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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第八章:南海灼熱諸島と炎の熱邪(ねつじゃ)】

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600/628

第600話「六百の軌跡!炎頭鬼の咆哮と大陵の鎮火」

ついに達成された連載第600話!

火山の溶岩を纏う大魔獣「炎頭鬼えんとうき」と黒穴会残党「炎血衆」の奇襲に対し、『内関』の刺鍼によって胸の圧迫感を打ち破った往診チーム。南海灼熱諸島の命運を分ける決戦が、いま最高の盛り上がりを迎えます!

 グラグラグラグラッ……!!


 港全体を揺るがす地響きとともに、灼熱の魔獣・炎頭鬼えんとうきが巨大な四肢を踏み鳴らし、大気を赤く染め上げていた。

その背中の亀裂からは、ドロドロとした高熱の溶岩が滝のように流れ落ち、周囲の海水を瞬時に沸騰させて白い蒸気を爆発的に立ち上らせている。


 「ガハハハハ! 見ろ、この圧倒的な破壊力を! 人間の矮小な身体など、炎頭鬼様の足元に踏みつぶされて終わりだぁぁぁッ!」

黒穴会の残党「炎血衆」のリーダーが、巨大な炎の棍棒を振り回しながら高笑いを上げた。


 「……踏みつぶされるかどうか、試してみるか……ッ!?」

ガストンが戦斧を固く握り直し、足元の石畳を粉砕しながら前髪を跳ね上げた。

「おいおい枢先生! この熱気、ただの火傷じゃ済まねぇぞ! 斧の柄を握ってる手のひらまで灼けて焦げ付きそうだ!」


 「ガストンさん、持ちこたえてください! 炎頭鬼が撒き散らしているのは、大気中の熱邪が極限まで濃縮された『強烈な心火しんか心包しんぽうの熱毒』です!」

くるるが往診鞄を強く引き寄せ、前線の惨状を鋭く観察する。


炎頭鬼が咆哮を上げるたび、波状攻撃のように襲いかかる高熱の波動。

それは単に皮膚を焼くだけではない。前線で戦うガストンやコク、そして警備兵たちの体内へ侵入し、心臓の鼓動を異常なまでに速め、手のひらや胸元に恐ろしい熱感と激しい不眠・精神の狂乱を引き起こしていたのだった!


「ぐ……あぁぁぁッ! 頭がカッとなって……心が……怒りで支配されそうだ……ッ!」

前線の警備兵たちが次々と武器を落とし、自分の胸や頭を掻きむしりながら狂乱し始める。


「大変です! 心火の邪気が心包を完全に突き破り、精神の核(神:しん)を灼き侵しています! このまま熱気が脳と心臓に溜まり続ければ、感情のコントロールを完全に失い、心身が崩壊してしまいます!」

ネネが悲鳴を上げる。


「幾多の難病と邪気を越えてきた僕たちの鍼術は……このような邪熱に決して敗れはしません!」

枢の瞳に、澄み渡る絶対の治癒の意志が宿った。


「心臓を灼く過剰な熱を根底から冷却し、手のひらの灼熱感と乱れた精神を即座に鎮静化させる……! 心包経の原穴にして、絶対なる清心・消炎の要穴を開放します!」

枢が往診鞄から、純金と純銀が融合した最高峰の清熱鎮心鍼を取り出した!


「ハク、リナ! 心臓の熱を直接冷却し、沸騰した血を鎮める『玄参げんじん』と『生地黄しょうじおう』の氷結清心ミストを全員の手首と胸元へ広域散布しなさい!」

「了解です枢先生! 氷結清心ミスト、前線へ全開噴射ッ!!」


一瞬にして広がる、澄み切った氷のような生薬の清涼感! 前線を包んでいた灼熱の空気がわずかに和らぐ!


「胸と手に溜まった灼熱の火よ……静まりなさいッ!」


シュパッ! シュパッ! シュパッ――!!


枢の手から放たれた極光の鍼が、ガストン、哭、そして苦しむ警備兵たちの**「手首の内側にある横紋シワの中央、2本の太い腱の間の凹み」へ、寸分の狂いもなく深部まで打ち込まれた!

打ち込まれたのは、心包経の原穴げんけつであり、心臓の過剰な熱と炎症を最も強力に鎮める至高の名穴――『大陵だいりょう』!


ジュワァァァァァァッ!!!!!


