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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第八章:南海灼熱諸島と炎の熱邪(ねつじゃ)】

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第621話「霊峰の異変と眩暈!頭重・旋転と太衝の平肝」

『膻中』の刺鍼によって胸の重圧・息苦しさ・動悸を打ち払い、銀爪城の玉座の間で総統「金毒帝」の重装甲を粉砕した往診チーム! しかし、打倒したはずの金毒帝はあざ笑うかのように影へと消え、銀爪城の地下に眠る巨大な「金毒の真なる脈穴」が暴走を始めます。白銀霊峰全体を揺るがす地鳴りと過酷な寒気が往診チームを襲う中、連日の激闘と極限の緊張状態、さらに激しい疲労が重なったことで、ガストンたちに襲いかかったのは「激しいめまいと立ちくらみ、頭がぐるぐる回る感覚」でした! 8章の闘いは終わらない! 枢先生の冷静なる刺鍼と東洋医学の智慧が、グラつく身体と頭部の不調に挑みます!

 ドカァァァァンッ!


 ガストンの渾身の一撃によって金毒帝の重装甲が粉砕され、鬱血金毒陣は完全に破破された。

 しかし、砕け散った装甲の中から現れたのは金毒帝の本体ではなく、どろりとした黒い金毒の塊でできた傀儡くぐつに過ぎなかった。


 『フハハハ! 見事だ、往診チームの医者どもよ! だが、わしを倒したつもりでいるなら大間違いだぞッ!』


玉座の奥の暗がりから、金毒帝の不気味な高笑いが城内に響き渡る。


『この銀爪城の地下には、白銀霊峰の命脈であり、過酷な金毒の邪気が噴き出す「真なる金毒脈穴」が眠っている! 城の陣法が破られたことで、地下の金毒脈が一気に暴走を始めたのだ! 霊峰もろとも、山裾の村々まで毒の凍土と化して滅びるがいいッ!』


ゴゴゴゴゴゴ……ッ!!!!!


金毒帝の声が消え去ると同時に、銀爪城の床が激しく鳴動し始めた!

地下の亀裂から、これまでとは比べものにならないほど濃密な黄金色の毒気と、骨まで凍りつくような極寒の嵐が噴き出し、銀爪城のみならず白銀霊峰全体を揺らし始める。


「な……なんですって!? まだ本当の首謀者と、毒の源流が地下に残っていたというのですか……!?」

ネネが弓を構え直し、激しく揺れる床に必死で耐える。


「くそッ、どこまでも往生際の悪い奴め! 地下に降りて、その脈穴ごとなぎ倒してやるぜッ!」

ガストンが戦斧を固く握り締め、城の地下へと繋がる階段へ駆け出そうとした――その瞬間であった。


金毒帝を追い詰めたという安堵感からの急激な緊張の糸の切れ、これまでの連戦による酷使、そして地下から噴き出す禍々しい邪気によって「肝気かんき」が暴走して爆発した。


ガストン、ネネ、哭たちの視界が突如としてぐにゃりと大きく歪み、周囲の壁や床、天地のすべてが猛烈な勢いでぐるぐる回転し始めたのだ!


「お……おっとっと……!? な、なんだぁ……!? 地面が急に斜めに回転して……世界がぐるぐる回ってやがる……ッ! 立ち上がっていられねぇ……ッ!」

ガストンが頭を押さえ、まるで激しく酔っ払ったかのように千鳥足になり、その場にどんと膝をついた。


「きゃっ……!? あ、頭の奥がズキズキ重くて……空間がぐらぐら揺れているわ……ッ! 吐き気がして……目を開けていられない……ッ!」

ネネもまた額を押さえ、激しい立ちくらみと回転性のめまいに襲われて崩れ落ちる。


「……皆さん、焦って動こうとせず、頭を低くして目を閉じてください……! これは極限状態から急激に解き放たれたことと邪気の重圧により、抑圧されていた『かん』の気が頭部へ一気に突き上がった『肝陽上亢かんようじょうこう頭眩目眩とうげんもくげん』です!」


