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7話 初めまして①

 

「………んん?」


 すやすやと眠りにつき、意識がまだはっきりしていないこの瞬間。


 莉恋ちゃん達に貸してもらった敷布団で、至って普通の格好で普通の体制で寝ていた筈なのに。


 どうしてか、この眠りから現実に引き戻されている最中のこの現在に、何か寝苦しいと脳が判断している感覚が薄らと分かり始める。


「…………んぇ」


 まだまだ眠りたい気持ちが勝り、その不快感を払拭させる為、寝返りを打とうと仰向けに寝ていた体を横にする為体をよじる。


 体をよじろうとした………がしかし、それは何かに阻まれて動く事が出来ずに、只管に直立不動のままに留まり段々と眠りが浅くなっていく。


「か〜えでちゃん!」

「んぁ」


 今この場で聞こえる筈の無い、莉恋ちゃんと思われる声が目の前から聞こえた気がして、微睡みにあった意識が少し覚醒し始める。


 うわ言のように喃語を口から垂れ流す私自身に、脳が起きろと信号を送る。


 瞼を少しづつ開け、そこから入ってくる眩しい光に目が暗みまた一度ギュッと目を瞑る。


「………?…………!?眩ッ!!!」


 一瞬目に入った光景に驚き、慌てて閉じられた瞼を再び開けば、室内を照らされる朝日の眩しさに悲鳴を上げる。


「おーはよ!」

「おは、えぇ!?なになぬぃ、どゆこと」


 寝起きで口が回らず、噛み噛みになりながらも状況が呑み込めずに驚きと疑問を口に出す。


 私がまだ眠りに身を委ねていた時に感じた不快感。


 それは、いつの間にか、直立不動で仰向けに寝ていた私の上に全く同じ体勢でうつ伏せに乗っていた莉恋ちゃん居た。


 オマケに、同じく寝起きであろう莉恋ちゃんの顔面は私が瞼を開けた瞬間から鼻先がくっつくのではないかと思う程の真正面に来ていたのだ。


「モーニングコ〜ル」


 莉恋ちゃんはニッコニコに微笑みながら私の体の上で足をバタバタと暴れさせ、私ごと体を揺らす。


「いや、パーソナルスペース狭くない!?いや何となく察してはいたけど!」


 昨日も思ったが、この彩羽莉恋という女の子。


 本来人間が誰しもが持っているパーソナルスペースの狭さが尋常じゃなく狭い!!!


 おかしいぐらいに狭くて、スキンシップが非常に多い!!海外出身なのかと思うぐらいには近いし、フレンドリー!!


