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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第八章:南海灼熱諸島と炎の熱邪(ねつじゃ)】

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第631話「極寒の氷穴!閉ざされし氷晶と寒痺の恐怖」

第一の試練「赤熱の脈穴」を見事に突破し、見事『赤熱の宝玉』を手に入れた往診チーム! 灼熱のマグマ地帯から一転、往診チームが足を踏み入れたのは、青白く凍りついた第二の試練――「凍てつく寒氷の脈穴」でした。足元を滑らせる永久氷床、肌を刺す吹雪、そして全身の筋肉を凍りつかせる激しい極寒の中、新たな試練とガーディアンが待ち受けていました。極限の寒さに打ち勝ち、伝説の針に一歩近づくことができるのか――!?

 ヒュゥゥゥゥ……と、耳を切り裂くような鋭い風切り音が洞窟内に吹き荒れていた。


 第一の試練を終え、次なる青い光を放つ通路を抜けた往診チームの視界に飛び込んできたのは、壁も床も天井もすべてが分厚い青氷で覆われた、途方もない広さの氷晶洞窟であった。


 「くっ……ひぁっ……!? さ、さっきの部屋と真逆じゃねえか……ッ! 寒すぎて息をするたびに鼻の奥が凍りつきそうだぞ……ッ!」

ガストンが両腕を抱え込み、ガタガタと歯の根を鳴らしながら身体を震わせる。


 「あ……足元がツルツル滑って……まっすぐ立てませんわ……ッ!」

ネネが滑りやすい氷の床に苦戦し、弓を杖代わりにしながら必死に体勢を保とうとするが、吐く息は真っ白に凍りついていた。


 「みなさん、立ち止まってはいけません! 足踏みをし、手足を意識的に動かして体内の陽気(温める力)を絶やさないようにしてください!」

鍼灸師・くるるがすばやく指示を出し、往診鞄から特製の温煦おんくアロマオイルを取り出した。


「急激な極寒によって体内の血行が収縮し、筋肉や関節が固まって激しい痛みを生じる『寒邪かんじゃ凝滞ぎょうたい』の状態です! これを放置すると手足の感覚が麻痺し、力が入らなくなります!」


枢は温熱効果の高い『肉桂にっけい』や『乾姜かんきょう』を配合したオイルを全員の首筋と手首、足首の関節周りに素早く塗布していく。


「お……おお……!? 塗られたところがじわーっと温かくなって、じんじん痺れてた手先の感覚が戻ってきたぜ……ッ!」

ガストンが両手の拳を握り締め、驚きの声をあげる。


「本当ですわ! 皮膚の表面にポカポカする幕が張られたみたいで、凍える風が当たっても冷たさを感じにくくなりました!」

ネネが顔色を取り戻し、笑顔を見せた。


「……だが、油断はできんぞ。この吹雪の奥……何かが動いている」

影の中から短剣を構えた哭が、吹雪の向こう側を鋭く見つめた。


氷煙を巻き上げながら、ドシン……ドシン……と重厚な氷の踏みつけ音が響いてくる。

そこに現れたのは、巨大な透明な氷の結晶で構成された、身の丈6メートルを超える氷の巨神『寒氷の晶角獣アイス・タイタン』であった!

両肩からは無数の氷のツララが突き出し、胸の奥には青白く怪しく光る『寒氷の宝玉』が埋め込まれている。


『試練ヲ受ける者ヨ……。我ガ極寒ノ静寂ヲ乱ス者ニ……永遠ノ眠りヲ授けん……!』


晶角獣が太い氷の腕を振り下ろすと、地面から猛烈な氷のアイス・スパイクが一斉に突き出し、往診チームへ向けて津波のように押し寄せてきた!


「危ないッ! 上へ跳んでくださいッ!」

枢が叫ぶ!


「踏み込みが滑るなら……跳び上がればいいだけだぁぁぁッ!」

ガストンが氷の床を豪快に蹴り上げ、空中へ高く跳び上がる!

ドカァァンッ!

足元の氷床が吹き飛び、鋭いツララの群れがガストンたちが先ほどまでいた場所を貫いた。


「ガストンさん、あの怪物は身体全体が強固な絶対零度の氷で覆われており、力任せの打撃では戦斧が弾かれて砕けてしまいます!」

枢が素早く晶角獣の構造を観察し、的確な分析を声を張り上げる。


「東洋医学における『寒則凝(寒ければすなわち凝る)』の理です! 冷え切って固まった氷の構造体には、一箇所に強い局所的な熱と衝撃を集中させ、亀裂を入れるのが最も有効です!」


「局所的な熱と衝撃だな! 了解だぜ、先生ッ!」

ガストンが空中から戦斧を構え直す。


「ネネさん! 晶角獣の足元、右膝の関節にある氷の繋ぎ目を狙ってください! そこに熱気を帯びた矢を打ち込めば、全体のバランスが崩れます!」


「任せてッ! この一矢に熱を込めるわ……! 穿熱の炎矢ッ!」

ネネが放った矢が、摩擦熱を帯びて真っ赤に輝きながら飛んでいき、晶角獣の右膝の氷の隙間へ寸分違わず突き刺さった!