くるるがすばやくガストンとネネの腕を取り、脈を診る。

両関(手首の脈診部位で肝胆を診る場所)の脈が弦硬(げんこう・弓の弦のようにピンと張り詰めて硬い脈)を呈しており、顔面にはフラッシュしたような微熱と赤みが差していた。


「東洋医学において『肝は昇発(エネルギーを上や外へ広げる働き)を主どり、気を全身にスムーズに巡らせる』役割を担っています! しかし、長期間の極度の緊張、怒り、ストレス、過労が続くと、肝のエネルギーがコントロールを失って爆発し、頭部へ向かって津波のように激しく上逆します。これが**『頭がぐるぐる回る激しいめまい、立ちくらみ、頭の重怠さ・のぼせ、耳鳴り、イライラ、目の奥の痛み』**を引き起こす原因なのです!」


「ヒッヒッヒ……! 崩壊する城の中で、めまいに苦しんで自滅するがいいッ!」


崩れかける玉座の陰から、金毒帝が放った地下護衛の刺客「金毒の陰刃いんじん」たちが、毒塗りの投げナイフを構えて躍り出た!


「地下の脈穴へは一歩も通さん! めまいで立つことすらできぬ無防備な貴様らを、ここで全員惨殺してくれるわッ!」

陰刃たちが毒ナイフを一斉に放ち、動けないガストンたちへ狙いを定める!


「くそっ……! 身体を起こそうとすると……天地がひっくり返りそうだ……ッ! 目が回って……斧が構えられねぇ……ッ!」

ガストンが歯を食いしばるが、猛烈なめまいと頭重感により、身体のバランスが全く取れない。


「……相棒! 足の甲にある『肝の暴走を鎮める名穴』を叩けッ! 上がった気を足元へ引き降ろせば……地下への道を開くことができるッ!」

隠密・コクが自らのぐらつく視界に耐えながら、短剣を構えて陰刃のナイフを必死の思いで弾き返す!


「任せてください、哭さん! 肝経の原穴を刺鍼し、頭部に暴走した肝気を一気に引き降ろします!」

枢の手が往診鞄から取り出したのは、上逆した肝気を鎮め平穏を取り戻す「平肝潜陽へいかんせんよう清利頭目せいりとうもく極上銀細鍼」であった!


「ハク、リナ! 頭部の熱と亢進した気を鎮め、めまいをスッと和らげる『菊花きくか』と『決明子けつめいし』の平肝清目アロマを、全員の足元へ広範囲に全開照射しなさい!」

「了解です枢先生! 平肝清目アロマ、足元へ全開照射ッ!!」


爽やかで清涼感あふれるお花と生薬の香りが足元を包み込み、頭に血が上っていた熱感が静かに下がり始める!


「足の足厥陰の脈よ、暴走せし肝気を鎮め、天地の平穏を取り戻したまえッ! 足の厥陰肝経の輸穴・原穴……解放ッ!!」

シュパッ! シュパッ! シュパッ――!!


枢の手から放たれた銀鍼が、苦しむガストン、ネネ、哭、ハク、リナ、そして自らの**「足の甲で、足の親指と人差し指の骨が交わる(合流する)手前の凹み」**へ、寸分の狂いもなく的確に打ち込まれた!

打ち込まれたのは、肝臓の気が直接注ぎ込む原穴であり、めまい、立ちくらみ、頭痛、のぼせ、ストレスによるイライラ、高血圧を即座に鎮める東洋医学至高の肝臓特効穴――『太衝たいしょう』!


ジュワァァァァァァッ!!!!!


「――つ……おおおぉぉぉぉッ!?!? 頭の中で猛烈にぐるぐる回っていた旋風が……足の先へスーッと吸い込まれるように消えていくぞ……ッ!」

ガストンが目を見開き、ぐらついていた軸をしっかりと戻して力強く地に足をつけた!


「世界がピタッと止まったわ! 頭の重さと視界のチラつきが消えて、頭がスーッと涼しくなった……ッ!」

ネネがパッと目を大きく見開き、力強く弓を引き絞る!