 最早おはようのキスをされても驚かないぐらいには、気楽な子だ。


「嫌じゃった?」

「いや、別に嫌では無いけれど、驚きが強いよ……」


 学生時代に出来た友人と何度かお泊まりの旅行をしたことはあったものの、こんな莉恋ちゃんの様にパーソナルスペースは狭く、こんな事もされたことは無い。


 良くも悪くも、程よい距離感の程よい関係性の女友達。


 勿論、仲が悪いという訳でもなく、無意識に心が病む前などは普通にショッピングや、遊びに出かけるくらいの関係性ではあったのに。


 莉恋ちゃん程明るい性格の友人ではなかったからなのか、それとも、この子が世間一般的に異常な程のラフさを持ち合わせているからなのか。


 一つ言えることは、初対面からまだ一日も経っていない相手にこんなことが出来るのは、もはや陽キャだからなのか、ギャルだからなのかとか言う次元の話じゃない。


 良い子なのは分かる。分けるけど、距離感おかしいよこの子………


 するとコンコンッとドアが鳴り、「ドア開けてもえぇ〜?」と少しくぐもった楓杜君の声が聞こえる。


 一旦布団から起き上がり返事をしようと思えば、それを阻止するかの如く直立不動だった莉恋ちゃんの四肢は私を敷布団に縫い付ける様に起き上がらなくさせた。


「え、ちょっ!?」


「あれ?もしかしてまだ寝とるか?」


 私が返事を返せずにいれば、まだ寝ていて声に気づいていないと勘違いした楓杜君がドア越しに独り言を零す。


「ニシシシシ〜」


 それを聞いた莉恋ちゃんは、悪戯げに笑いうりうりと頭を私の首元へと擦り付けてくる。


「た、助けて楓杜君……」

「いーや、まだ楓ちゃんは寝とるね」

「あ?おい何か莉恋の声聞こえたんじゃが??」


 助けを求めた声は楓杜君に届いたのか届いていないのか。


 しかしどうやら莉恋ちゃんの声は何となく聞き取れたのか、ぺたぺたと足音が遠のき、どこかのドアが開けられた音が聞こえる。


「あ、やべ」


 莉恋ちゃんがぼそっと呟いた瞬間、ダダダダっと駆け出した足音が徐々に近づきガチャッとこの部屋のドアが開けられた。


「おいこらぁ!!」

「おわ〜バレたァ!!」


 部屋に入ってきたのは、寝間着姿のまま要所要所に寝癖がピンピンとはねた頭をした楓杜君。


 わざとらしく大仰なリアクションでこの部屋にやってきた楓杜君の方をちらりと見た莉恋ちゃんは再び、ひしと私にしがみつく。


「助けて楓杜君……起きれないよ……w」

「俺に任せや。おら離れぇや」

「嫌じゃ嫌じゃ〜くっつきたもうて〜」


 最早この状況が謎すぎて笑いが込み上げて来た私は、両脇腹ら辺にある莉恋ちゃんの腕のせいで脇が少しくすぐったいのもあり、大笑いしたいのを我慢する為に奥歯を噛み締める。


 楓杜君は、私の上に乗っかる莉恋ちゃんの両脇下に手を入れ込み、ぷらーんと引き摺るように私から軽々と引き剥がす。


「いい加減にせにゃ、おっぱい揉むぞ」

「嫌じゃああww」

「ぶはっ!?!」


 楓杜君の口から発せられたまさかの言葉に堪えていた笑いが爆発し、思いっきり笑いが溢れ出る。


 唯一まだ抵抗の意志を見せていた莉恋ちゃんもその言葉に笑いながら絶叫し、されるがまま引き剥がされて行った。


 しかしその頃には、楓杜君の表情にもこの状況を楽しむ様なニマニマとした笑いが浮かんでいた。


「「成功〜」」


 そう言って二人揃ってVサインをし始めたのを布団の中で笑い転げる目の端で捉えられる。


 まるで目的を達成したとでも言うように、楓杜君が来るまでてこでも動かないのではないかと思っていた莉恋ちゃんがあっさりと引き下がった。


「一日一笑!これ、今の楓ちゃんに必要な事ね」

「多分じゃけど楓ちゃんツボ浅いじゃろ。だったら俺らはいつも何かしら馬鹿なことしとるけぇ、達成されん訳がないんよな」


「「ね〜」」


 お互いどうしに目を合わせ、共鳴するかの様に二人は頷き合う。


 なんだ、これは。


 まさか、私の笑いのツボが浅いのを見抜いて居たのもびっくりだが、そこを踏まえて私を笑わす為にやってくれたというのか。


 "一日一笑"


