第644話「解凍の一閃!水の鍵と極寒の解放」
第二の地脈の鍵『水の鍵』が鎮座する「氷結晶の大祭壇」にて、鍵を汚染し寒毒を撒き散らす不気味な魔獣『極寒陰毒ガメ・グラシエリス』との決戦を迎えた往診チーム! 寒毒によって関節が凍りついたガストンを、枢の針技「温経通絡」が見事に救い出しました。敵の弱点である甲羅の「陰毒の放出口(黒氷結節点)」を見抜いた枢の指示のもと、ネネの爆炎矢と哭の一閃、そしてガストンの豪腕が火を噴きます! 白熱の決着と、第二の鍵の解放を描くクライマックスです!
『グォォォォォォッ!! 破滅の寒毒に沈めぇぇッ!!』
『極寒陰毒ガメ・グラシエリス』が巨大な咆哮をあげ、汚染された甲羅全体から黒紫色の極悪な冷気――『陰毒寒波』を全方位に向けて噴出させた!
空間全体の温度が急速に氷点下数十度まで暴落し、空気中の水蒸気が鋭い氷の針となって往診チームへと襲いかかる!
「くっ……! 前が見えないくらいの猛吹雪よッ! でも……負けるもんかぁぁぁッ!」
ネネが立ち塞がる吹雪に対し、両足を踏ん張って弓を引き絞る。
「ネネさん! 今です! グラシエリスが技を放った瞬間、甲羅の黒氷結節点が開き、内部の気が剥き出しになっています!」
枢が猛吹雪の中で透視の眼(視診)を極限まで研ぎ澄まし、叫んだ。
「見えたわッ! 枢先生の教えてくれた急所……あそこねッ!」
ネネの放った矢が、激しい赤蓮の炎を纏いながら吹雪を切り裂いた!
『爆炎矢・・昇竜破』!!
チュドォォォォォンッ!!!!
赤蓮の矢がグラシエリスの甲羅の中央にある不気味な黒氷結節点に命中し、凄まじい熱量で不気味な黒氷を爆砕した!
『ギャアアアアッ!? わ、我が甲羅の陰結核が……っ!?』
甲羅の防壁が崩れ、体内に溜め込まれていた黒い寒毒がドバッと外へ漏れ出す!
「……逃がさん」
吹雪の影から、哭が音もなく飛翔した。
両手に握られた短剣が、まるで流星のごとき残像を描いて疾走する。
『影針流・『寒気断ち(かんきだち)』ッ!』
ザシュッ! ザザザザザッ!!
哭の鋭い短剣が、露出したグラシエリスの経絡の結節点を正確無比に切り刻む! 体内の気の循環を完全に絶たれたグラシエリスが、苦痛に身をよじらせて体勢を大きく崩した!
「仕上げは俺様の番だなぁぁぁッ!!」
ガストンが氷床を激しく蹴り上げ、天井近くまで超高空跳躍を果たした!
両手で固く握りしめた巨大な戦斧には、枢の施療によって全身を巡る温かな血気が漲っている!
「ガストンさん! 敵の頭頂部にある名穴『百会』に相当する気血の集中点……そこへ全打撃を叩き込んでください!」
枢が地上から叫んで指示を送る!
「応ッ!! 脳天から真っ二つになれぇぇッ! 往診チーム特製・『解凍大断頭』ッ!!」
ドカァァァァァァァンッ!!!!
ガストンの解凍された豪腕から繰り出された渾身の一撃が、グラシエリスの頭頂部を完璧に粉砕した!
巨大な甲羅に一気に幾重もの亀裂が走り、全身を覆っていた不気味な黒氷が木っ端微塵に弾け飛ぶ!
『バ、馬鹿な……我が極寒の陰毒が……温かな人の気によって……溶かされる……だと……っ!?』
グラシエリスは最期の断末魔を残し、膨大な光の粒子となって氷結晶の大祭壇から消滅していった。
それと同時に、祭壇の台座に祀られていた第二の鍵『水の鍵』にへばりついていた黒青色の瘡蓋がシュウシュウと音を立てて蒸発し、本来の清廉で美しい蒼い輝きを取り戻した!
キラキラキラ……ッ!
