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黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第6章

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第111話 スキルと次なる目的

「はっ....?!くっ、まぶしっ...」


 俺は勢いで跳ね起きるが、目蓋に差し込む光の眩しさに反射的に目を閉じてしまう。


「へぶっ」

「カイトくん!よかった、目を覚ましたんだね!」

「......主さま、よかった」

「カイトさん、体の調子はいかがですか?」


 眩しさに慣れてから目を開くと、そこにはずっと俺のそばで看病を続けてくれていたのか、3人が俺の顔を覗き込んでいた。そして俺の腹の上では跳ね飛ばされたシルフィが未だに眠りこけている。


「みんな....。あぁ大丈夫だ、それよりあれからどうなった?!キノは?!」

「キノは...」


 俺の言葉に少し返答を躊躇ったテミスはすっと俺の隣へ視線をこぼす。それに釣られて俺も隣へ視線を移すと、そこには傷一つないキノがまるで眠っているように横たえられていた。


「キノ....」

「傷だらけのままなのも嫌だったので、傷は癒しました。けれどやはり....」

「分かってる。...それは一番俺が分かってる」


 当たり前だ。何せキノのスキルを全て獲得しているのだから。あれは、あのアナウンスは相手を殺さないと流れることはない。


 俺は恐る恐る隣で眠るキノを抱きしめる。その体はもはや機械のように冷たく、石のように固かった。


「くっ....」

「カイトさん...」


 さんざんあの場所で泣いたはずなのに、涙は枯れることなく俺とキノを濡らしていった。






「ごめん、取り乱して」

「いえ、私たちも未だに信じられませんから...」

「...そうか。...そういや、あれから何日経った?」

「立て続けに起こりましたし...。そうですね、今は3日目の朝になります」

「そんなに経っていたのか。あれから奴らは、俺はどうなったんだ?」


 俺はキノをまたゆっくり毛布の上に寝かせ、テミスに現状を聞く。毛布はどうやら俺の“無限倉庫”にアクセスできるシルフィが出してくれていたようだ。


 それからテミスの話によると【色欲】は部下に連れられ、あの場からすぐに去ってしまったらしい。さらにすぐその後、俺の奇行(突然誰かと話し出した)が起こり、昏い闇に俺とキノが飲み込まれたと思ったらすぐに出てきたが、俺は気を失っていたらしい。


【色欲】がいつ消えたのかはよく覚えていないが、さすがに俺の身に起きたことは覚えている。あのアナウンスが色々と訳の分からないことを言い出したのだから。


「なぁ、テミス。そういやここはどこだ?俺たちこんな広い場所があるところにはいなかったよな?」


 そう、俺たちはもともと獣道とまでは行かないが、そこまで補整のされていない道を通っていたはずだ。さすがにこんなに拓けた場所は見落とさないだろう。


 大きさだけでいえばテニスコートの半分くらいの大きさはある。しかも芝生のような背の低い草が生えているだけで、荒れた感じはしない。まるで誰かが整備しているような印象も受ける。


「そりゃあ、ボクが君たちをここまで連れてきたからね」

「お前は.....」


 すると森の奥から1人の人物が歩いてきた。そいつは総てが白く、さらに男か女か判別がつかない人物だった。


「カイトさん、覚えてますか?あの【憤怒】のところに行くときに出会った....」

「あぁ、覚えてる。勝手に俺らの前に現れては言いたいことだけ言って消えた奴だろ」

「そうです。カイトさんが倒れたあの後、あたふたする私たちの前に現れては、何も言わずに私たちをここへ転移させたんです。それからは何をするでもなくたまにどこかへ行っては帰ってきてを繰り返していたんですけれど...」

