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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第八章:南海灼熱諸島と炎の熱邪(ねつじゃ)】

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第643話「氷結晶の大祭壇!汚染された水脈と寒毒の主」

息も凍りつく極寒のエリア「白銀の氷結晶回廊」にて、体表から不気味な青氷が突き出す奇病『青氷結核病』に苦しんでいたフロストウルフの群れ。くるるの温經散寒の施療と仲間たちの手厚い看護により、狼たちは無事に本来の健康を取り戻します。群れのリーダーに導かれ、往診チームはいよいよ第二の地脈の鍵『水の鍵』が鎮座する「氷結晶の大祭壇」へと到達します。しかし、そこには『水の鍵』の清廉な波動を歪め、極寒の地に病を撒き散らしていた真の元凶が待ち受けていました!

 『キュオォォォン……!』


 痛みの消え去ったフロストウルフたちが、愛らしく鼻を鳴らしながら枢の周りに身を寄せ、感謝を示すように手や脚を優しく舐めている。


 「ふふ、もう大丈夫ですよ。体内の陽気がしっかり巡り出しましたからね」

くるるが温かな笑みを浮かべ、毛並みの戻った狼の頭を撫でた。


 「すごいわ枢先生! あんなに荒れていた狼さんたちが、まるで大きなワンちゃんみたいになついちゃってる!」

ネネが嬉しそうに目を細め、一頭の背中をなでる。


 「ガハハ! 針一本で魔獣の心まで開かせちまうんだから、やっぱり先生の腕は天下下一品だぜ!」

ガストンが戦斧を担ぎ直し、豪快に笑った。


 「……静かに。リーダーの狼が何かを伝えようとしている」

影から歩み出た哭が、群れの先頭に立つ巨大なフロストウルフを見つめた。


『グルゥ……ッ』

首元を治療されたリーダー狼が、ゆっくりと向きを変えると、奥へ伸びる凍てついた氷の回廊を振り返り、往診チームを促すように短く吠えた。


「私たちを……第二の鍵がある場所まで案内してくれるのですか?」

枢が尋ねると、狼は力強く一度頷き、しなやかな足取りで先導を始めた。


「よっしゃ! 頼もしい道案内がついたぜ! さっそく後を追おう!」

ガストンを先頭に、往診チームはフロストウルフの群れと共に氷の回廊をさらに深くへと進んでいく。


狼たちに導かれること数分、一行は広大なドーム状の空間「氷結晶の大祭壇」へと足を踏み入れ、その圧倒的な光景に息を呑んだ。


そこは、透き通った巨大な氷柱が神殿の柱のように何本も立ち並ぶ、神聖かつ壮麗な極寒の聖域であった。

中央に鎮座する美しい氷の祭壇の上には、清冽な蒼い光を放つ宝玉――第二の地脈の鍵『水の鍵』が祀られている。


「あれが……『水の鍵』……! なんて綺麗な蒼い光なのかしら……!」

ネネが感嘆の声を漏らす。


「だが……綺麗事だけじゃなさそうだぜ。あの鍵の周りを見てみろッ!」

ガストンが険しい表情で戦斧を固く握りしめた。


ガストンの指摘通り、蒼く輝く『水の鍵』の表面には、まるで病的な瘡蓋かさぶたのようにドロドロとした黒青色の氷の結晶がへばりつき、脈動するように不気味な不快音を立てていた。

その汚染された鍵から滲み出る黒い冷気が、水脈を通じて先ほどのフロストウルフたちに『青氷結核病』を引き起こしていたのである。


「あれは……地脈の水気を腐敗させる『極寒毒・陰凝核いんぎょうかく』です!」

枢の目が厳しく光る。


「東洋医学において、過剰な冷気が長期間一箇所に停滞し、循環を失うと『陰毒』となって凝固し、周囲のすべての生命力を奪い去る悪性腫瘍のごとき存在へと変化します。あの陰凝核を取り除かなければ、『水の鍵』を正常な状態で回収することはできません!」


『キシャァァァァァァッ!! 侵入者……我が安眠を妨げる者どもめ……ッ!』


その時、氷の祭壇の裏から、汚染された黒青色の氷を全身に纏った巨大な魔物――『極寒陰毒ガメ・グラシエリス』が這い出してきた!

巨大な甲羅は不気味な黒氷で覆われ、口からは吸い込む者を一瞬で凍結させる黒い吹雪(寒毒気)を吐き出している!


「あの怪物が……『水の鍵』にへばりついて陰毒を撒き散らしていた元凶ですねッ!」

枢がすばやく往診鞄を構える。


『我が寒毒にひれ伏せ! 『陰凝極寒波いんぎょうごくかんは』ッ!!』


グラシエリスが凄まじい勢いで黒い吹雪を放ち、祭壇全体を氷漬けにしようと迫り来る!