メキメキメキッ!

急激な温度差によって氷の膝関節に大きな亀裂が走り、巨体がグラリと傾く!


「よしッ! 膝が砕けたぞ! 哭、上だッ!」


「……承知」

影のように跳躍した哭が、傾いた晶角獣の胸元へ一瞬で肉薄した!

二本の短剣の刃を擦り合わせ、火花を散らしながら胸の『寒氷の宝玉』の周りにある氷の装甲へ刃を突きたてる!

バキィィンッ!

表面を覆っていた極寒の氷膜が弾け飛び、青白く光る宝玉が露出した!


「今です、ガストンさん! 集中した一撃をあの宝玉へッ!」

枢が叫ぶ!


「おうよぁぁぁッ! 寒さに負けねえ俺たちの温かい魂……叩き込んでやるぜぇぇぇッ!」

ガストンが全身の血を滾らせ、戦斧に全パワーを注ぎ込む。

枢のアロマによって温められた体が最高のパフォーマンスを発揮し、空中から一直線に叩き下ろされた!


「豪力・氷砕大断裂撃ぃぃぃぃッ!!!!」


ドカァァァァァンッ!!!!


ガストンの戦斧が晶角獣の胸の宝玉を完璧に叩き砕いた!

眩い青い光が爆発的に広がり、巨大な氷の体躯は悲鳴を上げる暇もなく、綺麗な粉雪となって空中に散っていった。


それと同時に、洞窟を覆っていた吹き荒れる吹雪がピタリと止み、中央の台座に澄み切った青色に輝く『寒氷の宝玉』が静かに舞い降りたのだ。


「フゥ……ふぅ……! や……やりましたわね、ガストンさん!」

ネネが弓を抱えて駆け寄ってくる。


「へへっ、枢先生の温まるアロマがなきゃ、身体が固まって動けなかったぜ! サンキューな、先生!」

ガストンが白い息を吐きながら、ガハハと豪快に笑った。


「お見事でした、みなさん。これで第二の試練『寒氷の脈穴』もクリアです」

枢が宝玉を慎重に回収し、安堵の微笑みを浮かべる。


赤熱と寒氷――対極となる二つの試練を突破した往診チーム。

残る試練はただ一つ、二つの気が激しく混ざり合う難関、第三の試練「濁れる湿泥の脈穴」であった――!

第631話をお読みいただき、ありがとうございました!


今回第二の試練「寒氷の脈穴」での白熱した極寒バトルと、寒邪による手足の痺れに立ち向かうチームの連携を描かせていただきました!


枢先生の適切な温煦ケアと観察眼、そしてガストンさんたちのダイナミックな連携により、氷の巨神を撃破する爽快な展開を楽しんでいただけましたら幸いです!


 さて、今回は作中で「寒さによって手足や関節が凍りつき、動きが鈍くなる状態(寒邪・凝滞)」にちなみ、日常で「エアコンの風で手足が冷え切っている、冬場や寒い日に膝や腰が重痛い、冷えると体が固まって動きにくい時」に、身体を内側からじんわり温めて血行を良くする東洋医学の知恵をご紹介します!


 身体が冷えて凝り固まっている時は、東洋医学では「寒邪によって経絡(気の通り道)が縮んでいる」状態と考えます。


そんな時におすすめなのが、足の内くるぶしの上にある**『三陰交さんいんこう』**というツボです!

場所は、**足の内くるぶしの中心から、指幅4本分上にあがった骨のキワ(後ろ側の凹み)**です。

ここを手の親指で気持ちいいと感じる強さでじわーっと押したり、レッグウォーマーや使い捨てカイロなどで温めてあげるのが非常に効果的です!


作中で枢先生がオイルを使って手足を温めたように、ここを温めるだけで全身の血の巡りが良くなり、冷えによる関節の痛みがスッと和らいで体全体が動きやすくなりますよ!

冷房対策や冷え性にお悩みの方は、ぜひ日々のケアに取り入れてみてくださいね!


 次なる第632話は、本日**8月22日(土曜日)の夜【21:00】**に更新を予定しております!


残る最後の試練「濁れる湿泥の脈穴」へ挑む往診チーム! 激しい泥流と立ち込める湿気の中、三つの宝玉が揃う時、伝説の『天恵の霊針』がその姿を現して――!? 21時の更新をどうぞお楽しみに!

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