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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第八章:南海灼熱諸島と炎の熱邪(ねつじゃ)】

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第637話「結節の狂瀾!双極の地脈と氷炎の獣」

深層大洞窟で遭遇したフロスト族の集落を救うため、急患の手当を行った往診チーム! しかし、「上熱下寒(冷えのぼせ)」の病理を引き起こしている根本の原因は、洞窟の最奥から噴き出す「火の地脈」と「氷の地脈」の激しい衝突にありました。環境そのものを治療すべく、風が吹き荒れる「結節の間」へ乗り込んだ枢たち。そこに待ち受けていたのは、二つの属性が歪に融合し、周囲の環境を破壊し続ける異形の地脈モンスターでした。往診チームの新たな試練が始まります!

 ゴォォォォ……ッ! ズズズズズ……ッ!


 洞窟の奥へと進むにつれ、空気の振動はすさまじい地鳴りとなって往診チームの鼓膜を震わせていた。


 右側の岩壁はマグマのように赤く熱せられてドロドロに溶け落ち、左側の岩壁は絶対零度の冷気によって青白い氷層に覆われている。その境界線上では、激しい水蒸気と衝撃波が絶え間なく炸裂し、視界を真っ白に覆い隠していた。


 「くっ……! 視界が悪いわ! 激しい蒸気で前がほとんど見えない……!」

ネネが弓を抱え、目を細めながら叫ぶ。


 「うおっ!? 急に足元が熱くなったと思ったら、次は凍りつきやがった! なんだってこんなデタラメな場所が存在するんだよッ!」

ガストンが戦斧を構え、足元の不安定な岩場を慎重に踏みしめる。


 「……気をつけろ。この蒸気の奥に、巨大な気が渦巻いている」

哭が短剣を逆手に持ち、鋭い視線を真っ白な視界の先へと向けた。


くるるは往診鞄から羅針盤を取り出し、激しく狂い回る針を見つめた。


「間違ありません。この先が、火と氷の地脈が衝突している『結節の間』です! 地脈の気のバランスが崩れ、自然の循環機能が完全に麻痺しています……!」


一行が蒸気の幕を押し分けて「結節の間」へと足を踏み入れたその時――!


『グォォォォォォォォォンッ!!!!』


空間全体を揺るがす恐ろしい咆哮が響き渡った!

広大な空洞の中央、真っ赤に溶岩が渦巻く池と、青く凍りついた氷解の池が交わる中心点。そこに君臨していたのは、巨体の右半分が燃え盛る炎と溶岩で形成され、左半分が鋭利な青氷と冷気で覆われた異形の巨獣――『氷炎地脈獣ひょうえんちみゃくじゅうグラシアル=ヴァルカン』であった!


「な……何よあの怪物……!? 身体の右と左で、属性が完全に別れているじゃない……!?」

ネネが息を呑み、思わず一歩後退する。


「あいつか……! あいつが集落に寒熱の風を撒き散らしていた元凶だなッ!?」

ガストンが戦斧を激しく握りしめ、威嚇するように足を踏み鳴らす。


「違います、ガストンさん!」

枢がすばやく叫び、二人を制した。


「あの魔獣は、元々この地脈の結節点を守る静かな土地神(精霊)だったはずです! 金毒帝の汚染によって地脈の循環が乱れ、体内で処理しきれなくなった過剰な火と氷の気が暴走し、あのような苦しい姿に変貌させられてしまっているのです!」


枢の言葉通り、グラシアル=ヴァルカンは激しい咆哮をあげながらも、その瞳には苦悶の色が濃く浮かんでいた。体の中心線では、激しい熱と冷気が互いを打ち消し合おうとしてバチバチと爆発を起こし、巨体を内側から苛み続けているのだ。


『グ……アァァァッ! 痛い……熱い……冷たい……ッ! 誰か……消してくれ……我が身を苛むこの狂気を……ッ!』


苦しみのあまり狂乱した地脈獣は、巨大な前脚を振り下ろし、赤と青の二色の衝撃波を往診チーム目掛けて放ってきた!


「ドッジしろッ!!」

ガストンがネネの肩を掴んで側方へ飛び退く!

