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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第七章:東方寒冷大陸と絶命の寒邪(かんじゃ)】

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第596話「陰元の終焉!絶命の悪鍼破壊と百会の覚醒」

黒穴会の総帥・陰元との決戦。『湧泉』の刺鍼によって足元から爆発的な生命力を取り戻した往診チームは、王都の生気を吸い上げ続ける巨悪「真の悪鍼・極」の破壊へと挑みます。

 「湧泉」より湧き出でた怒涛の生命力が、黒穴の回廊全体に充満する死の冷気を一瞬にして掻き消した。


 「バ……バカな……ッ! 我が誇る『絶命の寒邪』が、たかだか足裏のツボ一つで破られるはずが……ッ!」

総帥・陰元の漆黒の瞳に、初めて狼狽と焦燥の色が走る。


 「陰元! お前が築いた闇の支配も、これで終わりだッ!」

ガストンが巨斧を両手で深く握り直し、足元の石畳を砕くほどの力で地面を蹴った。

「豪力・絆の太刀割り――全開ッ!!」


 ドゴォォォォォンッ!!!!!


 黄金の気を纏ったガストンの渾身の一撃が、陰元を守っていた気場を完全に粉砕した。衝撃波が回廊を揺らし、黒い石柱に亀裂が走る!


 「ぐはぁッ……! ぬ、ぬおおおッ……!」

吹き飛ばされた陰元は、後ろに聳え立つ巨大なオベリスク――「真の悪鍼・極」の表面へと力任せに背中を叩きつけられた。


「……くくく……ハハハハハッ! 愚か者めが! この『真の悪鍼・極』に触れたことが、お前たちの命取りとなったのだッ!」

陰元が血の交じった笑いを上げると、オベリスク全体が赤黒く不気味な明滅を始めた。


ズババババババッ!!


「な……何だ……!? 身体が重い……ッ!?」

ガストンが巨斧を構えたまま、急激にその場に膝をついた。

「頭が……頭が割れるように痛ぇ……! 目眩めまいと吐き気で、天地がひっくり返りそうだ……ッ!」


「ガストンさんッ!?」

ネネが駆け寄ろうとするが、彼女自身も頭を抱えてその場にしゃがみ込んでしまう。ハクもリナも、激しい目眩と意識の混濁に耐えかねて身体を震わせた。


「はははは! この『悪鍼・極』は、吸い上げた何十万もの人々の無念と絶望の気……すなわち『上逆じょうぎゃくの悪気』を一気に放散する! 人間の頭頂部に集まるすべての『陽気』を乱し、脳の機能を完全に破壊するのだッ!」


陰元の頭上に、赤黒い巨大な渦が形成され、そこから脳を直接揺さぶるような精神破壊波が全方向に撒き散らされる!


「う……ぐぅぅ……ッ! 頭の芯が……熱くて焼き切れそうだ……ッ!」

コクでさえも短剣を床に落とし、頭に手を当てて激しく喘ぐ。


「……くっ……! 全身の陽気が頭部に異常上昇(上逆)し、脳の『百神(清明な意識)』が完全に侵されている……! このままでは全員の意識が混濁し、脳の不調から命を落とします……!」


くるるの視界も激しく揺れ、世界が赤く染まりかける。

だが、彼の精神の核にある「患者と仲間を救う」という揺るぎない使命感が、意識の消失を力ずくで押し止めた。


「頭頂に集まる濁気を追い払い、全身の気を正しく引き下げて、意識の光を取り戻す……! 最高峰の天の要穴を解放しますッ!」


枢が震える手で往診鞄を開き、純銀製の長鍼を取り出した!


「ハク、リナ! 脳の興奮と異常な熱を冷まし、頭目を清涼にする『薄荷はっか』と『菊花きくか』を配合した清頭明目アロマを全員の頭上へ拡散させなさい!」

「了解……です、枢先生……! 清頭アロマ……全域噴霧ッ!!」


爽やかで澄み渡る清涼な香りが回廊の天井へ広がり、渦巻いていた赤黒い濁気がわずかに薄らぐ!


「全員、頭のてっぺんに集中してください……! 天の気が導く、真の覚醒をッ!」


シュパッ! シュパッ――!!


枢の放った銀鍼が、自分自身と仲間たちの**「両方の耳の開口部の一番上の縁を結んだ線と、頭の前後の中央線が交わる頭頂部の凹み」――絶大なる覚醒の要穴『百会ひゃくえ』へ、正確無比に打ち込まれた!


ピキィィィィィンッ!!!!!