「その様子なら戻ってこれたんだねー」

「戻って来れた?」

「やっぱりあの時の声はお前か。何が目的だ、別にお前には俺を助ける意味なんてないだろ」

「ひどいなー。君が倒れた理由を教えてあげようと思ったのにさぁ」


 総てが白い奴、名前は確か..レティクル・ヴァイスだったか。奴は手をひらひらさせながら近くにあった切り株の上に座る。


「そうだよ!あの時何で倒れたの?カイトくん。それになんか誰か分かんない人と話し始めるし...」

「確かにあの時のカイトさんは明らかに様子がおかしかったです。その理由を教えていただけるんですか?」

「うん、まぁそのためにこうして姿見せたわけだしね」

「必要ない、理由は分かってる」

「でも、分からないことも増えたでしょ?」

「........お前は何を知っている?」

「君に起こったこと全て」

「..............ちっ、話せ」

「なんでそんなに上からなんだよー。ま、いいけど。まず、君が倒れた理由だけど、簡単に言っちゃえばスキルの取り過ぎだね。【魂界】に限界が来たんだよ」

「らしいな。だが、【魂界】ってのはなんだ?既定容量を超えるとか言われたぞ?」

「ん?言われた?.....まぁいいや。【魂界】はそんなに難しくないよ。単純に魂の世界だから。そもそもスキルは魂に刻まれるっていうのは知ってるかい?そのスキルが刻まれる場所のことを【魂界】って呼んでるのさ。で、カイトくんはその場所の空きが無くなったから反動で倒れちゃったってとこだね」

「なるほどな、こういうのはよくあるのか?」

「いや無いね。ほぼ確実にないかな。というか、君の場合は色々とおかしいんだよねぇ。だって、本来人間が覚えないスキルとか持ってるんだもん。“耐性”スキルとかいい例だよね」

「だが、それはサニアだって持ってるぞ?」


 サニアが俺の横でうんうんとうなづく。


「だって彼女は獣人でしょ?確かに珍しいけど覚えられないわけじゃないよ。まぁ滅多にいないけど」

「どういうことだよ?」

「獣人は元々魔物と人間のハーフだからね。どこで生まれたかは知らないけど、魔物の血も入っているから覚えられても不思議じゃない。けど、君は違う。君は100%人間だ。

 中には永く生きた魔物が人に化ける力を持って、それ故に人間のスキルを身につけられるようになる例もあるけど、君はそう言うわけでもない。」


 ヴァイスは一息入れるためにどこから出したのか紅茶のようなものを取り出して一口啜る。


「うーん、人間の飲み物は美味しいね。さて、話の続きだけど、さっき言ったみたいにそもそも獲得できないはずのスキルを有している。そしてそれは種族スキルだけじゃない。それは何か分かるかい?」

「......いや」

「それはユニークスキル、と言われるものだね。君たちくらいのレベルならみんな持ってるんじゃないかい?レベル表記のないスキルを」

「あるな」

「はい、あります」

「.......わたしも」

「うちもあるね」

「そう、『超越』した者はみんな持っている。なぜなら『超越』することでその者に合ったスキルを獲得するからさ。ま、一種のご褒美だね。スキルはその者に相応しいものが付与される。....ただし、一つだけだ。まぁ稀に生まれた時から持っている者もいるからみんなが一つしか持っていないってわけじゃないけどあんまりいない。で、ここで一つ違和感はないかい?」


 まるで先生が授業中に生徒を当てるように俺へと話を促す。


「俺のは一つどころじゃないな。要するに俺が奪いすぎたってことだろう?」

「ありゃりゃ、答え言っちゃったよこの子。ま、簡単に言えばそう言うことだね。ちなみにこれはその人物に相応しい、世界に一つだけのものだから“ユニークスキル”って言われていて、その中でもランクがあるんだよ」

「ランクだと?」


 言われて俺は改めて自身のスキルを確認する。しかし、どこにもそのようなランクを示唆する表記は見つからない。





 名前:日向 海斗

 種族:人魔族

 年齢:20

 Lv:1269

 ステータス:軀力129104

  咒力134527

  剛撃134690

  堅禦132581

  閃煌129137

  賢智144257


 スキル:

 《特》簒奪Lv.- 皇之眼Lv.-宣実強制Lv.- 領域選定Lv.- 異憶復元Lv.- 魔法創造Lv.- 眷属創絆Lv.- 星詠廻転Lv.- 智慧完在Lv.- 呪詩刻印Lv.- 傲慢Lv.- 臨界突破Lv.- 古代樹の声Lv.- 異常耐皮Lv.- 異常耐腑Lv.- 見えざる手Lv.- 彗燼瀑隕Lv.- 憤怒Lv.- 強欲Lv.- 賽子命操Lv.- New脚刃一鉄Lv.- New暴食Lv.- New嫉妬Lv.- New隠陰殲忘Lv.- 地獄道Lv.-


