第622話「地下脈穴の熱湿!激痒・発疹と曲池の清熱」
『太衝』の刺鍼によってめまいと立ちくらみを完全克服し、銀爪城地下へと通じる大階段を突き進む往診チーム! しかし、崩壊しかける城の地下深層部「金毒脈穴」へと降り立った一行を待ち受けていたのは、脈穴から吹き出す濃縮された純粋な金毒の熱風と、閉ざされた地下空間による強烈な湿気でした。逃げ場のない地下の熱湿気によって、ガストンたちの体内に過酷な熱がこもり、全身の皮膚に激しい痒みと赤み、熱感(湿疹・蕁麻疹)が噴出し始めます! 痒みで身をよじる仲間たちを救うため、枢先生の閃く銀鍼と東洋医学の智慧が、体内に渦巻く熱と湿気に挑みます!
グラグラと揺れ続ける銀爪城の地下大階段を駆け下りると、往診チームの視界に飛び込んできたのは、赤黒く不気味な光を放つ巨大な地下空洞であった。
空洞の中央には、白銀霊峰の地下深くを流れる大脈穴が広がっており、そこからドロリとした濃縮金毒の泥流と、肌を焼くような熱湿気が絶え間なく噴き出している。
「くっ……! なんという不快な空気だ……ッ! 外の極寒とは打って変わって、ここは蒸し風呂のように蒸し暑く、毒気の熱風が肌にまとわりついてきやがる……ッ!」
ガストンが戦斧を構え、汗の吹き出す額をぬぐいながら周囲を警戒する。
「ええ……! 地下の壁面全体から金毒の熱と湿気がにじみ出ていますわ。枢先生、あそこの中央に湧き出ているのが『金毒脈穴』ですわね!」
ネネが指差す先では、脈穴の中心から巨大な黄金の結晶が蠢き、霊峰全体の毒気を支配していた。
しかし、地下の過酷な熱湿気に晒され続けたことで、往診チームの体内に「熱」と「湿気」が急速に溜まり始めた。
次の瞬間――ガストン、ネネ、哭、ハク、リナたちの腕や首筋、背中に、まるで火をつけられたかのような激しい熱感と、耐え難い猛烈な痒みが一気に吹き出した!
「ぐあああっ……!? な、なんだぁ……!? 腕や首が猛烈に熱くて……痒くて痒くてたまらねぇ……ッ! かゆい、かゆすぎる……ッ!」
ガストンが戦斧を投げ出し、両手で腕や首筋を激しくかきむしり始めた。皮膚には瞬く間に真っ赤な発疹と蕁麻疹が広がり、ミミズ腫れのように大きく腫れ上がっていく。
「きゃあああッ……!? 背中やお腹まで火がつくみたいに痒いわ……ッ! かいてもかくほど痒みが広がる……ッ! 助けて、枢先生……ッ!」
ネネもまた弓を取り落とし、皮膚の激しい熱感と掻痒感に涙を浮かべてその場に身をよじらせる。
「……皆さん、爪を立てて皮膚をかかないでください! 傷口からさらに毒気が入ってしまいます! これは過酷な地下の熱と湿気が皮膚の毛孔(毛穴)を塞ぎ、体内に鬱熱がこもった『風湿熱邪・皮膚掻痒』です!」
枢がすばやくガストンとネネの腕の皮膚を検分する。
発疹は鮮紅色で熱感を帯びており、脈を診ると数滑(さくかつ・脈拍が速く、水分と熱が滞っている脈)を呈し、舌には黄色く粘り気のある舌苔が付着していた。
「東洋医学において『皮膚は肺が主どり、外部の環境と気を通わせる防衛の壁』とされています! しかし、高熱と強い湿気(湿熱)が皮膚の表面に停滞すると、気血の流れが閉塞して激しい熱を生み出します。これが**『猛烈な皮膚の痒み、真っ赤な発疹や蕁麻疹、熱感、かくと滲出液が出る、イライラしてじっとしていられない』**という激しい皮膚症状を引き起こすのです! すぐに体内の血熱を冷まし、湿気を追い散らさなければ炎症が全身に広がります!」
「クハハハ! 苦しかろう、往診チームめッ!」
赤黒い脈穴の影から、金毒帝の手下である毒虫使い「金毒の百足爪」が、無数の黄金の毒ムカデを従えて姿を現した!
「この脈穴の熱湿気は我が毒ムカデの毒腺を刺激し、人間の血を沸騰させて皮膚を腐らせる! 全身をかきむしり、自分の爪で血みどろになって死ぬがいいッ!」
百足爪が笛を吹くと、無数の毒ムカデが熱風に乗ってガストンたちへ群がり始める!
「くそっ……! 身体中が痒くて熱くて……斧を握ることすらできねぇ……ッ! かきむしりたい……ッ!」
ガストンが激しい皮膚の痒みに耐え兼ね、血が出るほど皮膚を強く叩いて身を悶えさせる。
「……相棒! 肘の『熱と毒を清める名穴』を叩けッ! 血の熱を冷ませば……このような毒虫など一瞬で焼き払えるッ!」
隠密・哭が自らの首筋の発疹と激痒に耐えながら、短剣を振るって迫り来る毒ムカデを命がけで防ぎ止める!
「任せてください、哭さん! 大腸経の合穴を刺鍼し、体内に充満した熱と湿気を一気に清涼化します!」
枢の手が往診鞄から取り出したのは、血熱を冷まし熱毒を速やかに解毒する「清熱解毒・祛風止痒極上銀細鍼」であった!