「――つ……あぁぁぁぁぁぁぁッ!?!? 手首から……真っ赤な炎のような熱が、スーッと波が引くように消えていく……ッ!」

ガストンが目を見開き、自分の両手を見つめた。


「手が……熱くない! 胸のバクバクとイライラが、嘘みたいに静まっていくぞぉぉぉッ!」

ガストンが戦斧を軽く一振りすると、黄金の気が再び力強く脈打ち始めた!


「『大陵』は、心臓を守る『手厥陰心包経てけついんしんぽうけい』の原穴げんけつであり、土穴どけつ! 文字通り『大きなお墓(丘)のように、心臓に溜まった過剰な邪熱と不快な症状を包み込んで静める場所』**です! 心火による胸の激しい熱感、手のひらのほてり、激しい感情の昂りや不眠、口内炎や心不調を劇的に鎮める、最高の清熱・安神穴です!」


「 clinical に見て……相棒、心が静水のように澄み渡ったぜ」

哭が短剣を低く構える。その全身から放たれる白銀の気は、熱風を完全に遮断する氷の刃と化していた。


「さあ、ガストンさん、哭さん! 心火を鎮めた今の皆さんなら、あの炎頭鬼の核を打ち抜けます!」

枢が力強く叫ぶ!


「応ッ! 行くぜ哭ッ! 600話の節目にふさわしい、特大の一撃をお見舞いしてやるぇぇぇッ!」

「……ああ! 往診チームの絆、見せてやるッ!」


ガストンと哭が同時に跳躍した!

『大陵』の刺鍼によって心が完全に静まり、全エネルギーが一点に集中した二人の姿は、まさに一筋の閃光であった。


「豪力・絆の太刀割り――真打ッ!!」

「閃光・極大断空斬ッ!!」


ドカァァァァァァァンッ!!!!!!!!


黄金と白銀の絶大な交差攻撃が、炎頭鬼の胸元に輝く「核心の溶岩核」を直撃した!

地響きのような砕裂音が響き渡り、巨大な魔獣・炎頭鬼は凄まじい悲鳴とともに木端微塵に砕け散り、崩れ去ったのだった!


「ば……バカな気血の力だぁぁぁッ!?」

残党の炎血衆たちが恐怖の悲鳴を上げて逃げ惑う。


だが、南海灼熱諸島を巡る熱邪の陰謀は、まだ始まったばかりであった。

砕け散った炎頭鬼の跡地に、漆黒の陣形が浮かび上がり、さらなる深遠なる熱邪の気配が島の奥地から漂い始める――。

記念すべき連載600話をお読みいただき、ありがとうございました!


皆様の温かい応援に支えられ、ついに到達した大台の第600話! 灼熱の魔獣・炎頭鬼の激しい熱邪に対し、枢先生が『大陵だいりょう』の刺鍼によって見事に心火を鎮め、往診チームの大技で撃破する最高のクライマックスをお届けいたしました。


 さて、今回は作中で枢先生がガストンさんたちの手のひらの激しいほてりや心の狂乱、心火の熱感を解消した「心包火旺・心神不安(激しいストレスや熱のこもりによる心身の興奮)」の病理に基づき、日常で「手や足のひらがほてって熱い、イライラしてカッとなりやすい、ストレスで夜なかなか眠れない、胸がモヤモヤして口内炎ができやすい時」に、心臓の余分な熱を冷まして心を穏やかに静めてくれる絶対の名穴をご紹介します。


 今回登場した『大陵だいりょう』は、手のひら側の手首のシワ(横紋)の中央、手首を曲げた時に浮き出る2本の太い腱の間の凹みにあります。


 東洋医学において『大陵』は、心臓のガードマンである「手厥陰心包経てけついんしんぽうけい」の原穴であり、**「心臓の熱を冷まし、精神を安定させる特効穴」**です。過度のストレスや過労によって心臓に熱がこもると、手のひらのほてり、不眠、激しいイライラ、顔ののぼせとなって表れますが、このツボを刺激することで体内の邪熱を効率よく排出し、乱れた自律神経と感情を深海のように静かに整えてくれます。


 ケアする場合は、反対の手の親指を『大陵』の凹みに当て、手首の骨に向かって痛気持ちいい強さで5秒間じわーっと垂直に押し込みます。これを息をゆっくり吐きながら左右5回ずつ試してみてください!

手のひらの不快な熱感がスーッと引き、頭と胸が穏やかに鎮まっていきますよ!


 次なる第601話は、明日**8月7日(金曜日)のお昼【12:00】**に更新を予定しております!


撃破された炎頭鬼の背後に潜む、南海灼熱諸島の真の支配者「炎帝」の影とは――!?

12時の更新をどうぞお楽しみに!

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