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黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第6章

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第151話 蹂躙の兆し

『経験値を獲得しました。スキル:簒奪により取得経験値が半減します。スキル:簒奪の効果により、スキル:神聖魔法 自然魔法 怪腕 剛力 頑丈 霧魔を獲得しました』


「キュエェェェ!!!」

「ちっ!逃げたか」


 結論としては奴らは失った四肢を再生させるスキルは持っていなかった。単に受けた傷を癒すためだったようだ。


 早とちりをした結果、手首を切り落とした者を逃してしまった。ただ、逃げた方向はもうわかる。久しぶりに“超嗅覚”が活躍する場面だろう。


 どうやら傷を癒すことができるのは一匹だけだったようで、点々と血の跡が森の奥へ続いている。俺は蟲を焼き払いながらそれを伝って進んでいくと、木の幹に取ってつけたような家が複数ある場所へと出た。


 家とは言ったが、エルフの物と比べてもだいぶ粗雑で、とりあえず寝るには困らない程度のものだ。だが、その中でも一際大きな家には煙突がついてあり、その先からモクモクと煙が焚かれている。


 さらにこの家の周りには霧も蟲もいないようで、俺は偶然出会った安息の地で一つ深呼吸をした。


「ギェ!!グァワガガ!!」

「ガ!!ギガギャラガァー!!」

「ガグゥィァァァァ!!」


 すると俺が追っていた手首を失ったやつとその側に仲間と思われる新たな白いゴリラが家の上に現れた。奴らは口々に喚き立て、上から俺へとその手に握られた剣を突きつける。


 そして俺から手首を奪われた奴も、もう片方の手に槍を持ち、まるで俺に勝負を申し立てるように意味の分からない言葉を羅列する。それに対して、俺は応えるように刀を背から抜く。周りには霧のような黒いモヤが薄く拡がった。


「ま、いいぜ。思い返せばここで力任せに暴れられて無かったからな。めんどくさいギミックやら代わり映えない敵。そんでもってギリギリ勝てなかったボスまで。俺はなぁ、ヒリつく戦いも嫌いじゃないが、圧倒的な方が好きなんだよっ!!」






「オマエハナンナノダ?!ワレラガナニヲシタ!!」


 戦いは長引かなかった。十数匹いた白いゴリラは一匹残らず斬り刻んだ。そして最後に残った一際大きいが年老いたゴリラ。彼は木の幹に備わる小屋の中でも1番大きな小屋の中にいた。


 また、片言ではあるが、喋ることからこいつが頭なのかもしれない。


「さぁな」


 俺はその一言だけ答え、目の前で蹲るゴリラに黒いモヤが包んだ炎を纏わせた刀を振り下ろした。


 正直、俺自身なぜここまで彼らを執拗に追い詰め惨殺したのか不明だった。別に気に食わないことをされたわけではない。あえて理由をつけるとしたら目についたから、だが・・・。


(殺戮を楽しんでた、な)


 思い返してみると斬られ、慌てふためくゴリラを見て愉しんでいた。もっと斬りたいと、もっと殺したいと。そう思えば思うほど刀は止まらず、いつしか的はいなくなっていた。


 そして、それよりも不思議なのが。


(俺自身、それを不快に思っていない、のか)


 そう、それが一番不可解だった。一体何が俺をここまでさせたのか、それが不明なのだ。


「まぁいいか」


 俺は深く考えず、気にしないことにした。すると視界の端にキラリと光るものが映った。それに目を向けてみると頭と思われるゴリラの腰に鍵のような形状をしたものがぶら下がっていた。


「これは・・・」


 俺はその鍵に手を伸ばす。小さなリングにひとつだけ括り付けられた鍵は死体から燃え上がる火で怪しく光る。すると死体を燃やしていた火は、食い足りん、とその死体のみならず、今いる小屋まで燃やし始めた。


「マジか!」


 俺は鍵を持って急いで外へ出る。しかし、外にも燃やした死体たち。全てを炎纏う刀で斬ったため、森は大惨事になっていた。霧は晴れ、木々は焼け、虫は消されて、それらを覆うは黒々と焦げた木と赤く燃え盛る炎。


 そんなある意味明るい景色の中に一際輝く部屋を見つけた。しかし、そこもすでに炎に侵されているため、俺は口を押さえながら飛び込む。そうしてみるとなるほど。重厚な扉に封された宝が所狭しと並べられていた。


「なるほど、ここの鍵だったのか」


 確かに扉にかかる鍵穴にピタリとハマる。だが、その役目はもうない。なぜなら宝を守るはずの扉さえ半分以上焼け落ちてしまっているからだ。


「じゃ、ありがたくいただいていくか」


 もはや盗賊、とも思わないでもなかったが、すでにここには主はいない。ならば多少なりとも活用できる者が持っていたほうがいいだろう、と自分を正当化して片端から“無限倉庫”に放り込んでいく。


「あぁ!鬱陶しいな!」


 さっきから視界をちらつく黒いモヤを手で払う。最初は気にも止めなかったが、こうもずっと続くと流石に鬱陶しい。それもこう短い感覚で見え始めたのはこの階層に降りた少し後からだ。


 最初は燃えた木々の煤かとも思ったが、思い返すとそれ以前から見えていた。細い記憶の糸を辿るとあれはヤマタノオロチと戦っている辺りからだろうか。


「はぁ。まぁいい。とりあえずしまえたし先に進むか」


 俺はとりあえずわからない事は先送りにして燃えた小屋を後にする。森は行き先を示すように焼け焦げ、視界を塞いでいた霧も蟲も残らず消えた。




 名前:日向 海斗

 種族:人魔族

 年齢:20

 Lv:1406

 ステータス:軀力152137

  咒力151369

  剛撃151364

  堅禦150041

  閃煌149632

  賢智161724


 スキル: New壊毒旋律Lv.- New壊刃毒牙Lv.- New七天魔法Lv.- New超再生Lv.- New魔鱗堅鎧Lv.- New吸血Lv.10 New怪腕Lv.10 New霧魔Lv.10

 称号:『毒奏者』『刃毒者』『七天を極めし者』『霧棲者』



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