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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第八章:南海灼熱諸島と炎の熱邪(ねつじゃ)】

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第635話「復興の歓喜!深層へと続く未開の古道」

金毒帝ゼノ=アルゲンを撃破し、秘宝『天恵の霊針』の真の力によって白銀霊峰の心臓部を見事に浄化させた往診チーム! 山全体に清らかな気が巡り、古代都市アルゲンタの街並みにも清涼な風と水を取り戻すことができました。からくり技師の少女ミモザや街の人々と勝利の喜びを分かち合う枢たちでしたが、山脈の命脈が完全に開通したことで、大水車の地下最深部に隠されていた「未知の深層地下ルート」への扉が目を覚まします。

 「見て! 見てよみんな! 街の水路から、こんなに綺麗なお水が流れてきたよぉぉぉッ!」


 古代都市アルゲンタの大広場に、ミモザの弾んだ歓声が響き渡っていた。


 先ほどまで濁った金毒の泥で黒く汚れ、嫌な金属臭を放っていた石造りの水路には、今や白銀霊峰の雪解け水のように澄み切った清流が勢いよく駆け巡っている。

空気を覆っていた重苦しい紫色の毒気も綺麗に吹き飛び、天井の隙間から差し込む光が、清らかな水面をキラキラと銀色に反射させていた。


 「わぁ……! 本当に綺麗……! 風も冷たくて、とっても気持ちいいわね!」

ネネが水路に歩み寄り、両手で清流をすくって顔をほころばせる。


 「ガハハハ! 見ただろミモザ! 俺たちの枢先生にかかれば、どんな酷い毒だって一発でイチコロよッ!」

ガストンが胸を強く叩き、己の事のように自慢げに笑ってみせた。


 「ふふ、私だけの力ではありませんよ。みなさんが毒脈を断ち、時間を稼いでくださったからこそ、あの針を打ち込むことができたのですから」

鍼灸師・くるるが往診鞄を優しく撫でながら、謙虚な笑みを浮かべる。


「ううん! 枢先生も、ガストンも、ネネも、哭も、みんな本当のヒーローだよ! ありがとう……! この街を、アルゲンタを救ってくれて……ッ!」

ミモザは大きなスパナを地面に置き、目元に浮かんだ涙を乱暴にツナギの袖で拭うと、枢の手をぎゅっと両手で包み込んだ。


「……フッ。街が元に戻って何よりだ。だが、これで終わりではないのだろう?」

壁の影からそっと姿を現した哭が、静かな声で大水車の方角を指さした。


ゴゴゴゴゴ……と、重厚な地鳴りのような音が、大水車の設置されている地下動力室の奥から届いてくる。


「あっ……!? そうだった! 山の心臓部が浄化されたら、大水車の地下にある『古の制御板』が動き出すって、おじいちゃんの日記に書いてあったんだ!」

ミモザがハッと顔を上げ、大水車へ向けて走り出した。


「みんな、来て! 街のさらに奥……ううん、この白銀霊峰の本当の深層へ続く道が開いたかもしれないの!」


往診チームは顔を見合わせ、ミモザの後に続いて動力室へと戻っていった。


大水車の巨大なギアが滑らかに回転を続ける動力室の最奧――そこには、かつて金毒の泥で埋もれていた石壁が左右へ大きくスライドし、地下深くへと伸びる無数の水晶柱に彩られた巨大な下り階段が姿を現していた。


「うわあ……! なんて幻想的な場所かしら……! 階段の先が、仄かな青白い光で照らされているわ」

ネネが階段の口を覗き込み、感嘆の息をつく。


「へぇ……! アルゲンタの地下に、こんな隠し通路が存在してたなんてな。どこへ続いてるんだ、ミモザ?」

ガストンが身を乗り出して尋ねる。


ミモザは手持ちの古文書を開き、羊皮紙に書かれた古代文字とマップを真剣な目つきで指でなぞった。


「ここから先はね……『白銀地脈・深層大洞窟』って呼ばれているエリアなの。アルゲンタの都市は、実はこの白銀霊峰の広大な地下世界への『入口』に過ぎなかったんだよ!」

「白銀霊峰の地下世界……!?」

ネネが驚きに目を見開く。


「うん! この深層大洞窟を通っていくと、白銀霊峰の裏側に広がる未開の地下文明や、山脈の脈穴を管理する古の診療所跡、さらには伝説の薬草が群生する秘密の地下庭園が存在するらしいの!」


