第640話「晶蜂の巣窟!麻痺毒の連射と旋風の針」
「水晶鍾乳の回廊」にて麻痺(痺症)に倒れていた探索者たちを救出し、第一の地脈の鍵『地の鍵』が眠る場所を突き止めた往診チーム! しかし、鍵が祀られている巨大な結晶広場は、凄まじい麻痺性の水晶毒粉を撒き散らす魔獣『晶蜂后』の巣窟となっていました。吸い込めば全身の運動神経が麻痺する極限の環境下で、往診チームと晶蜂后との『地の鍵』を巡る激闘が幕を開けます!
グラグラ……ッ! ズズズズ……ッ!
「水晶鍾乳の回廊」の最奥、天井高数十メートルにも及ぶドーム状の巨大結晶広場へと足を踏み入れた途端、地鳴りのような羽音が空間全体を激しく揺らした。
広場の中央には、天井から垂れ下がる巨大な水晶群に絡みつくようにして、青紫色にきらめく巨大な蜂の巣が形成されている。その中心点には、目を見張るほど巨大で美しい地脈の宝玉――『地の鍵』が、眩い萌黄色の光を放ちながら鎮座していた。
「あったわ……! あそこにあるのが『地の鍵』ねッ!」
ネネが指をさして叫ぶ。
「だが、そう簡単に渡してくれそうにねぇな……!」
ガストンが戦斧を構え、天井を見上げる。
ブゥゥゥゥンッ! ブブブブブッ……!
天井の巨大巣から、体長三メートルを超える巨体を誇る魔獣『晶蜂后クリスタル・クイーン』が舞い降りてきた! その全身は鏡のように光を反射する硬質な水晶甲殻で覆われ、腹部からは鋭利な水晶の毒針が幾重にも突き出している。
『キシャァァァァァァッ!! 侵入者……我が地に眠る宝を狙う者どもめ……ッ!』
晶蜂后がその巨大な羽を高速振動させると、周囲の空気一帯に、キラキラと妖しく輝く微細な「紫結晶の毒粉」が爆発的に撒き散らされた!
「みなさん、息を整えて! 前話でお渡しした香草の匂い袋を口元に密着させてください!」
枢がすばやく叫び、往診鞄から特製の「開竅散」を取り出して周囲に散布した。
「この毒粉は、体内に入ると急速に経絡の流れを遮断し、筋肉の運動神経を麻痺させる強力な『湿熱麻痺毒』です! 吸い込めば一瞬で動けなくなります!」
「くっ……! 視界一面がキラキラしてて、まぶしくて目が眩むわッ!」
ネネが弓を構えながら、毒粉の霧を払い退けようと風の気を纏わせる。
『フハハハッ! 動けなくしてやる! 『晶毒無数針』ッ!!』
晶蜂后が空中で旋回し、腹部の水晶針をマシンガンの如く無数に連射してきた!
シュバババババババッ!!!!
「させるかよぁぁぁッ!!」
ガストンが前線へ飛び出し、巨大な戦斧を旋風のように振り回して水晶針の嵐を弾き返す!
ガキィィン! ガガガガァンッ!
「ぐおっ!? 硬ぇ……ッ! 針の一本一本が異様に重いぜ! おまけに削れた針から毒粉がさらに散らばりやがる!」
ガストンの腕が、毒粉と打撃の衝撃によって次第に痺れ、重く垂れ下がりそうになる。
「ガストンさん! 無理に弾こうとすると毒粉を全身に浴びてしまいます!」
枢がすばやくガストンの背後へ滑り込み、背中の名穴『身柱』と肘の『手三里』へ銀針を素早く刺し入れた!
「針技・『祛風勝湿』! 体内の毒気を外へ弾き出します!」
トントンッ! と針の頭を叩くと、ガストンの皮膚からじんわりと汗と共に紫色の毒気が吐き出され、腕の痺れが一瞬で吹き飛んだ!