 意味としては一日に一度は心から笑う事。毎日を心から楽しむ事。


 これらはただ笑うでなく、笑いを通して、心身をケアし、人生を豊かにして行くというニュアンスの意味やメッセージ性のこもった四字熟語。


 笑うことによるコミュニケーションの円滑化。


 殆どの人間は、対面で話して居る時、相手が笑えばそれが伝染するかのように自身にも自然と笑顔が綻ぶ。


 笑いかけられて嫌な思いをする人間を探す方が難しい程に、笑顔とは見ていて楽しくて心地の良いもの。


 ストレス発散にも、感情をしっかりと表に出すことにより、体の内側に感情を溜め込むより圧倒的に心身共に健康に良い。


 笑うことによるストレスの発散は、無意識に心を閉ざし、病んでしまった私の最高の特効薬となるのか。


「……二人は気遣い屋さんだね」


 昨日からずっと感じている二人の私を思った心遣い。


 それは既に、荒んだ私の心を癒し始めている。


 これは紛うことなき、最強の気遣い屋さんであり、最強の効き目絶大の眺める型治療薬(?)のような存在だろう。


「だって大事な同居人兼職場の同僚だもの!」

「人間の体にストレスなど不必要な物。笑って発散して食べて楽しくなる。疲れて眠れば元気一杯。これ元気で健康な人間の基本ね」


 自慢げに力説する二人の格好は相変わらず寝起きのままの寝癖がついた頭で。


 ひっぺがす為にだらんと上半身だけ楓杜君に持ち上げられている莉恋ちゃんの様子は、さながら水族館で移動するために持ち上げられる子アザラシの様だ。


「よーしじゃ、楓ちゃんも起きたことで朝ごはん食べて職場に行こう!!」


 ほら起きるぞ〜と莉恋ちゃんに促され、敷いていた敷布団と掛け布団を皆で一緒に畳み始め、一緒に洗面台に行き、皆で顔を順番にジャバジャバと洗う。


 寝起きの顔面にかかる冷たい冷水が、脳をシャキッと目覚めさせ、自然と身に力が入る。


 十月末のこの季節、お昼時はまだまだ暑い時間帯が多いものの、やはり朝晩は少し冷え込む。


 冷水で冷えた手をはぁっと息をかけ温める。


 そして再びリビングに戻り壁にかけられている壁掛け時計を確認する。


 時刻は午前七時二十分ほど。


 昨夜茉莉奈さんから頂いたマニュアルを眠くなるまでの間読んでいると、どうやらカフェ紅亞の開店時間は朝九時から夕方の六時。


 その間に五十分のお昼休憩と十五分の小休憩がある。


 このアパートから紅亞まで徒歩で行くならば約五分程度。


 余裕を持って行動するのにはちょうどいい時間帯だった。


「あっさご飯あっさご飯〜」

「楓ちゃん野菜室からレタスとミニトマト出してくれる?」

「はい!お任せあれ」


 朝から気持ち良く稼働する為の燃料となる朝食を作る為、テキパキと三人揃ってキッチンに立ち行動を開始する。


 私はまだこの家に来て一日も経っていない身のため、莉恋ちゃんや楓杜君の出された指示を事細かく実行する為まずは、言われた通り冷蔵庫の野菜室からレタス一玉と小さいパックに入ったミニトマトを取り出す。


「今日は〜……あ、この前余計に食パン買ってたけぇめっちゃあるわ」

「んじゃホットサンド作るべ」

「おぉ〜」


 冷蔵庫を覗いた莉恋ちゃんは、どうやら食パンが有り余るほどあるらしい。


 という事で、本日の朝食メニューは食パンを賞味期限内に使うため、王道なハムと卵のホットサンドと副菜としてレタスとミニトマトのサラダとなった。


「では〜楓ちゃんはレタスを程よくちぎってこの三つの小鉢にミニトマトと一緒に可愛く!彩ってね」

「俺はハムと卵焼いて」

「うちが食パンにバター塗ってホットサンドメーカーで焼く!」


「「よっしゃ完璧」」


 その二人のピッタリ揃った声を合図に、それぞれの作業へと移る。


 私もまずレタスを芯から何枚か剥ぎ取り、ミニトマトのヘタも取り除く。


 仕舞われた水切り用のボウルに全てを移し、水道の水で軽く水洗いをしよくよく水を切る。


 そして用意されていた三つの小鉢にレタスを一口大に千切り彩り良くミニトマトを添えていく。


 すると隣でジュワワワッと油が跳ねる音が鳴り始め、視線を向ける。


 そこには、予め焦げ目を付け焼いていたハムの上へ溶き終わった卵を勢い良くフライパンで火にかけ、スクランブルエッグ状にした卵を莉恋ちゃんが準備しているホットサンドメーカーへと突っ込み一緒にプレスしている姿があった。