ミモザの言葉に、枢の瞳がパッと輝いた。


「古の診療所跡に……伝説の薬草群生地ですか……! それは治療家として、見過ごすわけにはいきませんね」


「やっぱり食いついたな、先生! 珍しい薬草の話になると目が輝くのは相変わらずだぜ!」

ガストンがニヤリと笑い、戦斧を肩に担ぎ直す。


「ふふ、ガストンさん。薬草だけではありませんよ。金毒帝の残党や、山脈の異常によって今も地下深層で苦しんでいる人々や精霊たちがいるかもしれません。白銀霊峰の真の健康を取り戻すには、この深層ルートの往診が不可欠です!」

枢が力強く頷き、往診鞄を背負い直した。


「……賛成だ。我々の往診の旅は、まだ始まったばかりだからな」

哭も短剣の確かめを行いながら、静かな闘志を覗かせる。


「よしッ! 決まりね! ミモザちゃん、街の復興作業は大丈夫?」

ネネが優しく尋ねると、ミモザは胸を叩いて元気に答めた。


「うん! 大水車が動いて綺麗なお水が戻ったから、あとの修繕作業はあたしと街のからくり兵たちでバッチリやっておくよ! 枢先生たち、この深層ルートの地図の写しを持って行って!」


ミモザから羊皮紙の地図を受け取った枢は、仲間たちを振り返り、晴れやかな笑顔を向けた。


「みなさん、白銀霊峰の深層へと続く新たな冒険……そして往診の旅へ出発いたしましょう!」


「「「おうッ!!!!」」」


仲間たちの威勢の良い声が静かな洞窟内に響き渡り、往診チームは青白く輝く地下階段へと一歩を踏み出した。

第700話へと続く、白銀霊峰の未知なる深層を巡る大いなる物語が、今ここに幕を開けたのだった――!

 第635話をお読みいただき、ありがとうございました!


今回は白銀霊峰の核心部浄化による街の復興と、ミモザとの温かな絆、「白銀地脈・深層大洞窟」への新たなる旅立ちを描かせていただきました!


金毒帝を倒して終わりではなく、山脈の真の健やかさを取り戻すための「深層ルート」への冒険にワクワクしていただけましたら幸いです!


 さて、今回は作中で「激しい戦いを終え、緊張がほぐれてどっと疲労が湧き出たり、安堵感から身体がだるくなる状態」にちなみ、日常で「大きな仕事や試験が終わって一安心した途端にどっと疲れが出た、週末に緊張が切れて体が重くて動かない、気持ちはほっとしているのに身体の疲れが抜けない時」に、身体のエネルギー(気)を優しく補い、疲労を回復させる東洋医学の知恵をご紹介します!


 緊張が緩んだ時に強いだるさが出るのは、東洋医学では「緊張中にエネルギーを使い果たし、気虚ききょの状態になっている」ためと考えます。


そんな時におすすめなのが、お腹にある名穴**『関元かんげん』(いわゆる丹田)と、足の裏にある『湧泉ゆうせん』**です!


『関元』の場所は、おへそから指幅4本分真下にあがったところです。

ここを手のひら全体で覆うように温めたり、使い捨てカイロなどでじわーっと温めてあげると、失われた「原気(生命力の根本)」が補われ、身体の底からじんわりと元気が湧いてきます!


また、無理に活力を出そうと刺激の強い運動をするのではなく、作中で往診チームが美味しい水で息をついたように**「温かいスープや白湯を飲んで、ゆったりと深呼吸をする」**ことが何よりの養生になりますよ!

頑張った後の身体をしっかりと労わってあげてくださいね!


 次なる第636話は、本日**8月24日(月曜日)の夜【21:00】**に更新を予定しております!


深層大洞窟へと足を踏み入れた往診チーム! 幻想的な青氷の景色の中で出会ったのは、地脈の乱れによって「極度の寒暖差による気の乱れ(寒熱錯雑)」に苦しむ未知の地下種族で――!? 21時の更新をどうぞお楽しみに!

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