直後、二人が立っていた岩場が半ぶんは灼熱で溶け去り、半分は一瞬で氷漬けとなって粉砕された。


「くっ……! 攻撃の威力があまりにも凄まじい……! 近づくだけで寒熱の衝撃で体がやられちまうぞッ!」

ガストンが汗と霜が同時に付着した顔を歪める。


「枢先生! あの魔獣を助けるには、どうすればいいの!?」

ネネが弓を引き絞りながら叫ぶ。


「あの魔獣の体内では、右半身の『陽(火)』と左半身の『陰(氷)』が分断され、正しく巡るための『中間(土)』の気が完全に失われています! これはいわば、極限の『陰陽離決いんようりけつ』――命の調和が破綻しかけている病理です!」


枢の目が鋭く光り、胸元から『天恵の霊針』を取り出した。


「魔獣の体中心にある『気海きかい』のツボへ霊針を打ち込み、両極に分裂した気を中央に引き寄せて中和させなければなりません! そうすれば体内の暴走は収まり、元の平和な精霊へと戻るはずです!」


「だが、あの二色の暴風の中へ飛び込むのは至難の業だぞ……!」

哭が短剣を握り直し、冷静に分析する。


「一人では無理でも……私たち『往診チーム』なら可能です!」

枢が仲間たちへ力強い視線を送った。


「ガストンさんは炎の右攻撃を、ネネさんは氷の左攻撃を牽制してください! 哭さんは魔獣の注意を逸らし、私が中央へ飛び込む一瞬の隙を作ってください!」

「了解だッ! 熱かろうが冷たかろうが、俺の斧で受け止めてやるぜぇぇぇッ!」

ガストンが雄叫びをあげ、灼熱の右前脚に向かって突進を開始する!


「私の矢で、左の冷気を相殺してみせるわッ!」

ネネが風の矢を次々と放ち、迫り来る氷柱を撃ち落としていく!


「……任せろ。影となり、目を晦ます」

哭が姿を消し、地脈獣の死角へと滑り込んだ!


『グオォォォォッ!? 邪魔をするな小僧どもぉぉぉッ!!』

地脈獣が狂ったように暴れ回るが、絆で結ばれた往診チームの連携は、荒れ狂う炎と氷の猛攻を完璧に捌いていく!


「今です……ッ! 枢先生ッ!!」

ガストンが地脈獣の腕を抑え込み、ネネが視界を遮り、哭が頭上から注意を引いたその瞬間――!


往診鞄を抱えた枢が、跳躍した!

手にした『天恵の霊針』が銀色の眩い光芒を放ち、地脈獣の胸元――陰と陽が激しくぶつかり合う中心点へと一直線に突き進む!


「苦しい体内の争いは、ここで終わりです……! 巡り合え、陰と陽の力よッ!!」


白銀霊峰の深層を揺るがす最終治療の一針が、今まさに解き放たれようとしていた!

 第637話をお読みいただき、ありがとうございました!


今回は「結節の間」に潜む地脈の暴走体『氷炎地脈獣グラシアル=ヴァルカン』との遭遇と、体内の「陰陽離決」という極限状態に対し、往診チーム全員が連携して突破口を開く熱い戦闘と治療の展開を描かせていただきました。

さて、作中で地脈獣が「体内で熱と冷気が激しくぶつかり合い、狂乱するほどの激痛と不快感に苛まれる」という描写がありました。


ここまでの極端な状態ではないにせよ、私たちの身体も「季節の変わり目」や「自律神経の乱れ」によって体内の陰陽バランス(体温調節や気の巡り)が崩れると、原因不明の発熱と冷えが同時に襲ってきたり、自律神経が暴走して激しい倦怠感や頭痛に見舞われることがあります。


このように「体内のコントロールが効かなくなり、自律神経や陰陽のバランスが狂っている」と感じた時におすすめなのが、手首近くにある**『内関ないかん』**という名穴です!


『内関』の場所は、**手首のシワの中央から、指幅3本分肘に向かって上がったところ(二本の筋の間)**にあります。


ここを反対側の親指で、じわーっと優しく押し揉んであげると、乱れた自律神経が整い、作中で枢先生が陰陽の気を調和させたように、体内の激しい気の高ぶりや胃の不快感、冷えのぼせがスッと鎮まっていきます。

季節の変わり目や、精神的なストレスで体が重だるいと感じた時は、ぜひ手首の『内関』を優しくケアしてあげてくださいね!


次なる第638話は、本日**8月25日(火曜日)の夜【21:00】**に更新を予定しております!

夜21時の更新をどうぞお楽しみに!

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