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東方迷人記〜空から降って来たのは男の子でした〜  作者: 長良
二章…すれ違い続ける者たち
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幼き妖怪少女(先生だそうです)

どうも。更新が遅くなった上に短くて申し訳ありません、長良です。


今回はですね、『彼女』のキャラクターとしての個性を活かした回に出来たらいいな、と思いながら書いてみました。

察しの良い方は、タイトルだけでどういう展開かわかってしまうかも…?

「……………カオスだ………」

眼前に広がる光景を見て唯衣がそう呟くや、早苗が布団美女(仮)の胸倉から、ぱっと手を離した。

ぐえっ、という声と共に鈍い音が木霊する。唯衣と諏訪子は、ほぼ同時に顔をしかめた。

「……あ、唯衣君に諏訪子様!」

「早苗ぇ…なんて形相してんのさ、唯衣君がすっかり怯えちゃってるじゃないの。」

「もう、輝夜さんが起きなくて!諏訪子様も手伝って下さいよ。」

「やーよ、面倒臭いもん。」

「ご無体(むたい)な……」


目の前で行われている、漫才の様なやり取り。しかし唯衣の目線は、それを少し逸れて右方向へと向かっていた。

その先にいるのは、壁に向かって体育座りで蹲る一人の少女。……鳥にも、虫のそれにも見えない翼を生やし、明らかに人外とわかる耳を携えた生物(と呼ぶのも違和感を禁じ得ないが)を『少女』と呼んで良いのか、という問題を無視して呼ぶなら、だが。

そして。

「……君、は?」

彼より五つ程年下に見える、その少女。

何やら彼女に思う所でもあったのか、唯衣は早苗への挨拶も程々にゆっくりと歩を進め、少女へと話し掛けた。

「…………お兄さんこそ、誰なの?」

一体どんな経緯を経てこうなったのか、悲しみに潤んだ瞳で唯衣を一瞥した少女は、不信感を隠そうともせずにそう言い放った。

「僕は、諫早唯衣って名前だよ。ここに修業?ってのをしに来たんだけど……君は?何でそんなに悲しそうにしてるの?」

「諫早、唯衣………?」

色々な意味が込められた、唯衣の言葉。

その後半をまるで無視し、少女はただ唯衣のフルネームを復唱し続ける。

「諫早唯衣、諫早唯衣、諫早、唯衣……」

流石に、その様子を不審に思った唯衣。助けを求め、早苗へと目を向けるが……


「もー!輝夜さん、とりあえず布団から出て!唯衣君来ちゃいましたよー!?」


…………向こうの更に大変な雰囲気を察してか、ついと目を逸らした。

「………ねぇ、大丈夫?」

そして、未だに諫早唯衣諫早唯衣と呟く少女に声を書ける。

しかし、反応は無い。唯衣の心中に、やり場の無い焦りが蓄積して行く。

と、その瞬間。


「……………………」


少女が、いきなり沈黙した。

「……え?」

焦りすら忘れ、目を瞬かせる唯衣。一瞬だけ、その場の時間が止まった様に感じられ……そして次の瞬間、その刹那は他ならぬ少女本人によって破られる事となる。


「お兄さんーーーー思い、出したああッ!!!!」

「うわぁっ!?」


突然目の前で弾ける、澄んだソプラノ。

普段ならまさに鈴を転がす様に可憐な筈のそれは、今回に限っては本人(妖?)の声量も相まって、まさに音の壁そのものとなり唯衣に襲い掛かった。

「…………ッ〜!」

まるで山彦の叫びの如し音量。

キーンと鳴る耳を押さえながら、それでも唯衣は果敢に少女へ声を掛ける。

「思い出したって……何を?」

「お兄さんの事!」

「僕?」

はて、この少女を見た事があっただろうかーーと、暫しの思案に耽る唯衣。

だが結局、彼の脳内に少女の姿は記憶されていなかった。

「うーん…ごめんね、僕は思い出せないみたい。とりあえずだけど、君の名前を教えて貰えるとありがたいな。」

「思い出すって…何を?

……あ、名前はミスティアだよ。ミスティア・ローレライ。」

「ミスティアちゃんだね、ありがとう。」


………おかしい。

具体的には指摘出来ないが、どこか会話が噛み合っていない。そんな漠然とした不安を感じた唯衣は、

「……僕、君に会ったことってある?」

「あ、それ知ってる!ナンパって言うのよね!」

「違うんだけどなぁ……」

はぁ、と額に手をやる。

これは会話が噛み合っているだとかいないだとか、そういう話では無かった。唯衣の言いたい事は、実は最初から『通じていなかった』のである。

「僕がミスティアちゃんに会ったことが無いんだとしたら、さっきの君自身の『思い出した』っていうのは一体何だったのかな…っていう話をしてた筈なんだけど。」

「あぁ、成る程、そういうことだったのね!それなら問題無いよ、お兄さん!」

そしてどうやら、名前を教えたにも関わらず、唯衣の呼び名は『お兄さん』で定着している様だ。

「問題、無い?どういう事?」

ーーーそして、そう。唯衣はまだ気付いていない。

ミスティアの言っている事に関してもそうだが、そもそも唯衣が一番最初にした質問…彼女が、何故この場所にいるのか。それを他ならぬ彼女自身が、最初から示唆し続けている事に。

「お兄さん、さっき修業しに来たって言ったよねーーー」

そう…結局、唯衣とミスティアの会話は、今この瞬間にようやく初めて合致したのである。


「ーーー私が先生だよ、よろしくね生徒さんっ!」

「………………はい?」

これは唯衣の視点で書き始めてから幾度となく思って来た事なのですが……やっぱり、難しいですね。こういうキャラを書くのって。


実は少し前に、とある方から「唯衣のキャラが崩れて来ている」と指摘された事がありまして。それ以来、一度外の世界へ帰るまでの唯衣は、出来る限り口調だとか仕草だとか、そういったものに気を使って書いて来ました。

幻想郷に再び戻って来た後は、その外の世界で過ごした一ヶ月の影響で、少し思い切りの良い性格になっています。………なってるんです。上手く描けているかはわかりませんが。

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