」
「そうですね・・・」
一つ違う点は台座の上に立てかけてあるだけの石板があること。それは特に封印や留め具などはなく、本当に無造作に立てかけてあるだけだった。
「なんで置いてあるだけなんだろう・・・」
「さすがにこれをそのまま取るのはーーっあ!」
明らかに怪しいその置き方に私が取るか頭を捻らせているうちに、ミユがあっさりとその石板を掴んでしまった。
その瞬間、これまで薄暗かった部屋が一気に明るくなり、私たちの視界を一瞬潰す。瞼の上から目を灼くような光に戸惑いながら、敵に襲われないよう辺りの気配を探る。
「・・・なっ」
「っ・・・」
そうしていると気づいてしまった。近くのミユも息を飲む。
ーーあまりに大きい。
ただそれだけ。
だが、それだけにしては不気味だった。私は改めて光に慣れた視界を開いてその威容を仰ぎ見る。
高さは約10メル。長さや幅はそれほどではないが、その巨体を支えるのは、私の体より太い二本の足。そしてその高さの半分を占める胴体からは左右から二本、合計四本の腕が生えており、うち三本の腕には異なる武器を有している。
そして、一番上には小さな丘のような頭があり、そこには一つ、ギョロリとこちらを睥睨する瞳が怪しい光を発していた。
そんな目を閉じていても圧を感じるような、土気色をした人形、ゴーレムが門番の如く屹立していた。
だが、そのゴーレムは先ほどまではなかった。
目を閉じていても圧迫感を感じるほどなのだ。いくら薄暗いからと言っても気配を探ってようやく気づけるなどはあり得ない。
・・・あり得ないはずなのだ。
「グガガガガガガゴゴゴゴゴゴ!!!」
そんな私の受けた衝撃など打ち消すかのように、右手下に持つ槍の柄を地面に叩きつけながらどこから発声しているか分からない雄叫びを上げる。
「くっ!ミユさん!」
「分かってる!」
私たちはすぐさま戦闘態勢に入る。その瞬間、左手上に握っていた大剣が叩きつけられた。私たちはそれを危なげなく躱し、その大剣を掻い潜るように距離を詰める。
そうして近寄って見ると、不自然な接合部があることに気づいた。
接合部は全部で2つ。丘のような頭と上半身を繋ぐ部分、そして上半身と下半身を繋ぐ部分だ。そのどちらも歪に繋がっているが、今も徐々に修復されているのが分かる。
「ふっ!!」
数瞬の思考を終えた私は、横の壁を蹴り上がり上半身と下半身を繋ぐ接合部へ、脇に溜めた突きを放つ。しかし、その攻撃はゴーレムの腕に防がれた。その動きは巨大な体からは想像がつかないほど早い。
「はぁぁ!!!」
私の行動を見ていたミユも私の意図を把握したようで、その手に持つ刀を振り上げ、接合部に向けて反対側から叩きつける。
その攻撃も素早い動きで防御に入るが、ミユの刀は普通ではない。
ズゥゥゥン・・・!!
大きく地面を揺らしながらミユに斬り取られた、槍を持つ腕が地に落ちる。そしてミユはその勢いのまま、落ちた腕を踏みつけてゴーレムの頭の上まで飛び上がり、さらに大上段から叩きつける。
「グガガガガギギギギガガガガガガ!!!!」
しかし、ゴーレムも黙ってやられるはずがない。相変わらずどこから発声しているか分からない雄叫びを上げ、左手下の拳をミユへと叩きつけた。
「ミユさんっ!!」
空中にいたミユは回避ができない。とんでもない質量と凄まじい速度で以って放たれた拳がミユを直撃し、ゴーレムの後ろの壁に吹き飛ばされた。
『大丈夫だよ、テミスさん』
思わず叫んでしまったが、思念で無事であることは確認できた。ひとまず安堵を覚えるが、それと同時に私を巨大な影が覆う。見上げると私の数倍はありそうな大剣を振り上げたゴーレムが今まさに私を叩き斬ろうとしていた。
「くっ!!」
ズカァァン!!と隕石が落ちてきたかとでも思うような衝撃と音を響かせ、瓦礫を撒き散らす。なんとか飛んで回避するも辺りに撒き散らされる瓦礫が私の体を傷つける。
「せぁぁ!!」
その隙を縫うように壁に叩きつけられていたミユが飛び出し、胴体の接合部へと刀を斬り付け、刃は胴体の中心ほどまで到達した。しかし、すぐに標的を切り替えたゴーレムが迎撃のためハンマーを持つ腕で、ミユを叩き落とそうとする。
「ふぅ、危なかった。あいつあんな体して動き早すぎ」
「本当に。でも、見て下さい。ミユさんが斬った腕や胴体は未だ修復が進んでいません」
「てことは?」
「えぇ。奴の動きも早くはあるものの対応できないほどではありません。このまま攻撃を加え続ければ・・・」
「倒すことはできるってことね!」
「はい、そのためには・・・」
ゴーレムの腕を掻い潜って戻ってきたミユへ私の考えを伝える。斬り取られた腕もゴーレムの一部として機能するのか、修復しようと本体へのそのそ蠢いている。
「おっけ!!わかった!!」
「ありがとうございます!それじゃあ行きますよ!」
「グゴゴゴガガガガガ!!!!」
私たちの気迫に呼応するように武器を振り上げたゴーレムが再度雄叫びを上げる。それに合わせて私たちも地を蹴り、左右同時に切迫して攻撃を与える。
しかし、ゴーレムもただでやられるはずがない。左右から攻撃を加える私たちの攻撃をその太い腕と巨大な武器で受け、逸らし、反撃まで与えてくるのだ。
ーー何合、いや何十合武器を削り合わせただろう。周辺にはゴーレムを削った土や、私たちの血などが飛び散っている。だが、私たちにそこまで大きな傷はない。あっても小さな裂傷のみだ。
しかし、目の前のゴーレムには小さな傷のほかに大きな裂傷がいくつかある。それでもその目は死んでいない。それもそうだろう、目の前のゴーレムへ与えた傷は今も修復されていっているのだから。
その上、最初にミユが斬り落としたはずの腕はぴったりと元の場所に戻っている。
「核まで届かない・・・」
「あいつ魔力無尽蔵なの?!」
ゴーレムであれば、その体を動かす主軸となる核があるはず。しかし、その身を流れる魔力が多く、濃いためか核の位置が杳として知れない。
それでも、もともとの傷も含めて再生は何度も行なっているはず。そもそも、カイトも言っていたのだが、自身の体を『再生』させる、“自己再生”系のスキルは魔力消費が激しいはずなのだ。それが他人を再生させるものであるならなおさら。
ーーその理由は元の体の機能を無理やり促進させるためである。
本来、魔術や武術は、自分の身体能力を増強させるものとされている。そのためあくまでも身体能力の延長線なのだ。しかし、『再生』は本来の身体が有する機能を無理やり増幅させるものだ。その結果、消費する魔力もそれに応じて増大していくのだ。
少なくとも私やミユにはその考えが根底にあった。そのため、目の前のゴーレムの身体に違和感を覚える。そのおかげか、違和感の正体はすぐに見つかった。
「ミユさん!!あのゴーレムの魔力供給炉は別の場所にあります!!場所は・・・地下?!」