澄み渡る蒼い光が祭壇全体から放射され、空間全体を包み込んでいた不快な冷気と寒毒が一瞬にして雲散霧消していく。
凍てついていた空気は心地よい清涼感へと変わり、遠くの氷床からは温かな地下水脈のせせらぎの音が聞こえ始めた。
「やった……! やったわ、みんなッ! 怪物退治成功よッ!」
ネネが飛び跳ねて歓喜の声をあげる。
「ガハハハ! 見たかッ! 枢先生の鍼治療で温まった俺様の筋肉に、敵う奴なんていねぇんだよッ!」
ガストンが戦斧を肩に担ぎ、高らかに笑い飛ばした。
「……終わったな」
哭も短剣を静かに納め、フッと安堵の吐息を漏らした。
枢はゆっくりと祭壇へ近づき、神聖な光を放つ『水の鍵』を静かに両手で包み込んだ。
手から身体の芯へと、透き通るような清らかな水の気が巡り、戦いで疲弊した全身の経絡が心地よく洗浄されていくのを感じる。
「これが……第二の地脈の鍵『水の鍵』……。これで、この地域の水脈と気候は本来の健やかな循環を取り戻します」
枢が感慨深げに呟き、往診鞄の特別な保管ケースへと大切に収めた。
『キュオォォォン……!』
その時、先ほど案内してくれたフロストウルフの群れが祭壇へと駆け寄ってきた。
リーダーの狼が枢の腰元に優しく鼻を寄せ、まるで「ありがとう」と伝えているかのように尾を振っている。
「ふふ、みなさんもすっかり元通りですね。もう『青氷結核病』に怯える必要はありませんよ」
枢が優しく撫でてやると、狼たちは名残惜しそうに遠吠えをあげ、白銀の回廊の奥へと元気に駆け去っていった。
「さあ、これで鍵は『地の鍵』と『水の鍵』の二つが揃ったわね!」
ネネが指を二本立てて笑顔を見せる。
「ああ! 残る地脈の鍵は、あとたった一つ……『火の鍵』だけだ!」
ガストンが拳を握りしめる。
「古文書によると、第三の鍵『火の鍵』が眠るのは、この極寒層のさらに地下深くに広がる『灼熱の溶岩回廊・炎帝の巣窟』です」
枢が古文書を開きながら、まっすぐな瞳で仲間たちを見つめた。
「極寒の次は、あらゆるものを焼き尽くす灼熱の試練が待ち受けています。ですが、私たちが力を合わせれば、どんな困難も乗り越えられます!」
「当然よ! 往診チームに治せない病も、越えられない試練もないわッ!」
「おうよ! どこへでもついていくぜ、枢先生ッ!」
二つの地脈の鍵を手にした往診チームは、最後にして最大の世界の危機を救うため、灼熱のマグマが渦巻く未知の最深層へと向かって進撃を開始するのだった――!
第644話をお読みいただき、ありがとうございました!
今回は「氷結晶の大祭壇」での『極寒陰毒ガメ・グラシエリス』との激闘の決着、そして第二の地脈の鍵『水の鍵』の奪還と寒毒の浄化を描かせていただきました。
ネネの爆炎矢、哭の流れるような切断、ガストンの豪快な一撃、そして枢先生の的確な医学的指示が見事に噛み合った往診チームならではの素晴らしい連携勝利となりました!
さて、作中でガストンが枢先生の指示によってグラシエリスの頭頂部にある『百会』のツボへ渾身の一撃を叩き込み、一気に敵の気のバランスを崩して撃破する場面がありました。
この**『百会』**というツボは、現実の東洋医学においても「全身のすべての経絡(気の流れ)が交差する最も重要な頂点のツボ」として知られています。
『百会』の場所は、両方の耳の一番上の縁を結んだ線と、顔の頭の真ん中の線(鼻の延長線)が頭頂部で交差する、まさに頭のてっぺんの凹みにあります。
東洋医学において『百会』は、「百(多数)の経絡が会(交わる)」という名前の通り、自律神経を調整し、頭部に停滞した血流やストレスを一気に解消する万能の名穴です。
デスクワークやスマホの操作で「頭が重だるい」「目が疲れて集中力が切れる」「自律神経が乱れて眠りが浅い」「ストレスで頭痛がする」といった症状を感じた時、この『百会』のツボを両手の交ぜた指先や中指で、心地よい響きを感じる強さで「じわ〜っ」と垂直に押してあげると、頭のモヤモヤが一気に吹き飛び、視界がパッと明るくなります。
日々の仕事や作業で頭が疲れたなと感じた時は、ぜひ頭頂部の『百会』を優しくプッシュして気分転換してみてくださいね!
次なる第645話は、明日**8月29日(土曜日)のお昼【12:00】**に更新を予定しております!
お昼12時の更新をどうぞお楽しみに!




