表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

319/327

第311話 タルバ紅葉に粛清の嵐

 セルツ側の事後処理と並行して、タルバ側のそれも進められていく。

 こちらの最大の問題は、叛乱に参加していた『純血派』の家の子供達であろう。

 自身も叛乱に参加していれば当然処罰対象となる。そうでなくても家が処罰されてなくなってしまった場合、残された子供が華族学園の生徒であればそのまま退学である。

 今残っている『純血派』を壊滅させるだけならば、それ自体は悪い事ではない。

 しかし長い視点で見た場合、華族の家を減らし過ぎる事はタルバの力を落とす事にもつながってしまう。

 かつて魔法国を追われた魔法使い達が逃げ込んだ、連合王国の北の果てタルバ。

 その末裔である『純血派』がごっそり抜けるとなると、タルバ華族の数は激減してしまう。

 特に、ただでさえ少なくなっている魔法使いがいなくなるのが大問題だ。

 タルバ王国の力は落ち、それは連合王国内における発言力の低下にもつながるだろう。

 この崩壊しそうになっているバランスをどうにかして保つべく、今のタルバ宮廷は四苦八苦していた。


 まず処罰される『純血派』の家々だが、これに関してはもうどうしようもない。

 実際に叛乱を起こした者達を許してしまっては、タルバ王家の権威に関わる。

 新たな英雄となったオーサに加え『純血派』の中でも有力な虎臥家が残った事が不幸中の幸いと言えるだろう。

 しかし、強者が一人や二人残っただけではまだ足りない。セルツも『アーマガルトの守護者』一人で全てを回せるのかという話である。

 そのためにも叛乱に参加していないが、家の没落に巻き込まれてしまう子女達。これをなんとかすくい上げたいというのが宮廷の考えであった。


 そこで問題となるのはセルツだ。

 『純血派』の叛乱はタルバだけでない。魔神ダ・バルトと組んで百魔夜行でセルツを襲撃しようとした。

 それだけでなく以前から魔神化の短刀、その試作品を使って暗躍していた事も分かっている。

 それだけに『純血派』の一部を助けますとなった時、セルツ王家がどういう反応をするかという問題があった。

 何か交渉材料は無いかと頭を悩ませるタルバの宮廷。

 そこに向こうから転がり込んできたもの……それは、アメリアの処遇についてだった。

 セルツとしては、彼女にセルツ華族として新たに家を興させたいとの事。

 実際、百魔夜行との戦いにおいてそれだけの功績を立てたのだろう。

 タルバとしても、それだけ力のある魔法使いは手放したくない。

 しかし当のアメリアは『アーマガルトの守護者』の保護下にあり、現状はタルバ側が著しく不利だ。

 そして今は、一人の魔法使いより少しでも多くの家を維持する事の方が大事である。

 そこでタルバ宮廷は、アメリアを譲る事を交渉材料にし、叛乱に直接参加していない子女達をすくい上げる事をセルツ王家に了承させたのだ。

 アメリアがスムーズにジェイ達の下に転がり込めたのは、このような裏事情があった。



 さて、具体的に子女達をどうすくい上げるかだが……。

 まず彼らの家は没落し「平民落ち」という扱いになる。

 そして平民は、華族学園に通う事はできない。普通ならば。

 これについての解決策は、ふたつの実例がある。

 その内のひとつはモニカだ。

 彼女は華族ではなく商人の娘だが、ジェイの婚約者――将来の領主夫人として華族学園に入学した。

 もうひとつは……他ならぬアメリアである。

 彼女もまた養子入りした高城家が没落する事になったが、これからも華族学園に通う事については何の問題にもなっていない。

 何故ならアメリアは、自身の武功で新たな家を興すからである。

 そう、華族と縁談を結ぶか、叙勲されて自分が華族になる。それらが平民が華族学園に入学できる方法だ。


 それこそが、今タルバ宮廷が四苦八苦している事後処理のメインタスクであった。

 家を失った元『純血派』子女と、『純血派』でないタルバ華族の、家を継がない子女の縁談を斡旋する。そして新たな家を立てる形にするのだ。

 今から自力で武功を立てて叙勲というのは現実的ではないため、金で爵位を買う形になる。

 実際に支払わせるのは難しそうなので、そこは王家の負担となるだろうが……。

 それに元々『純血派』というのは『純血派』同士で婚姻を繰り返して魔法使いの血を守ってきた派閥だ。

 それ故にそれ以外の家との縁談は、もう『純血派』の考えには迎合しないという禊になり得た。

 逆にこれを断る者は言わずもがなである。危険人物を見分けるためのふるいにもなるだろう。

 そう、これは、タルバ王国の力を維持し、守るものであると同時に『純血派』への最後のトドメとなる一撃であった。


 これ以降タルバの『純血派』は消えていく事となる。

 それにより『純血派』の叛乱は、真の意味で終わったのであった……。

 今回のタイトルの元ネタは、ゲーム『サクラ大戦』のキャッチコピー「太正桜に浪漫の嵐」です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
血統的に純血派だった者たちが混血となり 頑迷なる純血派諸氏は粛清されて タルバ国内には純血派が物理的に存在しなくなると… 大変分かりやすいですね〜 表返った事になる虎臥家が新たに純血派を作りたくても …
セルツとしてもタルバが弱体化し過ぎるのは困るってことだったんですかね?
アメリアの年齢詐称が発覚する前ならともかく、発覚した後にこの条件ならセルツ譲歩し過ぎな気が……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