「ハク、リナ! 皮膚の熱感を鎮め、激しい痒みをスッと消し去る『金銀花』と『薄荷』の清熱止痒アロマを、全員の皮膚へ広範囲に全開照射しなさい!」
「了解です枢先生! 清熱止痒アロマ、全開照射ッ!!」
ひんやりと冷たく爽快なハーブと生薬の香りが肌を優しく包み込み、皮膚の燃えるような熱感がスーッと引き始める!
「手の大腸の脈よ、体内にこもりし熱毒を清め、皮膚の平穏を取り戻したまえッ! 手の陽明大腸経の合穴・土穴……解放ッ!!」
シュパッ! シュパッ! シュパッ――!!
枢の手から放たれた銀鍼が、苦しむガストン、ネネ、哭、ハク、リナ、そして自らの**「肘をまげた時にできるひじの内側の横シワ(肘横紋)の外側の端と、肘の外側の骨の出っ張りの中間にある凹み」**へ、寸分の狂いもなく的確に打ち込まれた!
打ち込まれたのは、体内のあらゆる熱を強力に冷まし、皮膚病、湿疹、蕁麻疹、アトピー、高熱、便秘を即座に鎮める東洋医学至高の清熱・解毒特効穴――『曲池』!
ジュワァァァァァァッ!!!!!
「――つ……あぁぁぁぁぁぁぁッ!?!? 身体中で燃え上がっていた猛烈な痒みと火照りが……冷たい氷水をかけられたみたいにスーッと消えていくぞ……ッ!」
ガストンが目を見開き、赤みが引いてすべすべに戻った自分の腕を見つめながら力強く立ち上がった!
「赤く腫れていた発疹と痒みが完全に消えたわ! 皮膚がすーっと冷たくなって、身体がすごく軽い……ッ!」
ネネが皮膚を撫で下ろし、爽快な笑顔で弓を力強く引き絞る!
「『曲池』は、手の陽明大腸経に所属する合穴であり、全身の熱を清める『清熱の要穴』です! 東洋医学において大腸経は皮膚と密接に関わる『肺』と表裏関係にあり、ここに強力な刺鍼を行うことで、体内にこもった熱毒と湿気を便や尿とともに体外へ排出し、湿疹、蕁麻疹、皮膚の痒み、ニキビ、赤み、高熱を劇的に鎮める絶対の清熱・止痒名穴なのです!」
枢が力強く指を突き出す!
「な……何だとぉぉぉッ!? 我が熱湿の毒気と毒ムカデの熱病が、肘のツボ一つで完全に打ち払われたというのかぁぁぁッ!?」
百足爪が驚愕に顔を歪め、後退る。
「ガストンさん、ネネさん! 爽快感を取り戻したその身体で、地下の病魔を退治しましょう!」
「おうよッ! 痒みが消えて肌がすべすべだぜぇぇぇッ! 毒ムカデごと吹き飛びやがれッ!」
ガストンが戦斧に青白い清涼な気を纏わせ、豪快に一閃させた!
「豪力・絆の太刀割り――清熱爆砕・涼風断ッ!!!!」
ドカァァァァァァァンッ!!!!!!!!
ガストンの一撃が放った冷涼な衝撃波が、群がり寄る毒ムカデと百足爪を一網打尽に吹き飛ばした!
「よし、障害は排除しました。ですが……この『金毒脈穴』の根源を絶たねば、霊峰の異変は収まりません!」
皮膚の不調を克服した往診チーム。一行はさらなる過酷な試練が待つ脈穴の最深部へと、一歩一歩着実に進んでいくのだった――!
第622話をお読みいただき、ありがとうございました!
銀爪城の地下深層部「金毒脈穴」の蒸し暑い熱湿気によって、全身の激しい皮膚の痒み、赤み、発疹(風湿熱邪・皮膚掻痒)に襲われたガストンさんたちを、枢先生が『曲池』の刺鍼で見事に救い出し、清涼な気で敵を撃破する展開をお届けいたしました!
さて、今回は作中で枢先生がガストンさんたちの皮膚の痒みや熱感を解消した「風湿熱邪・皮膚掻痒(体内にこもった熱と湿気によって皮膚に激しい痒みや発疹が出る病態)」の病理に基づき、日常で「あせもや湿疹で皮膚が痒い、アトピーや蕁麻疹で肌が真っ赤に火照る、暑さやストレスで肌荒れ・ニキビができる、風邪で高熱が出ている、肘や肩が痛む時」に、体内の熱を清めて皮膚の炎症と痒みをスッと鎮めてくれる絶対の名穴をご紹介します。
今回登場した『曲池』は、肘を直角に曲げた時にできる肘の内側のシワの端(親指側の端)と、肘の外側の骨の出っ張りのちょうど中間にある凹みにあります。押すとジーンと強い響きがある場所です。
東洋医学において『曲池』は、体内のあらゆる「熱」を冷ます最強の清熱穴であり、皮膚病治療には欠かせない名穴です。血熱を冷まし、湿気を追い散らすことで、アレルギー症状や激しい痒み、赤みを即座に和らげてくれます。
ケアする場合は、反対側の親指の腹を『曲池』に当て、肘の骨に向かって押し込むように痛気持ちいい強さで5秒間じわーっと押します。これを息をゆっくり吐きながら左右5回ずつ試してみてください!
肌の火照りがスーッと引き、痒みがすーっと落ち着いて皮膚が涼しくなってきますよ!
次なる第623話は、明日**8月18日(火曜日)のお昼【12:00】**に更新を予定しております!
金毒脈穴の最深部で蠢く「真の金毒脈」! 往診チームを待ち受ける未知の病邪とは――!? 12時の更新をどうぞお楽しみに!




