第614話「地脈の覚醒!極寒の関節痛と陽陵泉の舒筋」
背部輸穴の名穴『肺兪』の刺鍼によって胸のつまりと呼吸困難を克服し、崩落した岩盤を打ち破って脱出口を切り開いた往診チーム。しかし、ガストンの豪快な一撃によって岩盤が粉砕された拍子に、旧鉱道のさらに深部に眠っていた「古代金毒地脈」の封印が破れてしまいます。そこから噴き出したのは、通常の金毒を遥かに凌駕する極寒の「金毒重寒気」。チーム全体を襲う過酷な関節の激痛と全身の強張り! 八章の熱闘は終わらない! 枢先生の冷静なる刺鍼と温かな気が、全身の関節麻痺に挑みます!
ガストンの戦斧が叩きつけた爆発的な衝撃波によって、崩落した旧鉱道の壁面が大きく崩れ去った。
眩しい外光が差し込み、一同が安堵の息を漏らそうとしたまさにその瞬間――地底のさらに深くから、地鳴りとも咆哮ともつかぬ重低音が響き渡った。
ゴゴゴゴゴゴゴッ……バリバリバリッ!!!!!
「な、なんだ……!? 外からの光が開けたってのに、足元から地響きが止まらねぇぞ……ッ!」
ガストンが戦斧を構え直し、激しく振動する足元の岩盤を睨みつける。
崩れ落ちた岩肌の亀裂から噴き出してきたのは、青白く不気味に光る、液体のようにドロリとした「古代金毒重寒気」であった!
それは白銀霊峰の最深部に数百年にわたって封印されていた、超高濃度の重金属微粉末と太古の氷解水が混ざり合った高密度の邪気であった。
重寒気が床一面を這うように広がり、往診チームの足元を包み込んだ瞬間――全員の脚の関節に、まるで万力で骨を直接へし折られるかのような激痛が走った!
「ぐあぁぁぁぁぁッ!? ひ、膝と足首が……ッ!? 関節の間にボルトとナッツを力任せに叩き込まれたみたいに固まって……動かねぇぇぇッ!」
ガストンが両膝を抱え込み、苦悶の表情で地面に崩れ落ちた。筋肉と腱がカチカチに引きつり、激しい痙攣を起こしている。
「くっ……! 手首や肘の関節まで強張って……弓の弦を引き絞ることができないわ……ッ! 動かそうとすると、激痛で筋が引き千切れそう……ッ!」
ネネもまた、弓を落として肘と膝を押さえ、激しい痛みと引きつりに耐えかねて涙を浮かべる。
「……皆さん、無理に関節を曲げ伸ばししないでください……! これは古代地脈から噴出させた重寒気が経筋(けいきん・筋肉や腱の巡り)に直接侵入した『寒湿痺症・筋脈拘急』です!」
枢がすばやくガストンとネネの膝や肘の関節に触れる。
関節の周囲は凍りついたように冷たく硬化しており、腱(筋)が突っ張ってピーンと一本の弦のように張り詰めていた。
「東洋医学において『肝は筋を司り、肘や膝などの関節運動はすべて筋(腱)の柔軟性によって保持される』とされています! 重く冷たい『寒湿の邪気』が関節の筋脈に直接溜まると、筋の血流が途絶えて硬化し、**『筋が縮んで伸ばせない、あるいは突っ張って曲げられない』**という激しい筋脈拘急(筋肉・腱の引きつり痛)を引き起こします! すぐに関節の筋を和らげ、通気を良くしなければ、二度と関節が動かなくなってしまいます!」
「キィィィハハハハ! 終わりだ、往診チームどもッ!」
崩れかけた天井の影から、金剛の側近であった銀爪会密偵「銀影の双爪」が、両手に備えた長爪を交差させながら躍り出た!
「古代金毒地脈の重寒気を浴びて、筋が硬化した貴様らはただの置物だ! 骨ごと切り刻んで、地脈の贄としてくれるッ!」
双爪がカマキリのような素早い動きで跳躍し、動けなくなったガストンとネネの首元へ向けて鋭い爪を振り下ろす!
「くそっ……! 動け……俺の足ッ! 動いてくれぇぇぇッ!」
ガストンが必死に力を込めようとするが、膝の筋がカチカチに強張って身動きが取れない。
「……相棒! 膝の『筋の要穴』を叩けッ! 筋が緩めば……あのような手負いの刺客など、一瞬で叩き潰せるッ!」
隠密・哭が腕の筋の引きつりに耐えながら、短剣を投擲して双爪の長爪を間一髪で弾き飛ばす!
「任せてください、哭さん! 全身の筋と関節を統括する筋会の名穴を刺激し、拘急した筋脈を一気に弛緩・和らげます!」
枢の手が往診鞄から取り出したのは、しなやかな弾力をもつ最高級の「舒筋和絡・筋会開通純銀柔鍼」であった!
「ハク、リナ! 筋肉と腱の強張りを和らげ、寒気による痛みを和らげる『伸筋草』と『威霊仙』の舒筋通絡アロマを、全員の膝と肘の関節へ集中噴霧しなさい!」
「了解です枢先生! 舒筋通絡アロマ、全関節へ全開噴射ッ!!」
甘く温かな生薬の香りが包み込み、硬く突っ張っていた膝や肘の腱がじんわりと解れ始める!