 《武》剣聖術Lv.10 槍聖術Lv.10 弓聖術Lv.10 闘聖術Lv.10 斧聖術Lv.10 槌聖術Lv.10 棒聖術Lv.10


 《魔》獄炎魔法Lv.- 極氷魔法Lv.10 魄雷魔法Lv.- 大地魔法Lv.10 自然魔法Lv.10 熾天魔法Lv.- 混沌魔法Lv.- 錬成術Lv.8 奴隷術Lv.7 賜与魔法Lv.10 魅了魔法Lv.10


 《耐》豪炎耐性Lv.7 極氷耐性Lv.5 雷嵐耐性Lv.10 大地耐性Lv.6 自然耐性Lv.4 神聖耐性Lv.5 暗黒耐性Lv.6 猛毒耐性Lv.4 特麻痺耐性Lv.5 昏睡耐性Lv.4 硬化耐性Lv.4 遮断耐性Lv.10 神気耐性Lv.10 畏怖耐性Lv.5 完全耐性Lv.-


 《常》完全感知Lv.- 軀力特自動回復Lv.10 咒力特自動回復Lv.10 統制Lv.5 剛力Lv.10 頑丈Lv.10 瞬動Lv.10 博識Lv.10 精密Lv.8 超嗅覚Lv.10 閃爪Lv.4 身代わりLv.3 夜目Lv.6 繁栄Lv.10 深化Lv.5 天眼Lv.10 虚言Lv.8 交渉Lv.8 予知Lv.6 暗殺Lv.5 遠投Lv.3 統糸Lv.2 秘書Lv.10 謀略Lv.6 環境適応Lv.5 思考分割Lv.8 水泳Lv.6 砂泳Lv.6 鼓舞Lv.10


 《能》完全偽装Lv.- 全鑑定Lv.10 集団行動Lv.7 顎壊Lv.10 体臭操作Lv.1 妖幻Lv.3 融体Lv.9 千里眼Lv.6 自己再生Lv.6 物理透過Lv.6 死霊作製Lv.8 威圧Lv.6 念話Lv.6 無限倉庫Lv.10 罠創造Lv.3 罠無効Lv.4 異種伝心Lv.10 水吐息Lv.4 火吐息Lv.4 風吐息Lv.6 同化Lv.9 魔炎糸Lv.6 炎纏糸Lv.5 魔氷糸Lv.5 魔嵐糸Lv.4 闇無Lv.7 狂化Lv.9 支配Lv.4 咆哮Lv.8 精力増強Lv.10 飛行Lv.8 水砲Lv.6 水刃Lv.5 骨眷生成Lv.5 砂砲Lv.7 地震Lv.5 研究Lv.8 入替Lv.10