「させるかよぁぁぁッ!!」

ガストンが前方へ躍り出て、戦斧を地面に叩きつけ、氷の防壁を作り出して吹雪を受け止める!

ドガガガガァンッ!


「ぐおっ……! 防壁越しでも身体の芯まで凍りつきそうだぜ……ッ! 腕の感覚が失われていきやがる!」

ガストンの肌がみるみるうちに蒼白くなり、関節が硬直を始める!


「ガストンさん! 今の吹雪は関節の『関節腔』に冷気を直接侵入させる『寒痺かんぴ』の攻撃です!」

枢が俊敏にガストンの背後へ滑り込み、両膝の裏にある名穴『委中いちゅう』と、足首の『太渓たいけい』へ天恵の霊針を深く打ち込んだ!


「温もりの気よ、関節の奥深くまで巡れ! 針技・『温経通絡・解凝散寒おんけいつうらく・かいぎょうさんかん』!」


トントンッ! と針に微細な熱の振動を与えると、ガストンの関節に溜まっていた黒い冷気がシュウシュウと蒸気となって吹き出し、固まっていた身体の関節が一気に柔軟性を取り戻した!


「おおおっ……! 膝と足首がカッと熱くなって、全身に温かい血が巡り出してきたぜッ! 枢先生、サンキューだッ!」

ガストンが再び豪快な力を取り戻し、戦斧を激しく振り上げた!


「ネネさん、哭さん! グラシエリスの甲羅にある黒い結晶の結節点が、あの怪物の体内に溜まった陰毒の放出口です! あそこを破壊すれば、体内の寒毒を一気に排出させることができます!」

枢が脈診と気血の観察によって見抜いた急所を指さした。


「了解よ! ネネちゃんの特製・爆炎矢で、あの不気味な黒氷を吹き飛ばしてあげるわッ!」

ネネが炎の気を宿した矢を引き絞る!


「……隙は作る。合わせろ」

哭が短剣を握り、氷柱の間を飛翔するように駆け抜けた!


汚染された『水の鍵』を解放し、白銀の地に真の平和を取り戻すための激闘が、今まさに最高潮を迎える――!

 第643話をお読みいただき、ありがとうございました!


今回は「白銀の氷結晶回廊」の最奥である「氷結晶の大祭壇」へと到達した往診チームが、第二の鍵『水の鍵』を汚染する元凶『極寒陰毒ガメ・グラシエリス』と対峙し、極寒の寒毒(寒痺)によって関節が動かなくなったガストンを、枢先生が「温経通絡」の針技で劇的に救う熱い展開を描かせていただきました。


さて、作中でガストンが「凄まじい冷気(寒毒)によって全身の関節が固まり、激痛と強張りで動けなくなる(寒痺)」という症状に見舞われていましたが、これは現実の私たちの生活においても、冬場の寒さや夏の冷房環境下で非常に多く発生する「膝の痛み」「足首の強張り」「関節の慢性的な痛み」と全く同じメカニズムです。


東洋医学では、過剰な冷え(寒邪)が身体の関節に入り込むと、関節を守る液体や血流が凝固して動きが悪くなり、歩行時や立ち上がり時の強い痛みを引き起こすと考えられています。


このような「冷えによる膝や足首の関節の痛み・強張り」を感じた時におすすめの東洋医学の名穴が、作中で枢先生がガストンの治療に使用した**『委中いちゅう』と『太渓たいけい』**です!


『委中』の場所は、**膝の裏側にある横シワの中央(ちょうど真ん中の凹み)**にあります。

『太渓』の場所は、足首の内くるぶしの頂点と、アキレス腱との間にある凹みにあります。


『委中』は腰や下半身全体の血流を劇的に改善する名穴であり、『太渓』は体内の一番深い部分にある「腎(温めるエネルギーの源)」を補う最大のツボです。

ここを手の親指で「じわ〜っ」と気持ちいい痛さを感じる強さで押し揉んだり、お風呂上がりや温熱シートでじっくり温めてあげることで、凍りついていた関節の気が一気に通り出し、作中でガストンの足が温まったように、膝や足首の強張りと痛みがすっきりと解消されていきます。


「冷えると膝や足首が痛むな」「立ち上がるときに関節が固まっているな」と感じた時は、ぜひ『委中』と『太渓』のツボをしっかり温めてケアしてあげてくださいね!


次なる第644話は、本日**8月28日(金曜日)の夜【21:00】**に更新を予定しております!

夜21時の更新をどうぞお楽しみに!

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