「『太衝』は、足の厥陰肝経そくのけついんかんけいに所属する原穴げんけつであり、肝の機能をコントロールする最重要穴です! 東洋医学において『太衝は肝気を平らげ、頭目を清らかにする』とされ、ストレスや緊張の反動で頭部に暴走した肝気を足元へ引き降ろし、激しいめまい、立ちくらみ、頭重感、目の奥の痛み、イライラ、自律神経の乱れを劇的に鎮める絶対の平肝・潜陽名穴なのです!」


枢が力強く指を突き出す!


「な……何だとぉぉぉッ!? 旋風のごとき激しいめまいと立ちくらみが、足の甲のツボ一つで完全に静められたというのかぁぁぁッ!?」

陰刃たちが驚愕し、武器を持つ手を激しく震わせる。


「ガストンさん、ネネさん! 視界を取り戻したその目と足で、地下への道を切り開きましょう!」

「おうよッ! 視界がくっきり見えて気分最高だぜぇぇぇッ! 邪魔する奴らは全員吹き飛びやがれッ!」

ガストンが戦斧を豪快に振り抜き、全身から溢れ出る爽快な陽気を爆発させた!


「豪力・絆の太刀割り――平肝清爽一閃断ッ!!!!」


ドカァァァァァァァンッ!!!!!!!!


ガストンの一撃が放った黄金の衝撃波が、陰刃たちを一網打尽に吹き飛ばし、銀爪城の地下へと通じる漆黒の大階段を押し開いた!


「よし、道が開けました! 白銀霊峰の命脈を救い、金毒帝の野望を今度こそ完全に打ち砕くため、地下の『金毒脈穴』へ突入します!」

「おうッ! どこまでもついていくぜ、枢先生!」


めまいを克服し、一段と絆を深めた往診チーム。一行は暴走するエネルギーが渦巻く銀爪城の地下深層部へと、決意も新たに足を踏み出すのだった――!

 第621話をお読みいただき、ありがとうございました!


金毒帝の罠によって銀爪城の地下「金毒脈穴」が暴走を始め、さらなる激闘へと突入する中、気の暴走で激しいめまい(回転性めまい・立ちくらみ)や頭重感に襲われたガストンさんたちを、枢先生が『太衝たいしょう』の刺鍼で見事に救い出しました!


 さて、今回は作中で枢先生がガストンさんたちのめまいや立ちくらみを解消した「肝陽上亢・頭眩目眩(肝の気が頭部に暴走してめまいや立ちくらみを引き起こす病態)」の病理に基づき、日常で「急に立ち上がるとクラッとする(立ちくらみ)、頭や周囲がぐるぐる回る感じがする、ストレスやイライラで頭に血が上る・のぼせる、頭が重くて目の奥が痛む、足元がフワフワ浮くような感じがする時」に、上逆した気を足元へスッと引き降ろして頭と視界をスッキリさせてくれる絶対の名穴をご紹介します。


 今回登場した『太衝たいしょう』は、足の甲にあり、足の親指と人差し指の骨の間をなぞっていくと、骨と骨が合流する(ぶつかって止まる)手前の凹みにあります。押すと少しジーンと響く場所です。


 東洋医学において『太衝』は、ストレスや自律神経の乱れによって暴走した「かん」のエネルギーを静め、全身の気血の流れを平ら整える最重要穴です。頭部に集まった余分な熱や気を足元へ引き降ろすことで、めまい、のぼせ、頭痛、イライラを速やかに解消してくれます。


 ケアする場合は、親指の腹を『太衝』に当て、かかとに向かって押し込むように痛気持ちいい強さで5秒間じわーっと押します。これを息をゆっくり吐きながら左右5回ずつ試してみてください!

頭の熱感がスーッと引いて、目と頭が驚くほど爽やかになり、地に足がついた安心感が戻ってきますよ!


 次なる第622話は、本日**8月17日(月曜日)の夜【21:00】**に更新を予定しております!


銀爪城の地下深部「金毒脈穴」への突入! 立ち込める未知の毒気と、往診チームを待ち受ける新たな試練とは――!? 21時の更新をどうぞお楽しみに!

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