 《武技》

 [剣]刹那Lv.10 反撃Lv.7 飛裂Lv.10 重斬Lv.8 閃断Lv.7

 [槍]風車Lv.4 閃雷Lv.5 重突Lv.7 磊落Lv.8 猛進Lv.6

 [斧]剛断Lv.7 壊震波Lv.6 柔盾Lv.9

 [闘]覇轟Lv.5 震空Lv.4→New崩天Lv.10 覇墜Lv.5 New崩拳Lv.10 New断脚Lv.10

 [槌]重撃Lv.9 彗落Lv.4 剛打Lv.10 烈破Lv.7 超力Lv.10

 [棒]破突Lv.10 無身Lv.10 瞬破Lv.10 居落Lv.10 絶打Lv.10

 [弓]狙撃Lv.2 纏矢Lv.10 幻矢Lv.7 剛射Lv.10 天穿Lv.5

 《補》採取Lv.8 伐採Lv.7 農業Lv.9 採掘Lv.6 解体Lv.8 運搬Lv.4


 称号:『簒奪者』『強者食い』『限界突破者』『超越者』『透破者』『六道一者』『憶復者』『星を識る者』『智慧者』『呪刻者』『七罪五者』『臨界突破者』『古代を訊く者』『異に耐える者』『武を知る者』『魔を知る者』『嗅知者』『槍の寵愛』『槍技覚者』『剣の寵愛』『嵐の寵愛』『弓の寵愛』『速の寵愛』『嵐の加護』『闘の寵愛 』『栄える者』『力の寵愛』『通ずる者』『宣実者』『域選者』『全鑑者』『全視者』『魔創者』『眷従者』『炎の寵愛』『氷の寵愛』『地の寵愛』『然の寵愛』『聖の寵愛』『闇の寵愛』『魔の極致』『闇覚醒』『賜の寵愛』『魅の寵愛』『偽欺者』『観看者』『咒の寵愛』『舞上者』『識の寵愛』『軀の寵愛』『獄なる炎覚醒』『棒の寵愛』『剣技覚者』『防の寵愛』『破顎者』『転使者』『変替者』『槌の寵愛』『弓技覚者』『武の極地』『不視手』『瀑滅者』『聖覚醒』『魄なる雷覚醒』『操命者』『槌技覚者』『脚鉄之血』『陰滅者』『闘技覚者』『/ク”ョウガ)- 』




「ステータスを見ても意味ないよ。だってそれを知ってるのはほとんどいないし」

「なんだと?」

「だってボク達が勝手に決め.....ゴホンゴホン。まぁとにかく、ランクって言っても簡単さ。だって文字数だもん。まず、一番ランクが低いのが四文字のもの。あ、ランクが低いって言ってもそこらの木端スキルよりは遥かに高いし強いから安心してね!で、次が持ってると結構珍しい三文字スキル。これを後天的に獲得するのはあまりみたことないかなぁ。先天的なものが多いね!

 で、次が二文字スキル。これは相当珍しい。というか絶滅危惧種だね。ボクが知ってるだけでもカイトくん含めて20人くらいしか知らないかなぁ。あ、ちなみに一文字は無いよ!で、最後が特殊な五文字スキル。これは先天的なものだったり、特定の条件をクリアしたら獲得できるようなスキルだね。

 おお!すごい!カイトくんフルコンプじゃないかぁ!」

「茶番はいらん。まぁとにかく大体はわかった。あのアナウンスで大方の予想はついていたからな。ただランクについては知らなかったが」

「まぁ文字数が少ないほど【魂界】の容量も取るしね。そうそう、そのアナウンスってやつなんだけどそれはなんなんだい?ボクでも分からないことがあるとは思わなかったよ」

「は?あれだよ、なんかレベルが上がった時とかスキルを獲得した時とかに頭の中に流れるだろ。〜を獲得しましたって」

「...え?カイトくんそんなゲームみたいなの流れてるの?」

「.......わたしはないよ」

「私もですね。それは初耳です」


 何を言っているんだ?俺の頭にはてなマークが大量に浮かぶ。これは俺がこの世界に来てからずっとあったものだ。それがこの世界の普通だと思っていたのだが、違うのか?


「おい、どういうことだ?」

「.....スキルやレベルについての呼びかけってことか?それも彼だけ...。それに彼だけが持つ“簒奪”スキル...。ならば、こうなることは予想できたはず。だとしたらまさか...」

「おい?おいっ!ヴァイス!」

「おっと、ごめんごめん。考え事をしていたよ。そうだね、あれからそのアナウンスとやらは話しかけてくるかい?」

「いや、あれは話しかけてくるとかそういう奴じゃねぇだろ。特定のタイミングでしか出てこないんだから。というか、あれはこの世界の普通じゃないのか?」

「なるほどね。結論から言うとこの世界にそんなものは存在しない」

「何だと?じゃあどうやってレベルが上がったとかスキルを得たとか知るんだよ?」

「それは日々自分で確認するしかないね。現に彼女たちはそうやって来たみたいだけど?」

「そうなのか?」

「はい、私はそうですね。戦いがひと段落したりすると自身を確認するのが日課になっていますし、そこで新たなスキルやレベルを確認していました」

「うちもだよ。多分アサヒたちもそうだと思う。アサヒとユキはよくゲームやってたからそういうの詳しいと思うけど、何にも言って無かったし」

「サニアは?」

「.......わたしも。あのゴブリンの時だって何か急にお腹の底から湧き上がってくるものがあって、そしたらお尻がむずむずするから見てみたら尻尾が増えてた。それで自分のを確認したらレベルがたくさん上がってたわ」