 みるみるうちに全てを焼き終わり、仕上げに対角線上に真っ二つに切れば、綺麗な断面をしたホットサンドの完成だ。


「かーんせいー!」

「美味そ〜」

「綺麗!」

「よし食べよう」

「あ、ドレッシング、ごまと玉ねぎどっちがええ?」

「俺ごま」

「じゃあ私玉ねぎで」

「おっけー」


 私が盛り付けたサラダのドレシックングを取るため、莉恋ちゃんが再び冷蔵庫を開けている間、出来上がったホットサンドとサラダをダイニングテーブルへと運ぶ。


 次いで、食器棚から三つコップを取り出し、莉恋ちゃんがドレッシングと共に出した麦茶を注ぐ。


「あ、待ってそういや昨日のあなご飯忘れとったわ」

「………そういえば」


 注ぎ終わった麦茶を冷蔵庫に戻していた楓杜君が冷蔵庫の一角を指さし、昨日私が買い口をつけていないあなご飯と楓杜君の食べかけのあなご飯を見つける。


 結局昨日のお昼ご飯として買っていたはずのあなご飯は、茉莉奈さんがご馳走してくれたガトーショコラと少し夜が深くなった時間帯に食べたたまごパンのせいで食べずに終わっていたのだ。


「うーん、今食べちゃうか!」

「あ、それなら皆と分けっこしてもいい?」

「わお。まじ!?全部食べんくていいの!?」

「全部食べれなさそうだから」

「皆お前と同じぐらいの胃袋だと思ったら大間違いじゃけぇな」

「やったー!」


 楓杜君のツッコミを見事に受け流した莉恋ちゃんは、やったやったと喜びながら電子レジであなご飯を温め始める。


 その間にそれぞれのサラダにごまと玉ねぎのドレッシングをかけ、あなご飯を大皿にそのまま盛り付け持って行きいよいよ皆が席へと着く。


 目の前の机に乗った、卵とハムのホットサンド、レタスとミニトマトのサラダに、あなご飯。


「なんか不思議な献立だね」

「ま、全部うまいけぇ良いじゃろ」


 中々見ない組み合わせに少し笑いが込み上げつつも、三人揃って手を合わせる。


「「「いただきまーす」」」


 食前に行う感謝の挨拶を済ませ、早速箸を手に取り小鉢に盛ったサラダをつつく。


 青々としたレタスと、艶やかな赤を持つミニトマトが小さく切られた玉ねぎが入ったドレッシングと絡まっている。


 レタスを口に含めば、シャキシャキとした葉物の食感とドロっとしたドレッシングが舌の上に乗る。


 ドレッシングに入っている小さな玉ねぎが、レタスとはまた違う食感を感じさせてくれる。


 一度箸を置き、莉恋ちゃんと楓杜君が作ってくれたホットサンドを手に取る。


「ん〜〜!うまぁ!楓ちゃんちなみにこれ味付けはシンプルな塩コショウだよ」

「シンプルイズベスト………もぐもぐ………うまっ」


 私と同じくホットサンドを手にパクパクと食べ進め、既に二切れ目に突入していた莉恋ちゃんがどんな味付けかを教えてくれた。


 その情報を元に出来たてで少し熱く感じていたホットサンドを、体裁など気にせずに綺麗な断面から一口豪快に頬張ってみる。


「はぐ…………んん」


 昨日食べたたまごパンの食感とはまた違う、全体がカリカリとした歯ごたえを歯からの衝撃で感じ取る。


 昨夜のたまごパンは、シンプルにフライパンでサッと焼いていたため、所々に焦げ目がつき、全体的に見れば食パン本来の柔らかさが残ったところもあった。


 しかし本日はホットサンドメーカーによって作られたホットサンド。


 専用の機械で二枚の食パンで具材をプレスしパン全体が鉄板で焼かれ、カリカリになっている。


 その食感が楽しく、目の中に輝きが増す。


「カリカリして美味しい………」

「ね!ね!ホットサンドにしたらパンの表面カリカリになって美味しいよね〜!」

「中の卵とハムも違う食感で楽しいじゃろ」

「うん。噛みちぎる感じが、豪快さを感じる」


 カリカリとしたパンの表面と中に入ったホロホロとほぐれるスクランブルエッグと、薄くスライスされたハム。