「――ツ……あぁぁぁぁぁぁぁッ!?!? 頭の中の不快な熱と霧が……一瞬で天へ突き抜けていく……ッ!」

ガストンが目を見開き、天を仰いだ!


「頭が……軽い! 視界が真っ白に澄み渡って、脳の奥までクリアに冴え渡っていくぞぉぉぉッ!」

ガストンが勢いよく立ち上がり、背筋を伸ばす!


「『百会』は、全身の陽気が交差して集まる『督脈とくみゃく』の最高峰の要穴であり、文字通り『百(多数)の気が集まる場所』**! 頭部に滞った異常な熱や邪気を放散させ、激しい頭痛、目眩、自律神経の混乱を瞬時に鎮め、絶望的な意識障害から真の覚醒をもたらす天の穴です!」


「 clinical に見て……相棒、頭が冴え渡りすぎて世界がスローに見えるぜッ!」

哭の手が床の短剣を掴み直す。その瞳には、濁りの一切ない鋭利な閃光が宿っていた!


「な……何だと……!? 我が『上逆の悪気』を、頭頂の刺鍼一つで完全に中和したというのか……ッ!?」

陰元が恐怖に顔を歪ませ、絶叫する。


「哭さん、ガストンさん! 今です! 『百会』で高めた陽気を武器に込め、あの悪鍼の核を砕いてくださいッ!」


「任せろぉぉぉッ! ガストン、合わせるぞッ!」

「おうよッ! 絆の力、見せてやるぜぇぇぇッ!」


哭とガストンの全身から、覚醒した『百会』の白銀と黄金の光が溢れ出す! 二人は同時に踏み込み、音速を超えて跳躍した!


「閃光・断空斬ッ!!」

「豪力・天破崩落撃ッ!!」


ドカァァァァァァァンッ!!!!!!!!


二人の交差攻撃が、巨大なオベリスク「真の悪鍼・極」の真ん中を打ち抜いた!

メリメリと音を立てて巨大な亀裂が走り、次の瞬間、オベリスクは眩い光の粒子となって木端微塵に砕け散った!


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁッ!? 我が悲願が……黒穴会の絶対支配がぁぁぁッ!!」

悪鍼の崩壊とともに逆流した生命の光に包まれ、陰元の体は漆黒の邪気とともに空中に消滅していった。


回廊全体を包んでいた不気味な気が失せ、王都ガルフレイド、そして大陸全土へと温かな生命の気が戻っていくのだった――。

 第596話をお読みいただき、ありがとうございました!


王都を恐怖に陥れた黒穴会の総帥・陰元との激闘がついに決着! 脳を揺さぶる恐ろしい悪気に対し、枢先生が『百会ひゃくえ』の刺鍼によって頭頂から覚醒をもたらし、巨悪の根源「真の悪鍼・極」を粉砕する感動のクライマックスをお届けいたしました。


 さて、今回は作中で枢先生がガストンさんたちの激しい頭痛や目眩、意識の混濁を解消した「気血の上逆(ストレスや疲労による頭部の熱・緊張)」の病理に基づき、日常で「頭が重く痛む、目眩や立ちくらみがする、ストレスで頭がのぼせて考えがまとまらない、自律神経が乱れて心が落ち着かない時」に、頭の熱を冷まして視界と意識をスッキリ冴え渡らせてくれる絶対の名穴をご紹介します。


 今回登場した『百会ひゃくえ』は、頭のてっぺん(頭頂部)にあり、左右の耳の一番上の縁を結んだ線と、顔の鼻筋から後頭部へ通る中央の線が交差する凹みにあります。


 東洋医学において『百会』は、身体を通るすべての陽気が集まる「督脈とくみゃく」の要穴であり、文字通り**「たくさんの気が交わる場所」**を意味しています。精神的なストレスや過度の頭脳労働によって頭部に邪気や熱がこもった際、このツボを刺激することで体内の気血の巡りを正常に戻し、頭痛や目眩、自律神経の乱れ、不眠、さらには気分落ち込みまで幅広く改善する万能の頭部名穴です。


 ケアする場合は、両手のほう(中指や親指の腹)を『百会』の凹みに当て、頭の中心に向かって痛気持ちいい強さで5秒間じわーっと垂直に押し込みます。これを息をゆっくり吐きながら5回試してみてください!

頭の重さやモヤモヤがすーっと抜け、視界がパッと明るくなって頭が冴え渡りますよ!


次なる第597話は、明日**8月5日(水曜日)の【12:00】**に更新を予定しております。

12時の更新をどうぞお楽しみに!

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