 全員、心当たりは無いと言う。ならばあの声は何なのだ?それに今回はいつもの定例文的なアナウンスではなかった。それは単に【魂界】と呼ばれるものに関するものだとばかり思っていたが違うのだろうか。


「ヴァイス、そのアナウンスは存在しないと言ったな。だが、現に俺は話しかけられている。率直に聞くぞ、あれはなんだ?」

「うーん、答えてあげたいけれどボクにもよく分からない、すまないね。ただ、イレギュラーなのは確かだ。あまり聞かない方がいいとは思うよ」

「そうみたいだな。俺だけというのが異常なのは俺でもわかる。そうするよ」

「それじゃあ、他に質問はないかい?無さそうならボクはもう行くけど」

「一つ聞きたいことがある。今後、俺はどうスキルを集めればいい?一応、特定のスキルを集めなければならないし、俺自身、持っていないスキルを集めるのが目的でもあるし」

「うーん、そうだね。方法がないわけでは無いけど...」

「なんだ、教えてくれ。目的は目的だが、今一番の目的は【色欲】をぶっ潰すことだ。そのためにはもっと強くなって圧倒的に叩き潰さないと気が済まない」

「そうだね、じゃあここからもう少し北東に行くと元々【暴食】が治めていた国がある。ちなみにここから南東に行けば【色欲】の国だね。で、その【暴食】の国には地下に祠があって、その奥がダンジョンになっているんだ。そこに確か“スキル統合”ってスキルを持った奴がいたはずだよ」

「またなんというか、運がいいのか?」

「ま、救済措...ゲフゲフ。ボ、ボクも伝承とかで聞いただけだからはっきりとは言えないけどねー。行ってみる価値はあると思うよ。ただ、あそこは人間で言うところのSランクになるから気をつけてね」

「なるほど、そう簡単には行かないのか。にしても救済ーー」

「さぁ!!!それじゃあボクはもう行くことにするよ!!ちなみに彼女のことだけど、彼女が住んでいたのはここからそう遠くない。【暴食】の国までの間の村だ。行ってあげるといいよ。それじゃあね!」


 そう言ってヴァイスは忽然と消えた。何故、奴がスキルについてや俺のスキルの解決策のことに詳しいのか。...そしてキノが生まれた村を知っているのか。


「しまった、この腕を聞き忘れた。まぁいいか。...キノ、お前はどうしたい?自分を忘れた村に帰りたいか?」


 俺は右腕をちらと見つつ、横で眠るキノに問いかける。今の彼女に彼女を忘れるスキルは無い。しかし、だからといって彼女が過ごした村の人間が彼女を思い出しているとも限らない。


 そもそも彼女がどれだけの期間をその村で過ごしたかも定かではないのだ。だが、行ってみる価値はあるかも知れない。


「きっとカイトさんが望むことがキノの望むことですよ」

「そうかな?...そうだといいな。キノ、ごめんな。窮屈かもしれないが、少しの間だけ眠っててくれ」


 俺はキノの体を抱えてゆっくりと“無限倉庫”に寝かせる。普段から使っているからかとっくにこのスキルはレベルMAXになっているため、自分の好きなように物の枠組みを作れる。


 なので俺はキノが少しでもゆったりと眠れるように枠を作り、キノの好きなものを置く。


「そういやキノの好きなものって何だろう。何にも知らねぇんだな、俺」

「大丈夫ですよ、カイトさんのものを与えれば彼女は喜びますから」

「なんだよそれ...。でもそうだな、レツァーは置いといてやるか」


 そうして俺がこれまで使っていた黒刀やその他にもいくつか置いて、最後にレツァーとあの赤いスープを側に置いておいた。


「これでいいかな?」

「はい、きっとキノも喜んでますよ」

「だといいな。よし、それじゃあ俺たちも行くか」


 そう言って俺は未だに眠っているシルフィを起こし、まずはキノの住んでいた村へと向かうことにした。


「【色欲】、次に俺と会った時がてめぇの最期だ」

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