「全身の筋を統括する筋会よ、固まりし拘急を解き放ち滑らかとなれッ! 足の少陽胆経の合穴・八会穴の筋会……解放ッ!!」
シュパッ! シュパッ! シュパッ――!!
枢の手から放たれた銀鍼が、苦しむガストン、ネネ、哭、ハク、リナ、そして自らの**「膝の外側少し下にある、小さく丸く出っ張った骨(腓骨頭)のすぐ前下側にある凹み」へ、寸分の狂いもなく的確に打ち込まれた!
打ち込まれたのは、全身の筋肉・腱・関節のトラブルをすべて統括する八会穴の一つであり、関節の激痛と引きつりを劇的に解きほぐす至高の筋病特効穴――『陽陵泉』!
ジュワァァァァァァッ!!!!!
「――つ……あぁぁぁぁぁぁぁッ!?!? 鉄板みたいに固まっていた膝の裏の筋が……すーっとお湯に浸けたみたいに柔らかくなったぞ……ッ!?」
ガストンが目を見開き、カチカチだった両膝をスムーズに曲げ伸ばししながら勢いよく立ち上がった!
「手首や肘の激痛と引きつりが消えたわ! 関節が滑らかに動いて、弓が自在に引ける……ッ!」
ネネが軽やかに跳ね起き、力強く弓を引き絞る!
「『陽陵泉』は、足の少陽胆経に所属する合穴であり、全身の『筋』が集まり統括する『八会穴の筋会』です! 東洋医学において『筋の病はすべて陽陵泉に求めよ』**と称され、関節の激痛、筋肉の引きつり(こむら返り)、神経痛、運動麻痺、足膝の重怠さを即座に和らげ、柔軟で滑らかな動きを取り戻す絶対の舒筋名穴です!」
枢が力強く指を突き出す!
「な……何だとぉぉぉッ!? 古代地脈の重寒気による筋の硬化が、膝のツボ一つで完全に解除されたというのかぁぁぁッ!?」
双爪が驚愕し、長爪を構えてたじろぐ。
「ガストンさん、今です! 滑らかさを取り戻したその足で、地脈の暴走を食い止めましょう!」
「おうよッ! 関節がヌルヌル動いて最高に軽いぜぇぇぇッ! カマキリ野郎、まとめて吹き飛びやがれッ!」
ガストンが地面を強く蹴り上げ、しなやかな動作で巨大な戦斧を黄金の気とともに一閃させた!
「豪力・絆の太刀割り――舒筋爆砕断ッ!!!!」
ドカァァァァァァァンッ!!!!!!!!
ガストンの一撃が双爪を粉砕し、地脈の亀裂を岩盤ごと力任せに押し潰して閉ざした!
古代の重寒気の噴出がピタリと止まり、旧鉱道に静寂が戻る。
「ふぅ……これで地脈の重寒気も沈静化しましたね」
枢が静かに鍼を納め、息を整える。
往診チームはついに崩落した旧鉱道を脱出し、白銀霊峰の明るい山肌へと足を踏み出したのだった。しかし、彼らの前に現れたのは、さらなる試練の予感であった――!
第614話をお読みいただき、ありがとうございました!
崩落した旧鉱道の奥から噴出した古代金毒重寒気によって、激しい関節痛と筋肉・腱の引きつり(筋脈拘急)に苦しむガストンさんたちを、枢先生が『陽陵泉』の刺鍼で見事に救い出し、地脈の暴走を抑え込んで脱出を果たす熱い展開をお届けいたしました。
さて、今回は作中で枢先生がガストンさんたちの関節痛や筋の引きつりを解消した「寒湿痺症・筋脈拘急(冷えや湿気によって筋肉や腱が固まり激痛が走る病態)」の病理に基づき、日常で「運動中や就寝中に足がつる(こむら返り)、膝や肘の関節が痛くてスムーズに曲げ伸ばしできない、正座の後に脚が痺れて激痛が走る、五十肩や関節痛で身体が硬い時」に、全身の筋を解きほぐして関節の動きを劇的に滑らかにしてくれる絶対の名穴をご紹介します。
今回登場した『陽陵泉』は、膝の外側少し下にある、小さく丸く出っ張った骨(腓骨頭)を探し、その骨のすぐ前下側にある凹みにあります。
東洋医学において『陽陵泉』は、全身の筋肉や腱を統括する「八会穴の筋会」であり、筋・関節トラブルにおける第一選択穴です。冷えや疲労によってカチカチに緊張した筋を緩め、関節内の巡りを改善して激痛や引きつりをスッと和らげてくれます。
ケアする場合は、親指の腹を『陽陵泉』の凹みに当て、骨のキワに向かって痛気持ちいい強さで5秒間じわーっと垂直に押し込みます。これを息をゆっくり吐きながら左右5回ずつ試してみてください!
膝や足元の張りがスーッとほぐれ、関節が驚くほど滑らかに動くようになりますよ!
次なる第615話は、明日**8月14日(金曜日)のお昼【12:00】**に更新を予定しております!
白銀霊峰を無事に救い出した往診チームを待ち受ける新たな往診依頼! 12時の更新をどうぞお楽しみに!




