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東方迷人記〜空から降って来たのは男の子でした〜  作者: 長良
二章…すれ違い続ける者たち
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怪力乱神の鬼娘

どうも、毎度お馴染み長良です。


いやはや…戦闘描写ってやっぱり難しいですね。他の方はよくもまぁあんなにぽんぽんと書けるものです。

……はい。お察しの通り、今回は戦闘…というか弾幕ごっこの描写が出てきます。前半弾幕撃って無いけど。

え、ラブコメ?とりあえず異変解決してからでしょ、イチャイチャタイムは。


というわけで、甘酸っぱい展開は思い切り辛酸を舐めてからの方が味わいは増すと言ったもので。糖分が欲しい方はもう少しの辛抱です。


それでは本編、お楽しみ下さい。

「……で、なに?地底のこの荒れっぷりは、その鬼神が連れて来た変なのの所為ってこと?」

「まあ、多分あの女がいなくても騒ぎは起きていたと思うけれどね。」


あれから、約半々刻ほどの後。霊夢とパルスィは、旧都の大通りを歩いていた。

霊夢の存在感によりモーセさながらに人垣が割れて行く(さま)に頭痛を覚え、頭に手をやるパルスィ。元はと言えば彼女が飛行音痴な為に、地面を歩いて行こうという話になったのだが…これは寧ろゆっくりでも飛ぶべきだったかもしれない、と今更ながらに後悔の念を浮かべるパルスィであった。


そして先程の彼女の言に、絡んでくる妖怪を片手で吹き飛ばしながら話す霊夢が、怪訝そうな顔を浮かべる。

「はぁ?どういう事よ。」

「この場所に揃ってる面子、考えても見なさい。元からかなりフラストレーションが溜まってたのよ…抑えなんか、効く訳が無いでしょう?

このタイミングで幻様が帰って来てくれて、本当に良かったと思うわ。やっとストッパー役が現れたんだもの。」

すらすらと、まるで教科書の朗読でもするかの様に話すパルスィ。

そんな彼女の無感情っぷりに頬を引き攣らせながら、霊夢は内心で焦りを募らせていた。勿論、あの少年を一秒でも早くこの危険地域から救出したいが為である。

「……アンタ、結構えげつない考え方するのね。」

「褒め言葉かしら?妬むわよ。」

「どんな反応だっつの。てか結局『あの子』も見つからないし…捜索は文に任せてあるとは言え、流石に不安だわ。」

「ッ……」

そんな霊夢とは裏腹に、一見冷たく聞こえる霊夢の言葉を聞いて歯ぎしりをするパルスィ。

やはり唯衣はこの巫女に追われているのだと、改めて確信した様である。

「……あの子って、さっき言ってた人間の事かしら?」

「ん?そうよ。名前はーーー」


「霊夢さぁぁぁぁん!!ヘルプ!助けてぐだざいぃいぃ!!」


「文ぁ!?…チッ。あの馬鹿、面倒なのに絡まれてんじゃないわよ…こら勇儀ーッ!」

霊夢が名前を口にしようとした、その時。

恐らくは、彼女が先程言っていた『文』…黒い羽根を持ったその妖怪が、赤い一本角の鬼に追い掛けられてこちらに飛んで来た。そして霊夢は、それを止めに空を駆けて行ってしまう。

だが、突然回り始めた展開に呆然としながらも、パルスィの目には先程の霊夢の口の動きが焼き付いていた。

……そう。


い、と発音しようとして中断された、その動きを。


(………やっぱりッ!)

推測がまさに事実へと変わってしまい、どこか薄ら寒いものを覚えるパルスィ。

しかし、これで彼女は確信してしまった。

(博麗の巫女と八雲紫が……結託していない、って事?)


……パルスィの至ったその答えは、当たらずしも遠からず。

確かに現在、霊夢と紫は全く別の目的の為に行動している。だがそれは、そもそもの『霊夢が唯衣を危険視して追っている』という前提が存在しない以上、パルスィの想像とは多少違う形となっていた。

そうとも知らずに、パルスィは存在しない原因の考察を進めていた。


(唯衣君……貴方、何したのよ…!?)



〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜


地面の上でパルスィが想像力をフル稼働させていた、その時。霊夢は上空で、一人の鬼と話をしていた。



その名も高き、星熊勇儀。鬼の四天王の一角にして怪力乱神を操る程度の能力を持つ、筋金入りのパワータイプである。脳筋でも可。

「……さて、この烏天狗ならいくら虐めてくれても構わないけど「霊夢さん!?」うっさい自業自得。

……とにかく、ね。ちょっと今、聞き込み調査をして回ってるの。協力してくれない?」

霊夢のその言葉は口調こそ『お願い』だが、態度は明らかに他人に物を頼む時のそれでは無かった。

そして勇儀は、それに対し何かを思い付いた様に口の端をにぃっと吊り上げ、挑発的に言う。

「んん、私は別に構わないわよ?……でも、ね。」

「あ?」

「人から何かをお願いされる時ってのは、それ相応の対価を要求する権利があると思うのよ。」

「ま、そりゃそうだわね。」

「そうだろう、そうだろう?」

我が意を得たりとばかりににやりと笑い、その顔を覗き込む勇儀。

対する霊夢は露骨に嫌そうな表情を浮かべ、

「……あぁ、アンタが何考えてるのか解ったわ。」

吐き捨てる様に呟く。

「それなら話が早い。,……さぁ、闘ろうじゃないか博麗の巫女ッ!!」

「急いでるんだけど…まぁ良いとしましょ。私が勝ったら、ちゃんと答えて頂戴ね?」

「うんにゃ、私が勝っても答えてやるよ。鬼にとっちゃ、喧嘩と酒以外の事なんざ…ただの余興みたいなモンだからね!」

「全く…血の気が盛んな事で、ッ!」


そう叫ぶや、霊夢はまるで足場があるかの様に空を蹴り、弾丸の如き速度で勇儀へと突進していった。

先手必勝。硬く握り締めた拳を、彼女の顔面に叩き付ける。ゴッ!!と岩でも殴ったかの様な音と、凄まじい衝撃波が周囲に撒き散らされた。

少し空間がたわんで見えたのは、決して気のせいでは無いだろう。

「……まさか、いきなり突っ込んで来るとは思わなかったね。」

……だが。

体重を載せた、霊夢の渾身の右ストレート(?)。確かに勇儀の右頬を捉えたかと思ったそれは、しかし簡単に左手で止められてしまっていた。

「チッ…やっぱ、力押しじゃ敵わないわね。」

(あっ)たり前さぁ。まさか鬼と力比べしようってんじゃ無いだろう?

さて…今度は、こっちから行くよッ!!」

話している間も、ギリギリと締め付けられていた霊夢の拳。それにかかる力がふっ、と無くなった、次の瞬間。勇儀の右腕、そのシルエットが勢い良くかき消えた。

「………ッ!」

慌ててしゃがみ込み、振るわれた剛腕を躱す霊夢。空気を切り裂く鈍い音が間近で聞こえ、思わず肌が粟立つ。

(……こんなの、マトモに食らったら一発で戦闘不能だわ。何とか封じないと…!)

最早、手加減の余地は無し。そう判断した彼女は、勇儀の懐に潜り込んでいるその状況で『周囲の全方向に向かって』封魔の針を飛ばした。

そして高速で放たれた針は、勢いのままに勇儀の全身を貫くーーー筈、だった。

だが「種族の差」という現実は、かくも厳しく霊夢の前に立ちはだかる。


「うぉっ!いって、痛いよこれ!?

…ったく、こんなの飛ばしたら痛いじゃないのさぁ?」


「……………全く、これだから規格外は。」

霊夢の使用する針は、元々の封魔針としてのスペックに当人の霊力が上乗せされ、本来ならかなりのダメージを妖怪に与えられる仕様となっている。

だがこの鬼の場合、所々の柔肌が切り裂かれて血こそ出ているものの、推定ダメージはゼロ…改めて、恐ろしいまでの耐久力である。

「効果ナシとか、ほんと勘弁して欲しいわ…」

「はっ!まさか、今ので私を倒すつもりだったんじゃあ無いだろうね?」

並々ならぬ気迫を纏い、獰猛な笑いを浮かべる勇儀。霊夢はその拳が強く握り締められたのを見て、慌てて距離を取った…が、勇儀の顔に依然張り付く笑みを見て、総毛立つ。

彼女は激しい後悔と共に理解した。自分は今、敵の手に嵌ってしまったのだと。

「あっ…しまっ「鬼符『怪力乱神』」………ッ!!」

強力な全面放射。どう見ても先程の霊夢に対する皮肉、焼き直しである。

強いて相違点を挙げるとするなら、それが一瞬、空中で停止した事と……彼我の、絶対的な防御力の差だろう。


そして中途半端に距離を取ってしまったが為に、絶讃敵の間合いのど真ん中にいる霊夢。

窮地に立たされたという事実は、人間の思考を鈍らせる。愚かにも、彼女は設置型の弾幕を相手に『後ろに下がってしまった』。

「きゃ、っ…!?」

とん、と何かが背中に当たった感覚。そして次の瞬間、それは凄まじい衝撃となって霊夢を襲った。勇儀の放った弾に、被弾してしまったのである。

そして前に飛ばされた霊夢を待っていたのは、眼前に広がる弾幕、弾幕、弾幕……恐らく凄まじい連鎖爆発を引き起こすであろう、とてつもない密度だった。


「……ッ、きゃああぁーーーーっ!!」

三度、四度…数えるのも馬鹿らしくなる程被弾し、吹き飛ばされ。

霊夢の意識は、そこで途切れた。

……弾幕描写って、こんな感じで良かったのですかね?

あ、ちなみに弾が炸裂する演出は、原作における被弾時の閃光と同じ様なものと思って下さい。アレは弾が弾けてるんだなー、と。



さて、霊夢さんが豪快にピチュってしまいましたね。もうピチューンなんて可愛らしい感じじゃありませんけれども。

それと、今回にもやっぱりほんの少し、薄ーい細ーい伏線を入れてあります。どうせ直ぐに回収されるのですけれどもね。


それでは、次回をお楽しみに待っていて下さる方がいると思うと、こちらとしても気合が入ります。これからもよろしく。

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