 一口大にちぎるために、前歯を使って噛みちぎる事に、何故かハンバーガーを食べている時の事を彷彿とさせる。


 たまにハンバーガーで噛みちぎり損ねたハムだけを先に食べるあの現象。


 ここでその失態をやらかさなくて良かった。


「今度マンガ肉とかでも作って皆でがっつく?」

「マンガ肉?」

「そーそー!」


 サラダをもしゃもしゃと食べていた莉恋ちゃんがポロッと言葉を零す。


「いや、今肉高ぇじゃん。それに、あれどうやって作んの」


 ちらりと莉恋ちゃんを一瞥しながら、麦茶をちびりと飲んだ楓杜君がぼやく。


 それを聞いた莉恋ちゃんがニッコリと笑う。


「え?勘とやる気と根性」


 ……………めっちゃ脳筋だった。


「バカがよ」

「え、じゃあ楓杜食べんのんじゃ」

「………食いたいけど」

「楓ちゃんも食べたいやんな??」

「え?あ、うん。気にはなるかな」


 マンガ肉と言えば、あのデフォルメされた骨付き肉のことだろうか。


 あれって作れるのか?確かに一度はあの骨のところを持ってガブリと行きたいと思わ無かったといえば嘘になる。


 ちょっと憧れはあった。


「じゃあ〜約束!皆でいつかマンガ肉作って食べよう!」

「いつかっていつよ」

「いつかはいつか!お肉安いときにでも買ってやればえーじゃん!」

「無計画すぎ………」

「お前にもその血は流れている」


 楓杜君は「あ〜そういや俺ら双子だったわ」と愕然と肩を落とし、大袈裟に嘆いて見せた。


 そのリアクションの仕方も、心の底から嫌悪している様子は感じられず、ただ単純な双子間での弄り合いなのだろう。


 仲が良い……


「楓ちゃん。くれぐれもこいつみたいにはなるなよ」


 ふと、目の前に座る私に耳打ちをするように楓杜君は警告のようなものを告げる。


 が、しかし、それは私には無意味なものかもしれない。


「いや〜………私も若干この系統の血……入ってるかも」

「あ、そういや楓ちゃんも無計画系だったわ」

「……おっしゃる通りで」


 グサリと鋭い言葉の矢が心に刺さりつつも、当然これは紛うことなく私に当てはまる言葉だった為一切の否定が許されることは無かった。


 どうやら私たち三人は似た者同士というか、考え方が全く同じというか。


 二人はどこをどうとっても双子な為、血縁に当たるので似ているのは必然だが、私までこの二人に似ているなど。


 もはや私も姉弟みたいじゃないか。


「うちら姉弟やん」

「ええじゃん、楓ちゃんも彩羽家になる?」

「養子にしてくれるんですか」

「俺、養父になるのか」

「いや、そこは楓杜が嫁に貰うとか言えよ」


「いや、そんな大事な事強要したらダメじゃろ」

「それ言うなら養子もじゃろ」

「………ぐっwww」


 流れる様な双子節に呑まれ、軽く乗ってみたはいいものの、流れが止まらず何だか別方向の会話に向かってしまい思わず笑いが込み上げる。


 何だろう。


 こう言う、男女間で交わすには人を選ぶような話題でも、いつも真顔でその言葉を紡ぐ楓杜君が予想以上に面白く、別段嫌な気分に陥らない。


 私は恐らく、出会ってまだ一日も経っていないこの双子達の事が既に好きになり、そのやり取りが大好きになってしまったのだろう。


「あはは!じゃあ、いざとなったらお嫁に行っちゃおうかな」

「え!うちと結婚してくれんの!?」

「お前じゃねーだろ」


 そう言ってまた、軽く莉恋ちゃんの頭を小突く楓杜君は楽しそうにこの光景を見ていた。

 作者、こう言う男女で結構気兼ねなく話せて、ふざけ合える絶妙な関係性が癖に刺さります。


 苦手な方も居られると思いますが今回はそういった方向の関係性となっております。よろしくお願います……( *´`*)

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