表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第八章:南海灼熱諸島と炎の熱邪(ねつじゃ)】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

601/629

第601話「噴火口の陰謀!紅蓮の咽喉痛と少商の清利」

前回の激闘で、心包経の原穴『大陵』の刺鍼によって心火の熱邪を鎮め、大魔獣「炎頭鬼」を見事に打ち砕いた往診チーム。しかし、崩れ去った魔獣の残骸から噴き出したのは、島全体のマグマ脈を活性化させる恐ろしい黒煙でした。黒穴会残党「炎血衆」の背後に潜む真の脅威、そして高熱と激しい咽頭痛(のどの灼熱痛)に倒れる島民たちを救うため、枢先生の新たな治癒の鍼が閃きます!

 ドゴォォォォォン……ッ!


 大魔獣・炎頭鬼が砕け散った港の石畳から、漆黒の極太の煙柱が天空へと凄まじい勢いで昇りつめていく。

その黒煙は上空数百メートルの高空で渦を巻き、南海灼熱諸島の全域を覆う不気味で重苦しい暗雲へと瞬く間に姿を変えていった。


 「は……ははは! 炎頭鬼様を倒したところで、もう何もかも遅いのだ! これで『炎帝えんてい』様の復活儀式に必要な大量の熱エネルギーは、火山の最深部へと完全に注ぎ込まれたぁぁぁッ!」

崩れた建物のかげから這い出してきた炎血衆の残党たちが、口から血を流しながら狂ったように高笑いを上げる。


 「何だと……!? 炎帝だと……!? まだそんな親玉が後ろに控えとったんかッ!」

ガストンが巨大な戦斧をショルダーホルスターに収め、額から吹き出す汗を太い腕で乱暴に拭いながら身構えた。


 「……くっ! 煙とともに、大気に凄まじい毒性と熱気を帯びた『微細な火山灰と熱邪』が散乱しています……! 皆さん、絶対に直接息を吸い込んではいけません! 口元を覆うのです!」

往診鞄から清潔な白布をすばやく取り出したくるるが、自らの口元を深く覆いながら、周囲の仲間と避難しようとしている島民たちへ向かって切迫した警告を発した。


しかし、異変の進行は往診チームの予想を遥かに超えて早かった。

空から降ってくる微細な赤黒い灰が港町全体を薄暗く染め上げた瞬間、吸い込んだ警備兵や避難していた島民たちが、一斉に両手で首元を掻きむしりながら、その場へ次々と崩れ落ちていったのである。


「うぐぁぁぁぁッ!? の……のどが……ッ! のどが真っ赤に熱せられた鉄の棒を押し付けられたみたいに熱くて痛ぇぇぇッ!」

「息が……息が吸えない……! まるでのどの奥が固く塞がって、火の粉を直接飲み込まされているみたいだぁぁぁッ!」


「これは酷い……ッ! のど(咽頭部)が異常な速さで腫れ上がり、呼吸の通り道が完全に狭窄しています!」

ネネが瞬時に駆け寄り、苦しみに悶える幼い少年の背中を優しく擦るが、少年は高熱と激しい咽頭痛のあまり、すでに声すら出すことができず、白目を剥いて激しく痙攣していた。


「……肺は『天の気(酸素)』を全身に取り込む呼吸の要。そして咽喉のどは、その肺に通じる唯一の門戸(入口)です! この猛烈な火山灰と熱邪が直接咽喉に付着し、肺経の熱毒となって激しい腫脹はれと劇痛を引き起こしています……! いわゆる『肺熱はいねつによる劇烈なる咽喉腫痛いんこうしゅつう』です!」


枢の顔に、これまでにない厳しい緊張が走る。

のどの腫れがこれ以上進行すれば、気道が完全に閉塞し、わずか数分で窒息死に至る危険性が極めて高かった。


「……相棒! 噴火口で悪だくみをしている黒穴会の残党どもは、俺とガストンで食い止める! お前はここで苦しむ全員の息の通り道を確保してやってくれッ!」

隠密・コクが白銀の気を全身に纏い、短剣を握り直して、足元の石畳を蹴り爆発的な速度で噴火口へと続く登攀路へ跳び出した!


「任せました、哭さん! ……皆さん、苦しいでしょうがもう少しだけ耐えてください! 肺の熱毒を即座に体外へ放散させ、閉塞したのどを一瞬で開通させる『肺経の至高井穴』を開放します!」

枢が往診鞄の最深部に格納されていた特製ケースから、一筋の光を放つ極細の純銀製三稜鍼さんりょうしんを取り出した!


「ハク、リナ! 肺の熱を強力に冷まし、のどの渇きと痛みを急速に鎮める『桔梗ききょう』と『板藍根ばんらんこん』の利咽清熱りいんせいねつアロマを、全員の首元と胸元へ広域集中噴霧しなさい!」

「了解です枢先生! 利咽清熱アロマ、広域全開噴霧ッ!!」


清涼感あふれる薬草の香りが広がり、焼けつくようなのどの痛みがわずかに和らぎ始める!