「おおっ!? 腕が軽くなったぜ! おおきに、枢先生ッ!」
ガストンが再び戦斧を力強く握り直す。
「……晶蜂后の狙いは、毒粉でこちらの動きを奪い、じわじわと追い詰めることだ」
影から躍り出た哭が、壁面の水晶を跳び渡りながら空中から敵を観察する。
「甲殻が硬すぎて、通常の刃では通りそうにない」
「晶蜂后の甲殻は非常に硬質ですが、羽の根本――風を巻き起こしている『翼根』の部分だけは、運動のために甲殻が薄くなっています!」
枢が透視の眼(脈診と気血の観察)を凝らし、敵の弱点を特定した。
「あそこが、気血が集まる急所です! あそこを刺激して羽の振動を止めれば、毒粉の散布も止まり、地上へ叩き落とせます!」
「了解よ! 羽の根本ね……! 私の射撃で狙い撃つわッ!」
ネネが立ち上がり、往診チームの絆の気を弓矢へと注ぎ込んだ。
『ハッ! たかが人間どもの矢など、この風圧で弾き返してくれるわッ!』
晶蜂后が羽をさらに激しく振動させ、往診チームを押し潰さんとする暴風と毒粉の渦を発生させる!
「一人じゃない……みんながいるから、私の矢は折れないッ!」
ネネの放った矢が、緑色の旋風となって毒粉の暴風を真っ二つに切り裂いた!
疾風の矢は一直線に晶蜂后の右羽の根本へと突き刺さる!
チュイィィィンッ!
『グアァァァッ!? は、羽が……動かん……っ!?』
振動を止められた晶蜂后がバランスを崩し、空中で激しく体勢を乱した!
「今です! 哭さん、ガストンさんッ!」
枢が叫ぶ!
「応ッ!! 天井から落ちろやぁぁぁッ!!」
ガストンが跳躍し、体勢の崩れた晶蜂后の頭上から渾身の戦斧撃を叩きつける!
ドカァァァァンッ!!!!
『ギャアアアアッ!!』
巨体を誇る晶蜂后は地面へと激しく叩きつけられ、甲殻に大きな亀裂が入った!
「……これで終わりだ」
哭が短剣を逆手に持ち、地上の晶蜂后の胸元にある気血の結節点へ向かって、一閃の突きを放つ――!
激闘の果てに、往診チームは第一の鍵『地の鍵』を手に入れることができるのか!?
第640話をお読みいただき、ありがとうございました!
今回は「水晶鍾乳の回廊」のボスである『晶蜂后クリスタル・クイーン』との激闘を描かせていただきました。麻痺性の毒粉と強力な遠距離攻撃に対し、枢先生が「祛風勝湿」の施術でガストンの麻痺を即座に治癒し、仲間全員の連携によって敵の弱点を見破る熱いバトル展開となっております。
さて、作中でガストンが毒粉と衝撃によって「腕が重くなり、痺れて力が入らなくなる(痺症)」という症状に見舞われていましたが、現実の私たちにとっても「腕や手が痺れる・力が入らない・手首から先が重だるい」というお悩みは非常によく見られます。
特に、長時間のパソコン作業やスマホ操作、手首を駆使する作業を続けていると、腕の筋肉が過度に緊張して神経や血管を圧迫し、手先への気血の巡りが悪くなって痺れや疲労感を引き起こします。
このような「腕や手先の痺れ・重だるさ」を感じた時におすすめの東洋医学の名穴が、作中でも枢先生が使用した**『手三里』**です!
『手三里』の場所は、**肘を曲げた時にできるシワの外端(曲池)から、手首に向かって指幅3本分下がったところ(前腕の筋肉の盛り上がり部分)**にあります。
ここを反対側の親指で、やや強めに「じわ〜っ」と気持ちいい痛さを感じる程度に押し揉んであげると、腕全体の滞っていた気血の巡りが一気に改善し、作中でガストンの腕の痺れが吹き飛んだように、手先の痺れやだるさがスッキリと解消されていきます。
デスクワークや手作業で腕が疲れたなと感じた時は、ぜひ『手三里』のツボを優しくケアしてあげてくださいね!
次なる第641話は、明日**8月27日(木曜日)のお昼【12:00】**に更新を予定しております!
お昼12時の更新をどうぞお楽しみに!