「肺の熱邪よ、指先より解き放たれよッ! 点刺清熱てんしせいねつ――!!」

シュパッ! シュパッ! シュパッ! シュパッ――!!


枢の手から放たれた銀鍼が、苦しむ島民たちや警備兵たちの**「手の親指の爪の生え際、外側(人差し指と反対側)の角からわずかに離れた凹み」へ、寸分の狂いもなく的確に打ち込まれていく!

打ち込まれたのは、肺経の井木穴せいもくけつであり、のどの激しい腫れ・痛み・高熱を劇的に鎮める絶対の救急名穴――『少商しょうしょう』!


ジュワァァァァァァッ!!!!!


「――つ……ガハッ!? ふぅぅぅぅぅぅぅはぁぁぁぁぁッ!?!? の……のどの奥の激しい詰まりと痛みが……一瞬でパッと弾けて消えたぁぁぁッ!?」

のどを押さえてのたうち回っていた警備兵が、両手で首元を確かめるように触りながら、驚喜の叫びを上げた!


「息ができる……! 火を吹くような熱い痛みが、冷たい清流で洗われたみたいにスーッと引いていくぞぉぉぉッ!」

島民たちからも、次々と安堵の吐息と歓声が漏れ出していく。


「『少商』は、呼吸を司る『手太陰肺経てたいいんはいけい』の井穴せいけつ! 文字通り『肺の滞りを解消し、清らかな気を小さく繊細に通わせる要穴』**です! 邪熱が肺に侵入して起こる激しいのどの痛み(咽頭炎・扁桃炎)、高熱、呼吸困難、失声(声が出ない状態)に対し、急性の邪熱を指先から一気に外へ追い出す絶大な清利咽喉のどをすっきりさせる効果を持っています!」


「枢先生、すごいです! 島民の皆さんの呼吸がすっかり落ち着いて、お顔の赤みもみるみる引いていっています!」

ネネが涙ぐみながら、安堵の笑顔を見せた。


「よしッ! のどがスッキリしたなら、俺様も全開で暴れられるぜぇぇぇッ!」

ガストンが巨大な戦斧をブンと力強く振り回し、重厚な空気を一閃して切り裂いた。


「皆さん、救護所で待機していてください! 僕たちは哭さんを追い、火山の最深部へ向かいます!」

枢が往診鞄を固く構え直し、火山の山頂を目指して力強く走り出したのだった。


しかし、険しい山道を登る往診チームの前に、火山の熱気で歪む空間から、黒い仮面をつけた新たな強敵――黒穴会「炎血四天王」の第一の刺客が立ちはだかるのだった――!

 第601話をお読みいただき、ありがとうございました!


今回は火山灰と熱邪によって激しいのどの腫れと痛みに苦しむ島民たちを、枢先生が『少商しょうしょう』の刺鍼で見事に救い出し、火山の最深部へと進軍する熱いストーリーをお楽しみいただけましたでしょうか。


 さて、今回は作中で枢先生が島民たちの激しいのどの痛みや息苦しさ、高熱を解消した「肺熱壅盛・咽喉腫痛(外邪による呼吸器・のどの劇的な炎症)」の病理に基づき、日常で「風邪の引き始めでのどが猛烈に痛む、のどが腫れて唾を飲み込むのも辛い、咳が止まらない、高熱でのどがカラカラに乾く時」に、のどの熱と腫れをサッと引き散らして呼吸を楽にしてくれる絶対の名穴をご紹介します。


 今回登場した『少商しょうしょう』は、**手の親指の爪の生え際、外側(人差し指とは反対側の親指の外側の角から、約1〜2ミリ離れた凹み)**にあります。


 東洋医学において『少商』は、呼吸器全般を司る「手太陰肺経てたいいんはいけい」の井穴せいけつであり、**「急性ののどの痛み・高熱を鎮める最強の救急穴」**として知られています。風邪のウイルスや熱邪がのどに侵入して激しい炎症を起こした際、このツボを刺激することで肺にこもった不快な熱毒を指先から効率よく排出し、のどの腫れや痛みを劇的に和らげて声の出やすさを取り戻してくれます。


 ケアする場合は、反対の手の親指と人差し指で『少商』を挟み込み、爪の角に向かって痛気持ちいい強さで5秒間ギュッと強く押し込みます(爪の角で刺激するように押すのがコツです)。これを息をゆっくり吐きながら左右5回ずつ試してみてください!

のどの奥のつかえがすーっと通り、呼吸がとても楽になりますよ!


 次なる第602話は、本日**8月7日(金曜日)の夜【21:00】**に更新を予定しております!


火山の山道で立ちふさがる「炎血四天王」の刺客! その恐ろしい熱邪攻撃に対し、往診チームはいかにして立ち向かうのか――!? 21時の更新をどうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